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ドミニクはハロルド様!なんて言って目をキラキラさせて自身からその腕に飛び込んだ。
「きょ、今日もお会いできて嬉しいです」
「可愛いね、ドミニク。いい子にしてた?」
真っ赤な顔のウルウルお目目でコクコク頷いている。見せつける様に尻は揉まれ唇は奪われ、好き勝手されているのにドミニクは周りに人がいる事を忘れているようだ。ハロルドはそれが分かっていてドミニクの耳元で何かを囁く。完全にハロルドしか見えていないドミニクは、それだけできゅうっと可愛らしい悲鳴を上げて腰を砕けさせていた。
どんなテクニックだ。
マシューは腕を広げられたのを見て引きつった笑みを浮かべていた。
「このような場所では致しません」
「そんな……マシュー……俺を捨てるのか?」
それを聞いたショーンがどんどん悲愴な顔に変わっていき、ボトボトと涙を落として泣き出した。ギョッとした顔でマシューが慌てて、嫌なわけではなく貴族として当然の振る舞いでとあたふた説明しているが、ショーンはわざとらしくイアンやドミニクに視線を投げて分かりやすく絶望的な表情をする。
引き攣った様なマシューと目が合ってすまん、と頭を下げると眉をへにゃりと下げて大きく息を吐き出した。品行方正なマシューには耐えられないだろう振舞いだが腹を括ったのか、両手を広げたままボトボト涙を零すショーンの腕に自ら収まりに行った。秒で涙を引っ込めてぎゅうぎゅう抱きしめるショーンを見て、マシューは騙されているのでは、と思ったが顔を真っ赤にしつつも嬉しそうなので突っ込まなかった。
「バロン」
「は、はい!」
チャールズは至って通常通り冷たい顔でバロンを呼び寄せた。ブルブル震えながらバロンは大きな返事をして傍に走り寄る。途中でこけそうになったバロンは、人間の動きとは思えない速さで近づいたチャールズに抱きかかえられ、目をパチパチと瞬いた。
「何故そこで転びそうになるんですか?あなた、体に傷を作るつもりですか?私に喧嘩売ってます?」
「ち、ちちち違いまひゅっ!は、早くって!」
可哀そうな程真っ青な顔でガタガタ震えるバロンは、一生懸命絡まる舌を動かして半泣きで訴えている。すると抱き上げたままバロンの涙をペロリと舐めとったチャールズは、目を細めてその口元を持ち上げた。
「それならば仕方がありませんね。舌を出しなさい」
「はひっ」
え、こんな人前でそんなエロイことさせる!?と目を見開くイアンはチャールズと目が合って後悔した。何となく良く思われていないらしい事が分かる。何故だと戸惑っている間に一生懸命小さな舌を出してるバロンの舌にじゅるっと吸い付き、そのままニヤリと笑って踵を返した。バロン頑張れと心の中で手を合わせる。
「ディップ……ありがごうございますぅ」
「あぁ。何をしたんだ?」
「んー?普通にお茶会だよぉ?」
「普通とはなんだ」
「え、えー?んーっと、お茶飲みながらお菓子食べて、最近の話をしてぇ」
「俺の話は?」
「え?」
「俺の事、話したのか?」
「えぇ……話したけどぉ」
なにやらベージルは出会い頭に質問攻めにあっていた。たじたじになりながら言われるままに答えているが、ディップは何かが気に入らないらしい。
「何を話したんだ」
「えっとぉ、そのぉ、ちゃんと婚約者として話ができたって言ったんだけどぉ」
「お前はいつもそうだ」
「なにがぁ?」
「全然俺の事を見てない」
「なんでぇ!?」
疑問符を浮かべながら、ベージルはひたすらそんな事無いと頑張っているのだが、怒涛の俺はお前しか見てないのにという謎の説教が続く。もしやディップはナルシスト?と思ってしまうが、必死なベージルに対してディップもかなり必死だ。なんというかうまく噛み合ってない感じがしてやきもきしてしまう。
コリンはと言うとむしろ自身から抱き着いていって、必死に顔面にキスを送っていた。
「ダニエル様、ありがとうございます」
「あぁ。俺が好きか」
「好きです!」
「寂しかったか?」
「寂しかったです!」
ダニエルはローブを着ているからか、割と細身に見えるのだがグッと必死なコリンを抱き上げて囁く。
「楽しかったか?」
「はい、楽しかっ……」
「消すか、俺の家に帰るかどっちがいい?」
イエスマン並みに返事を返していたコリンは、楽しかったという言葉を最後まで言えず顔面蒼白のまま儚く笑う。
「今すぐダニエル様の家に帰りたい」
「そうか」
ニヤニヤと笑ったダニエルがフッと手を振るとその場から消えてしまった。今のやり取りでコリンが随分気を揉んでいるのが分かる。せめて好きな人で良かったな……と何とも言えない顔でコリンが消えた場所を眺めた。
「イアン?」
「……アル、俺達も帰るかー」
「あぁ」
「あ、俺の家な」
「何故」
「ばーか。明日からまた学園なんだから今日はできないだろ。次の休みな」
「……分かった」
ちゅっと頬に口付ければ、しおしおと残念そうにしつつも了承の返事を返してくれる。やはりどう考えてもアルフレートが一番真面だ、とくふくふ笑いながら皆の苦労を心から労う。皆割と難儀な人を好きになっていて両思いだから微笑ましいが大変そうだ。
「どうした、可愛い」
「んー?いや、俺幸せ者だなって思っただけ」
「イアン!」
「ばっか!今日はやんねぇからな。次の休み、また沢山しような」
ガバリと抱き着いて尻をさわさわ揉み始めたのでしっかり叱っておく。耳元で囁けば、瞳孔は相変わらず開いているが子犬のような顔で見つめてくる。うっかり今日もいいぞと言いそうになるが心を鬼にする事も大事だ。既に固くなっている棒を前から押し付けられているが、なんとか誤魔化して未だイチャイチャしているドミニクと挨拶を交わす。
ベージルは未だ必死に俺を見ろと言われて白目を剥きそうだし、マシューは離してもらえずかなり困惑している。挨拶が出来そうもないが致し方ない。明日学園でまた話を聞こうと思いながら、シラッとした顔で人の尻を揉むアルフレートをくっつけたままお暇した。
「きょ、今日もお会いできて嬉しいです」
「可愛いね、ドミニク。いい子にしてた?」
真っ赤な顔のウルウルお目目でコクコク頷いている。見せつける様に尻は揉まれ唇は奪われ、好き勝手されているのにドミニクは周りに人がいる事を忘れているようだ。ハロルドはそれが分かっていてドミニクの耳元で何かを囁く。完全にハロルドしか見えていないドミニクは、それだけできゅうっと可愛らしい悲鳴を上げて腰を砕けさせていた。
どんなテクニックだ。
マシューは腕を広げられたのを見て引きつった笑みを浮かべていた。
「このような場所では致しません」
「そんな……マシュー……俺を捨てるのか?」
それを聞いたショーンがどんどん悲愴な顔に変わっていき、ボトボトと涙を落として泣き出した。ギョッとした顔でマシューが慌てて、嫌なわけではなく貴族として当然の振る舞いでとあたふた説明しているが、ショーンはわざとらしくイアンやドミニクに視線を投げて分かりやすく絶望的な表情をする。
引き攣った様なマシューと目が合ってすまん、と頭を下げると眉をへにゃりと下げて大きく息を吐き出した。品行方正なマシューには耐えられないだろう振舞いだが腹を括ったのか、両手を広げたままボトボト涙を零すショーンの腕に自ら収まりに行った。秒で涙を引っ込めてぎゅうぎゅう抱きしめるショーンを見て、マシューは騙されているのでは、と思ったが顔を真っ赤にしつつも嬉しそうなので突っ込まなかった。
「バロン」
「は、はい!」
チャールズは至って通常通り冷たい顔でバロンを呼び寄せた。ブルブル震えながらバロンは大きな返事をして傍に走り寄る。途中でこけそうになったバロンは、人間の動きとは思えない速さで近づいたチャールズに抱きかかえられ、目をパチパチと瞬いた。
「何故そこで転びそうになるんですか?あなた、体に傷を作るつもりですか?私に喧嘩売ってます?」
「ち、ちちち違いまひゅっ!は、早くって!」
可哀そうな程真っ青な顔でガタガタ震えるバロンは、一生懸命絡まる舌を動かして半泣きで訴えている。すると抱き上げたままバロンの涙をペロリと舐めとったチャールズは、目を細めてその口元を持ち上げた。
「それならば仕方がありませんね。舌を出しなさい」
「はひっ」
え、こんな人前でそんなエロイことさせる!?と目を見開くイアンはチャールズと目が合って後悔した。何となく良く思われていないらしい事が分かる。何故だと戸惑っている間に一生懸命小さな舌を出してるバロンの舌にじゅるっと吸い付き、そのままニヤリと笑って踵を返した。バロン頑張れと心の中で手を合わせる。
「ディップ……ありがごうございますぅ」
「あぁ。何をしたんだ?」
「んー?普通にお茶会だよぉ?」
「普通とはなんだ」
「え、えー?んーっと、お茶飲みながらお菓子食べて、最近の話をしてぇ」
「俺の話は?」
「え?」
「俺の事、話したのか?」
「えぇ……話したけどぉ」
なにやらベージルは出会い頭に質問攻めにあっていた。たじたじになりながら言われるままに答えているが、ディップは何かが気に入らないらしい。
「何を話したんだ」
「えっとぉ、そのぉ、ちゃんと婚約者として話ができたって言ったんだけどぉ」
「お前はいつもそうだ」
「なにがぁ?」
「全然俺の事を見てない」
「なんでぇ!?」
疑問符を浮かべながら、ベージルはひたすらそんな事無いと頑張っているのだが、怒涛の俺はお前しか見てないのにという謎の説教が続く。もしやディップはナルシスト?と思ってしまうが、必死なベージルに対してディップもかなり必死だ。なんというかうまく噛み合ってない感じがしてやきもきしてしまう。
コリンはと言うとむしろ自身から抱き着いていって、必死に顔面にキスを送っていた。
「ダニエル様、ありがとうございます」
「あぁ。俺が好きか」
「好きです!」
「寂しかったか?」
「寂しかったです!」
ダニエルはローブを着ているからか、割と細身に見えるのだがグッと必死なコリンを抱き上げて囁く。
「楽しかったか?」
「はい、楽しかっ……」
「消すか、俺の家に帰るかどっちがいい?」
イエスマン並みに返事を返していたコリンは、楽しかったという言葉を最後まで言えず顔面蒼白のまま儚く笑う。
「今すぐダニエル様の家に帰りたい」
「そうか」
ニヤニヤと笑ったダニエルがフッと手を振るとその場から消えてしまった。今のやり取りでコリンが随分気を揉んでいるのが分かる。せめて好きな人で良かったな……と何とも言えない顔でコリンが消えた場所を眺めた。
「イアン?」
「……アル、俺達も帰るかー」
「あぁ」
「あ、俺の家な」
「何故」
「ばーか。明日からまた学園なんだから今日はできないだろ。次の休みな」
「……分かった」
ちゅっと頬に口付ければ、しおしおと残念そうにしつつも了承の返事を返してくれる。やはりどう考えてもアルフレートが一番真面だ、とくふくふ笑いながら皆の苦労を心から労う。皆割と難儀な人を好きになっていて両思いだから微笑ましいが大変そうだ。
「どうした、可愛い」
「んー?いや、俺幸せ者だなって思っただけ」
「イアン!」
「ばっか!今日はやんねぇからな。次の休み、また沢山しような」
ガバリと抱き着いて尻をさわさわ揉み始めたのでしっかり叱っておく。耳元で囁けば、瞳孔は相変わらず開いているが子犬のような顔で見つめてくる。うっかり今日もいいぞと言いそうになるが心を鬼にする事も大事だ。既に固くなっている棒を前から押し付けられているが、なんとか誤魔化して未だイチャイチャしているドミニクと挨拶を交わす。
ベージルは未だ必死に俺を見ろと言われて白目を剥きそうだし、マシューは離してもらえずかなり困惑している。挨拶が出来そうもないが致し方ない。明日学園でまた話を聞こうと思いながら、シラッとした顔で人の尻を揉むアルフレートをくっつけたままお暇した。
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