村を追い出されたけど、最強のスライムが仲間にいるので冒険者を目指したいと思います

しのこ

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第2話:失望

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「い、いえ! なんでもないです! 気にしないでください」

 務めて平静な声でシスターに伝える。
 なんとかこの状況を打開しなければいけない。

「いえ、召喚は終わっていると思いますので部屋から出てください。入りますよ」

「ま、まって!」

 僕がなんとか頭を振り絞って打開策を生みだそうとしていたのに、無情にもシスターは扉を開けてきた。
 僕が最後だからそんなに急ぐ必要ないじゃないか。恨みを込めながらシスターを睨みつけたが、事態は好転しない。

「これは……。残念でしたね」

 僕の足元で跳ねているスライムを見てシスターが憐みの言葉を告げてきた。
 あれだけボコボコに殴ったのにスライムには何にも効いてないらしい。
 僕がこれだけ怒りを溜めこんでるのに、どうしてこいつはこんなに楽しそうなんだ。むかつく!!

 シスターに後ろから支えられ、部屋から出される。
 外には僕と同い年の子供たちが、先ほど呼び出した召喚獣と対話を試みていた。

 部屋から出てきたことで近くにいた子供たちが僕の方をみる。
 最初は悪意がある視線ではなかったが、呵責を覚えた。すごくここから逃げ出したい。
 こんなのを連れているところを見られたくない。みんなから逃げるように早足で教会から出ていこうとした。


「あれなに? もしかしてスライム?」

「うわー! 気持ちわるっ! なんだよあいつ」

 僕の前に天使を呼び出した少年がこちらを指さして罵倒してきた。
 隣にいる天使も僕のことを哀れんだ目で見てくる。くそっ! くそっ!


「な、なんだよ。なんでそんな目でみるんだよ!」

 天使のくせに、どうしてそんな哀れんだ目で僕のことを見るんだ。
 天使なら救えよ! 目の前に困ってる奴がいるんだぞ!

 スライム、という声に反応したのだろう。
 顔を上げてみると近くにいた子供達だけでなく、少し離れた位置の人も僕のことを可哀そうな子を見る目で見ているのに気が付いた。

 ぎゅっと胸が締め付けられるような感覚が僕を襲い、思わず手で胸を抑える。
 ついさっきまでは少しの期待と不安とそういったもので胸が締め付けられるような感覚はあったが、今は確実に違う。頭が痺れ、気を抜けば嘔吐してしまいそうなほど参ってしまっているのが分かった。


 視線もそうだが、周りが呼び出している召喚獣も原因だ。僕は害獣であるスライムなのに、どうしてこいつらは天使なんて呼び出してるんだ。僕は、何も悪いことなんてしてないのに。僕はこれからどうなるの?

 思考がぐるぐると悪い方向へと向かっていくのが分かった。ただ、自分ではそれは止められない。これから先訪れるであろう最悪の展開を想像し、視界が周りが暗くなっていくような気さえする。


「やだ、やだ、やだ! 僕は、何も悪いことなんてしてないのに!」

「うわっ。泣いてるよあいつ」

「きもーい」

 視界が曇り、頬を雫が伝っていくのを感じた。
 神様がいるなら何とかしてほしい。多分、僕の友達もそう思ったに違いない。頭によぎるのは村から追放された僕の友達の姿だ。彼も悪いことなんてしてなかったのに、小さな鳥を召喚したばかりに親に捨てられ、村から出ていく羽目になった。


 大人は誰もその子をかばったりしなかった。とても良い子だったけど、助けてを求めていたけど、全員無視してた。その子がどうなったのか、僕には分からない。

 森にはたくさんモンスターがいるので、子供と小鳥では生きていけないから、多分、死んでしまったんだろう。僕も、そうなってしまうんだろうか。

 助けを求めてもみんなに無視され、放置され、森の中で野垂れ死ぬんだろうか。あの時は心の何処かで他人事だと思っていた。でも、今僕はその状況に直面している。このまま何もしなければ僕は、彼と同じ運命を辿ることになるだろう。


 そんな思考にどんどん陥っていく自分が嫌になって走り出した。当然、僕を止めるような人はいない。絶対に見ないが、みんな怪訝な目で僕のことを見ているんだろう。スライムを呼び出して、泣き叫んでその場をあとにする男の子。

 哀れまれるだけで、どうせ何もしてくれないシスター。
 助けてくれない大人たち。どん底まで落ち込む僕の思考。

 そんな全てが嫌になって、僕は教会を飛び出した。
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