ファンタジア・オンライン~最弱種族の小魚になったけど、高速進化で最強種へ成り上がる~

しのこ

文字の大きさ
8 / 37

小魚、餌にならない

しおりを挟む
「Grrrrrr!!」

 だいぶクマに近づいていくと、向こうも俺たちのことに気づいたようだ。
 ギロリとするどい目を向け、低く唸った。

『クラッシュベア』Lv15

 近づいたことでモンスターの情報が表示されたが、レベルもなかなか高い。
 俺の今のレベルは11なので、普通に格上だ。

 リズのレベルもまだ8だけど、2人で戦えばなんとかなるだろう。

「リズはどうやって立ち回る?」

「私は魔法特化だから近接戦闘は無理かなぁ。そこはウィズに任せちゃっても良い?」

「な、なんとかする」

 真正面から突っ込んで勝てるか? いや、勝てない。
 2メートル以上ある熊を相手に真っ向から突っ込むのをイメージしても、一瞬で刈り取られる未来しか見えなかった。

 うまく立ち回るぞ。
 幸いにも、クラッシュベアは川を下った場所で俺たちを見ている。この川はなかなかに水深もあるので、やりようによってはクラッシュベアを引っ掻き回せるはずだ。

「行ってくる。魔法攻撃は任せたぞ」

「任されました。私のレベルはまだ低いけど、信じて」

 リズから心強い言葉をもらったので、潜ってクラッシュベアに接近する。

「Grrrrr!!!!」

 俺が潜ったことで標的をリズに絞ったらしい。
 ドシドシと地面を揺らしながら一直線に向かってくる。

 まだ距離はあるが、思っていた以上に速いので10秒もあれば距離を詰められそうだ。

「蒼炎-ファストランス」

 真っ直ぐ突っ込んでくるクラッシュベアに、リズが魔法を放つ。蒼炎で作られた槍だ。


 大きさは1メートル程度と小さいが、目で追うのも大変なほどの速度の槍がクラッシュベアに突き刺さる。

「Grrrr!?」

 槍は小さい割にかなり威力があったらしく、クラッシュベアがひるんだ。動きを止めてくれたので、俺からも攻撃を仕掛ける。


「いぐぞぉぉぉぉお!!」

 水面から飛び出し、ただタックルするのではない。
 スキルを発動させてタックルするのだ。

『Hoch springen』
 高く跳ねるだけのスキルだが、進行方向を上ではなく、横向きにすればそれなりの威力は出るのではないか、そう考えた。

 身体が赤く発光し、水面から勢いよく飛び出す。

 クラッシュベアが川から飛び出してきた俺を見てニヤリと笑ったが、防御なんてさせない。

 赤く光る身体を跳ねさせる。

 リズのところに走り出そうとしていたところで無防備だった腹に一撃をたたきこんだ。

「ゴフッ!!」

 クラッシュベアから苦しそうな声が漏れる。
 俺のタックルはクリーンヒットしたらしく、そのまま地面に倒れた。

「よしっ!」

 しかし、HPを全て削りきったわけではない。
 すぐにクラッシュベアは立ち上がってくるだろう。

「ペチペチ跳ねてる場合じゃないぞー!」

 クラッシュベアにタックルをかましたせいで俺は地面の上を跳ねていた。

「ほいやっ! そいやさっ!」

 陸に上がった魚なんてただの餌でしかない。
 全力で跳ねて、川まで戻る。

 幸いにもクラッシュベアは立ち上がらなかったので、餌になることはなかった。

 -餌チャレンジ生還により経験値575を獲得しました-

 川に戻るとポップアップが表示される。
 俺は餌じゃないぞ……。

「リズ! なんか攻撃を頼む!」

「まっかせなさーい!! 蒼炎-大蛇!」

 リズは俺が攻撃をしている間にも魔法を準備していたらしい。川に飛び込んだとたんに、魔法を放った。

 さっきとは違い、うねりながらクラッシュベアの元へと向かう。大蛇というだけあって魔法のサイズもかなりのものだ。

「やっちゃえ!!」

 5メートル近くある大蛇はクラッシュベアを長い身体で巻きつける。

 締め上げるのと同時に身体を燃やし、確実にダメージを与えていく。身動きも全く取れない状態だが、クラッシュベアはそこからなんとか抜け出そうとしていた。

 ここを抜けられて突っ込まれると、リズがどうなるか分からない。
 まだレベルも低いし、そこまで魔法を習得しているわけでもないはずだ。

 ここを通すわけにはいかない。

 一番深くまで潜ってからもう一度勢いをつけて水面から飛び出し、丸出しで防御も楽に取れない顔面に身体をぶつける。

「Grrrr!!!!」

 口を大きく開けて飛び込んでくる俺を食べようとしてきた。
 一瞬ヒヤッとしたが、クラッシュベアのHPはもう残りわずか。一気に押し切ってやる。


「おらぁぁぁぁあ!!!」

 踊り食いしてみろやぁぁぁぁ!!!
 噛み付かれはしたが、俺のタックルに耐えきれなかったらしい。

 俺の凄まじい鮮度によって、クラッシュベアのHPは0になって消滅した。

-必殺! 踊り食い! 経験値を777獲得しました-
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

処理中です...