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最終章 勝利の為なら手段は選ばず

143話 いざ、進軍!!蹴散らせ魔王軍!

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 洞窟から求めていた物を持って、地上へと戻ってきたアル達。

 彼らは、ルシフェル領へと戻ると、持ち帰った記憶と祭具を元に新たに女神ダネスの神殿を造り上げた。勿論、黒い石でだ。

 魔族の剣は、スネイクさんの手に渡った。どうやら、エンデの各地で迫害されたドワーフの刀鍛治を多く引き入れたらしい。

 魔族の剣の解析は、ドワーフと魔族の共同作業で行われる為、あっという間に終わるだろう。

 誰がどうみても準備は万全となりかけている。魔王様もそれを知ってか、3度目の幹部集合を呼びかけた。

 集まった3人の幹部。僕は再び護衛として呼ばれた。魔力が覚醒してから他2人の幹部の人達に会う事はなかったので、2人とも驚いていた。

「これは・・・ついに転生者としての力が覚醒したのか?」

「というよりかはアル君の元からある潜在能力が覚醒した感じっぽいね。これなら、私ら魔王軍幹部と遜色ないんじゃない?」

「アル~、わたしが許さないよ~幹部になるなんて。わたしは君がいなければロクに生活できないんだから~」

「バール、お前はいい加減自立すると言う事を考えたらどうだ?アルの寿命は長くはないんだ。いつか必ず死ぬぞ?」

「それなんだけどねぇ、アルは魔王様の遺伝子が混ざってお陰で魔族並の寿命が期待できるんだよ。いやぁ、本当に魔族の血と前世の記憶に感謝だねぇ」

 生まれ変わる時、記憶は抹消され、新しい体に入れられる。その時の魂は透明無色無垢そのものの為、闇が存在しない。

 それが、今までディナス家に闇の魔法属性が出てこなかった理由らしい。

「そういえば、今日集められた理由は聞いてる?多分、エンデ王領に攻める話だとは思うんだけどさ」

「だろうな。そういえば、魔族の剣の分析はどうなってる?」

「80%は完了かな?応用して弓矢も作れるけど、魔王軍一の弓矢の使い手であるアスタロト様に試していただきたい」

「褒めても何も出ないぞ。それはそうと、試すがな・・・ん?魔王様の匂いだ。来るぞ」

 アスタロト様の言う通り、魔王様がやってきた。熟れた果実のような匂いがするが、新しい香水だろうか?

 いや、違う。口周りに食べかすが残っている。ただ単に食べてただけだ。

「待たせたな幹部達よ。賢いお前達なら何となく察してはいると思うが、エンデ王領への進軍についての話である」

「ついに、攻めるのですね!!全兵を動員しましょう!!我々を虐げてきたエンデ人を蹂躙してやるのです!!」

「おおっと、数人は残しておくれよ?わたしが実験体にする」

「私は不幸な顔さえ見れればそれで十分です」

「そうか!そうか!では、話を戻すのだが・・・エンデ王領への進軍は見送ることにした。では、解散!!」

「「「ちょっと、待ったぁ!!」」」

 何だが、既視感を感じるワンシーンだった。
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