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3章 潜入せよ、不信と獣の領地

27話 シン・魔王様

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 城ではないものの、やはり魔王様がいる建物という事で、警備は厳重らしい。見張りとして、10人もの兵士が建っている。

「止まりなさい!!何用で、ここに来たのです?」

「新魔王軍幹部、バールだ。魔王様に呼ばれてやってきたのだが、話は聞いていないかい?」

「勿論話は聞いております。所で、そこの猿は?」

 恐らく僕の事を言っているのだろう。少しムカつくけど、我慢だ。

「口を慎みたまえ。わたしの大事なボディガードだ。今度、そんな事言ったら、じわじわと殺すからね?」

「・・・大変失礼しました」

「表面だけでも謝れてよろしい。それじゃあ、行こうかアル」

「は、はい!!」

 事情を知らない兵士達からしたら、敵以外の何者でもないので、そこまで怒らなくても良いのでは?と思いながら、魔王様の屋敷へと入る。

 入ると、メイドさん達が僕達を迎え入れてくれた。

「「「「いらっしゃいませ、バール様」」」」

「どうも~~、メイドさん達。新魔王様は何処かな?」

「「「「仮玉座の間でお待ちです」」」」

「威厳を出すためかな?可愛いねぇ!それじゃあ、行こうか」

 バール様に手を引っ張られ、階段を昇り、一番大きな扉の前に立つ。バール様がノックをすると、扉の先から声が聞こえてくる。

「入ってくるが良い」

 可愛らしい女の子の声だ。専属のメイドさんだろうか?

「「失礼します」」

 扉を開け、仮謁見の間に入る。足元には、まっすぐに敷かれた紫色の高級感溢れるカーペット先には、金で淵取られた威厳ある玉座が鎮座している。その上に座るのは、立派なツノをはやした武神のような男の魔族・・・。

「クフフ・・・よく来たな!バール!そして、ヒュームの男よ!!我こが先代魔王の意思を引き継ぐ者!新魔王こと、ルシフェル!お前の噂かねがね聞いているぞ!」

 ではなく、肉体年齢は僕と全く変わらない可愛らしい魔族の女の子だった。

「ん?どうした我の顔に何かついているか?」

「い、いえ・・・そういうわけではなくて・・・」

「・・・おい、バール。こやつに我の年齢を教えたか?」

「面白そうなので、教えてません☆」

「それ、幹部のお前だから、許しているけど、普通に不敬案件だから気を付けろ。次やったら、デコピンだからな」

 成程、確かに驚いた。こんなにも小さな女の子が魔族を統一しているだなんて・・・。

「良いか?ヒューム!!我の年齢は107歳!!お前とは圧倒的に歳が離れているんだぞ!?」

「107歳!?・・・ていう事は、ヒューム換算で15歳か・・・」

 魔族の7歳は、ヒュームの1歳。年齢を7で割れば、簡単に分かる。

「ムキーー!!何で、魔族の年齢に詳しいのさ!」

 プンスカ怒る魔王様は、なんだかとてもかわいくて、心が安らいだ。
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