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4章 魔王の肩書きを持つ少女

49話 ただいまと雪崩

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「そういえば、スネイクさんも地下出身なんですか?」

「地下?・・・ああ~、私は地上生まれだよ」

「地上生まれの魔族もいたんだ」

「そりゃあ、いるよ~。まあ、地下暮らしの魔族と比べたら圧倒的に少ないし、人間にばれて殺されるなんてざらにあるしね。そのせいで私があった事のある魔族は、両親しかいないよ。親も私が140になる前に殺されたけどね」

「・・・すみません。変な事聞いちゃって」

「いやいや!気にしないでよ。そこまで気にしてるわけでもないし。これで、新魔王軍に接触したい理由は分かってくれたかな?」

「同種族である魔族と会うためですね」

「正解♪」

 魔族は他種族の絶望の顔を見る事が好きだと勘違いしていたのも、他に比べる魔族がいなかったからだろう。魔族は、ツノが生えていて、肌も薄ピンクで、白目は黒いが、れっきとした人間だ。性格の良し悪しは存在する。

 もしかしたら、スネイクさんはがっかりするかもしれないが、その時はその時だ。

「この馬車を運転してる御者さんの種族は?」

「変装した細身のオークの方です。バール領にお住まいの方ですよ」

「おおっ!!御者さん!魔族の中に人の絶望する顔が好きな魔族っているかな?」

「さあ?聞かれてみたらどうです?もう到着しましたので」

 話に夢中で気づいていなかったが、とっくに馬車は停止している。馬車から降りると、そこはもうバール領のゴレイムの中だった。

「おう、帰ってきたかアル。早くバール様の所まで向かってやってくれ。マジで最悪な事になってるから」

「最悪な事?・・・ああ~~」

 バール様の性格と生活レベルを知っている僕は先輩兵士の一言で全てを察する。僕がバール領を離れていたのは2週間程。部屋とバール様は今頃とんでもない事になっているだろう。

「あの・・・申し訳ないんだけど、シームさんとスネイクさんは少しだけ観光して貰ってても良いかな?僕、ちょっとしなきゃいけない仕事ができたからさ」

「私はヒュームなのに、魔族の町をわが物顔で歩いても問題は無いのでしょうか?」

「多分大丈夫だと思う!ゴレイムは魔族以外にも帰る場所を無くした僕みたいな他種族がいるから!ああ、でも万が一の事があるから、スネイクさんとは離れないで!それじゃあ!」

 連れてきておいて申し訳ないが、僕は僕に課せられた仕事を遂行しなければならない。階段を昇り、仲間達に流れるような挨拶を行い、城とは名ばかりの研究所に入る。

 更に階段を昇り、バール様専用の部屋の扉を開けると、扉の前に積まれていた本が崩れて、雪崩のように僕へとおしよせた。

「ぐわぁ!?」

「ん?今の声・・・まさか、アルかい?」

「はい・・・お久しぶりです、バール様。それと、助けて下さい」

 バールによる本からの救出は、5分もの時間を要した。
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