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第110話 [海底神殿Part1]
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翌朝、準備を終えた俺達はダンジョンに入った。
「しかし、不思議だよなぁ。」
「何がだ?」
「海底に在るのに普通に呼吸出来るんだなぁと思ってな。」
「基本的にはそうなってるみたいだぞ。昨日倒した奴もそうだが、水中にあるダンジョンは本来、水中にいる様な魔物が此処では空中にいるからな。まぁそれが幻想的とか言ってるバカもいるけどな。イテッ!イテッ!痛いって!やめ・・・痛!なぁシュウト何とかしてくれ!イテッ!」
そう言いながらルークは訳も分からず、恵美に足をゲシゲシ蹴られていた。
「それはルーク、お前が悪い。」
「何がだよ俺何もイテッ!してねぇって!イテッ!」
「お前が余計な事、言うからだ。」
「俺が何言っイテッ!言ったんだよ。イテッ!」
「ほら、幻想的がどうのって言ったろ。」
「えっ?痛!それがどうしたんだ?イテッ!マジで止めてくれって防具なんて関係ねぇって感じで骨に痛みが来るんだからイテッ!」
「ほう。前世に教えた鎧通しを常時出来る様になったのかぁ。」
「いやいや、感心してねぇで、止めてくれって俺が悪かったから!イテッ!」
「恵美、謝ったんだからそろそろ止めなさい。」
「は~い。」
俺がそう言うと恵美は素直に攻撃を止めた。
「痛ってぇ~。何で防具は傷付いてねぇのにこんなに痛えんだよ。」
「そういう技だからな。」
俺はそう言いながら恵美を撫でていた。
「どうやったら出来んだ?」
「う~ん、魔力は分かるよなぁ。」
「当たり前だろ。」
「じゃあ、闘気は使えるか?」
「知り合いが闘気術の使い手だったから教えて貰った事はあったが、俺には修得出来ねぇって言われた。」
「何でた?戦神の加護が有るなら修得出来そうじゃないか?」
「それが闘気術の修得には適さないんだとよ。」
「何でだ?」
「闘気術の修得には魔力の枯渇状態を維持して、自分の中の闘気を感じるところから始めるんだが、俺は加護のお陰で魔力増大と魔力回復速度上昇を持ってるから、俺は枯渇状態を維持出来ねぇんだよ。」
「なるほど、闘気術は循環もしないということか。」
「循環って何だ?」
「簡単に言うと気を出し入れする事だ。」
「そうするとどうなるんだ?」
「外気を取り込み自身の持つ気の濃度を上げれるから一撃一撃の威力が増す。」
「じゃあシュウトはやってるって事か?」
「あぁ、常にな。」
「だから強いのか。」
「さぁ、強いかどうかはわからんが、循環には人に教えるにあたってもう1つ利点がある。」
「何だ?」
「その者に気付きを与える事が出来る。」
「気付ければ、俺も使える様になるのか?」
「それは分からんが、可能性は充分ある。」
「じゃあ教えてくれるのか?」
「いや、恵美の遊び半分の攻撃で蹲ってる様ではルークだと危険だ。」
「どう危険なんだ?」
「四肢が破裂するか、身体が爆発する。」
「え゛?マジで?」
「あぁ良くて両手が無くなるくらいだな。」
「マジかよ・・・。」
「あぁだからレベルを上げさせようと思って連れてきたんだ。」
「なるほどな、元々修得させるつもりだったって事か。」
「そうだ、この世界に来てから魔物との戦闘を繰り返して行く内にこの世界の魔物、いや、生き物は気に対する防御力が魔力が有る所為で、著しく弱いんだ。例えばそこに居る子供達の魔法も耐えているカブトガニのデカい奴みたいに防御力に特化している様な魔物であってもな。」
「あ、ありゃSランクのギガギアクじゃねぇか。シュウト!シン坊達を止めろ!奴はギアクみたいに魔法を反射させるんじゃなく、受けた魔法を収束させて、10倍の威力で返して来るぞ!」
「大丈夫だ。子供達も感なのか、それを利用して周りにいる魔物を倒していってるぞ。」
「いや!それだけじゃねぇんだ!奴は限界を超えると自爆するんだ!」
「おっと、それは拙いかもしれないな。真司!恵美!一旦、其奴に攻撃するな!」
恵美が真司に乗って、魔法を放っては避け、放っては避けを繰り返していたが、俺が呼び掛けると攻撃を止めて戻ってきた。
「「父(とう)ちゃんどうしたの?」」
「攻撃を受け過ぎると自爆するらしいんでな。恵美は知らなかったのか?」
「知らな~い。だってダンジョンの外だと海をキレイにするから攻撃しちゃダメっておばあちゃんに言われたもん。」
「おばあちゃん?」
「レヴィアタンの事だ。」
ルークが聞いてきたので俺がそう答えるとルークは「レヴィアタンって聖獣レヴィアタンの事だよなぁ・・・。」とブツブツ言ってると思ったら恵美に話し掛けた。
「なぁメグミちゃん、俺達冒険者や軍隊が討伐してるのは何か言ってたか?」
「それなら問題無いって言ってたよ。数の調整には丁度いいって言ってたから。逆に増え過ぎるとおばあちゃんが不味いけど食べて駆除するって言ってたし。」
恵美にそう言われ、ルークはホッとしていた。
「じゃあ何で恵美は攻撃してたんだ?」
「ダンジョン内のは逆に減らさないとスタンピードの時に面倒になるんだって。」
「なるほどな。ところでルーク1ついいか?」
「何だ?」
「魔法が使えないなら、かなり硬そうに見えるんだが冒険者や軍はアレをどうやって倒してるんだ?」
「基本的には放置だけど、シュウトが言ったように正面から攻撃しても無駄だから関節部分を狙うか、ひっくり返して攻撃するかだな。」
「裏側は軟らかいのか?」
「いや、関節部分が多いのと口があるから斬撃が通り易いんだよ。」
「なるほどなぁ、じゃあ正面からだと物理攻撃も魔法も効かないって事でいいな。」
「あぁ。」
「じゃあ丁度良い、気での攻撃がどういうモノか、見てろよ。」
俺はそう言うとギガギアクに一瞬で近づき、結構な出力の鎧通しを喰らわせた。
ドン!
俺の攻撃を受けたギガギアクは体液を垂れ流して動かなくなった。
「死んだのか?」
「あぁ、外骨格が硬い分、俺の気を喰らって中身はぐちゃぐちゃだと思うぞ。」
「うぇっ、マジか。でも死骸が残ったままだぞ?」
「何でか分からないけど、傷付けずに気で倒すと死骸が残るみたいだ。」
「じゃあ、気で倒した方が儲かるな。」
「あぁ、だけど俺みたいに全部持っていけるならな。」
「そうだな。まぁ俺がもし修得出来たらマジックバックを幾つも持っていくさ。」
「もしじゃない。身に付けさせる。」
「いや、でもそれだけの肉体レベルに持ってかないと駄目なんだろ?」
「あぁ、とりあえず此処でレベルを上げれるだけ上げて、それでも駄目なら上級を解放して、毎日半日は行ける所まで行って、戻ってきたら恵美のサンドバッグだな。」
「ゲッ、マジか。」
「それが嫌なら必死で数をこなしていけ。」
「こなすってどういう事だ?」
「俺達が魔物を瀕死にするから止めを刺せ。」
「止めだと!俺にそんなダサい事をさせるのか?」
「嫌ならサンドバッグだな。」
俺がそう言うとルークは下を向いて、黙って考えていた。
葛藤してるな。これまでの自分でやってきたプライドが邪魔するんだろうな。だが、短期間で強くなりたいならプライドは捨てないと強くはなれないぞ。
俺がそう思っていると考えが纏まったのか、ルークが俺の方を見た。
「分かった。サンドバッグになるのが怖いとかじゃなく、俺が強くなる為だもんな。要らないプライドは捨てるぜ。」
「分かってるならもう言わないが、止めを刺すだけでもハイペースで行くからちゃんと着いて来いよ。」
俺がそう言うと何かが吹っ切れた顔をしながらルークが俺に声を掛けてきた。
「これでもAランク冒険者だ。舐めてもらっちゃ困るぜ。」
「ふっ、その言葉、後で後悔するなよ。」
「後悔って言葉はもうだいぶ前に通り過ぎたぜ!」
俺達はその言葉にお互い笑いながら手を強く握り合わせた。
「さて、外の様子も気になるし、急ぐぞ!真司!恵美!お前達も聞いてたな!魔物は瀕死まで持っていったら次々闘っていけよ。」
「「は~い。」」
子供達はそう言うと目に付く魔物を俺が示した進行方向、瀕死の状態にして置き始めた。それを見て唖然としてるルークに声を掛けた。
「おい。唖然としてないで早く行かないと追い付けないぞ。ドロップ品は俺が回収するから早くいけ!」
俺がそう言うとルークは槍を構えて走り出した。
俺も転送を使いながら魔物をかき集めて並べて行くとルークも間に合わないと思ったのか槍をもう1本出して、投げたりして、出来るだけ1槍で倒せる様に進んでいて、5層のボス部屋の前室に来る頃にはぎこちなかった動きがスムーズに2本の槍を動かせる様になっていた。
「ふう~、疲れたぜ。これだけ倒すと夢に出てきそうだぜ。」
「まだまだこれからだぞ。もう後悔してるのか?」
「そんな訳ねぇだろ。ただの感想だよ。」
「なら、良い。ところで途中から2本にして、ぎこちなかった動きが良くなってきたけど、何かスキルでも手に入ったのか?」
「あぁ、双槍術ってぇのが、手に入ったぜ。」
「今までやった事が無かったのか?」
「遊びではやってたけど、死にものぐるいでやってた訳じゃねぇからな。」
「そういう事か。ところでもう1つ気になった事が有るんだけど、魔法は使わないのか?」
「2本持ってると使えないんだ。」
「何でだ?」
「魔剣や魔槍は空いてる手で魔法を発動させて使うんだ。」
「何でそれじゃないと発動出来ないんだ?」
「そりゃあそういうモノだからだろ。」
「その理屈だと俺は気で攻撃出来ないって事にならないか?」
「そりゃ使徒なんだから・・・って、あれ?俺が間違ってるのか?」
「そうだ。ただの思い込みだ。じゃないと剣術のスキルを最初から持った者しか、剣術スキルは使えないという事になるだろ。」
「確かに!そうだよな!って事はこの状態でも魔槍が使えるのか!」
「そうだな。先ずは固定観念を捨てる事が重要だろうな。多分それだけでだいぶ強くなるぞ。」
「なるほどなぁ。ヨシ!色々やってみるか!」
「あっ、そうだ。ルーク、お前使った事の無い武器や使った事が有ってもスキルとして発現していないのは他に無いのか?」
「有るけどそれがどうした?」
「なら、良い機会だから他のスキルが発現していない武器で止めを刺していこうか。」
「だが、俺は持ってないぞ。必要無いと思ってたからな。」
「そうか。なら、今日はこのペースだと10階層位までしか行けないから10階層まで行ったら一旦戻って武器を揃えるぞ。」
「お、おう。」
俺達は話終えると5階層のボス部屋に入っていった。
「しかし、不思議だよなぁ。」
「何がだ?」
「海底に在るのに普通に呼吸出来るんだなぁと思ってな。」
「基本的にはそうなってるみたいだぞ。昨日倒した奴もそうだが、水中にあるダンジョンは本来、水中にいる様な魔物が此処では空中にいるからな。まぁそれが幻想的とか言ってるバカもいるけどな。イテッ!イテッ!痛いって!やめ・・・痛!なぁシュウト何とかしてくれ!イテッ!」
そう言いながらルークは訳も分からず、恵美に足をゲシゲシ蹴られていた。
「それはルーク、お前が悪い。」
「何がだよ俺何もイテッ!してねぇって!イテッ!」
「お前が余計な事、言うからだ。」
「俺が何言っイテッ!言ったんだよ。イテッ!」
「ほら、幻想的がどうのって言ったろ。」
「えっ?痛!それがどうしたんだ?イテッ!マジで止めてくれって防具なんて関係ねぇって感じで骨に痛みが来るんだからイテッ!」
「ほう。前世に教えた鎧通しを常時出来る様になったのかぁ。」
「いやいや、感心してねぇで、止めてくれって俺が悪かったから!イテッ!」
「恵美、謝ったんだからそろそろ止めなさい。」
「は~い。」
俺がそう言うと恵美は素直に攻撃を止めた。
「痛ってぇ~。何で防具は傷付いてねぇのにこんなに痛えんだよ。」
「そういう技だからな。」
俺はそう言いながら恵美を撫でていた。
「どうやったら出来んだ?」
「う~ん、魔力は分かるよなぁ。」
「当たり前だろ。」
「じゃあ、闘気は使えるか?」
「知り合いが闘気術の使い手だったから教えて貰った事はあったが、俺には修得出来ねぇって言われた。」
「何でた?戦神の加護が有るなら修得出来そうじゃないか?」
「それが闘気術の修得には適さないんだとよ。」
「何でだ?」
「闘気術の修得には魔力の枯渇状態を維持して、自分の中の闘気を感じるところから始めるんだが、俺は加護のお陰で魔力増大と魔力回復速度上昇を持ってるから、俺は枯渇状態を維持出来ねぇんだよ。」
「なるほど、闘気術は循環もしないということか。」
「循環って何だ?」
「簡単に言うと気を出し入れする事だ。」
「そうするとどうなるんだ?」
「外気を取り込み自身の持つ気の濃度を上げれるから一撃一撃の威力が増す。」
「じゃあシュウトはやってるって事か?」
「あぁ、常にな。」
「だから強いのか。」
「さぁ、強いかどうかはわからんが、循環には人に教えるにあたってもう1つ利点がある。」
「何だ?」
「その者に気付きを与える事が出来る。」
「気付ければ、俺も使える様になるのか?」
「それは分からんが、可能性は充分ある。」
「じゃあ教えてくれるのか?」
「いや、恵美の遊び半分の攻撃で蹲ってる様ではルークだと危険だ。」
「どう危険なんだ?」
「四肢が破裂するか、身体が爆発する。」
「え゛?マジで?」
「あぁ良くて両手が無くなるくらいだな。」
「マジかよ・・・。」
「あぁだからレベルを上げさせようと思って連れてきたんだ。」
「なるほどな、元々修得させるつもりだったって事か。」
「そうだ、この世界に来てから魔物との戦闘を繰り返して行く内にこの世界の魔物、いや、生き物は気に対する防御力が魔力が有る所為で、著しく弱いんだ。例えばそこに居る子供達の魔法も耐えているカブトガニのデカい奴みたいに防御力に特化している様な魔物であってもな。」
「あ、ありゃSランクのギガギアクじゃねぇか。シュウト!シン坊達を止めろ!奴はギアクみたいに魔法を反射させるんじゃなく、受けた魔法を収束させて、10倍の威力で返して来るぞ!」
「大丈夫だ。子供達も感なのか、それを利用して周りにいる魔物を倒していってるぞ。」
「いや!それだけじゃねぇんだ!奴は限界を超えると自爆するんだ!」
「おっと、それは拙いかもしれないな。真司!恵美!一旦、其奴に攻撃するな!」
恵美が真司に乗って、魔法を放っては避け、放っては避けを繰り返していたが、俺が呼び掛けると攻撃を止めて戻ってきた。
「「父(とう)ちゃんどうしたの?」」
「攻撃を受け過ぎると自爆するらしいんでな。恵美は知らなかったのか?」
「知らな~い。だってダンジョンの外だと海をキレイにするから攻撃しちゃダメっておばあちゃんに言われたもん。」
「おばあちゃん?」
「レヴィアタンの事だ。」
ルークが聞いてきたので俺がそう答えるとルークは「レヴィアタンって聖獣レヴィアタンの事だよなぁ・・・。」とブツブツ言ってると思ったら恵美に話し掛けた。
「なぁメグミちゃん、俺達冒険者や軍隊が討伐してるのは何か言ってたか?」
「それなら問題無いって言ってたよ。数の調整には丁度いいって言ってたから。逆に増え過ぎるとおばあちゃんが不味いけど食べて駆除するって言ってたし。」
恵美にそう言われ、ルークはホッとしていた。
「じゃあ何で恵美は攻撃してたんだ?」
「ダンジョン内のは逆に減らさないとスタンピードの時に面倒になるんだって。」
「なるほどな。ところでルーク1ついいか?」
「何だ?」
「魔法が使えないなら、かなり硬そうに見えるんだが冒険者や軍はアレをどうやって倒してるんだ?」
「基本的には放置だけど、シュウトが言ったように正面から攻撃しても無駄だから関節部分を狙うか、ひっくり返して攻撃するかだな。」
「裏側は軟らかいのか?」
「いや、関節部分が多いのと口があるから斬撃が通り易いんだよ。」
「なるほどなぁ、じゃあ正面からだと物理攻撃も魔法も効かないって事でいいな。」
「あぁ。」
「じゃあ丁度良い、気での攻撃がどういうモノか、見てろよ。」
俺はそう言うとギガギアクに一瞬で近づき、結構な出力の鎧通しを喰らわせた。
ドン!
俺の攻撃を受けたギガギアクは体液を垂れ流して動かなくなった。
「死んだのか?」
「あぁ、外骨格が硬い分、俺の気を喰らって中身はぐちゃぐちゃだと思うぞ。」
「うぇっ、マジか。でも死骸が残ったままだぞ?」
「何でか分からないけど、傷付けずに気で倒すと死骸が残るみたいだ。」
「じゃあ、気で倒した方が儲かるな。」
「あぁ、だけど俺みたいに全部持っていけるならな。」
「そうだな。まぁ俺がもし修得出来たらマジックバックを幾つも持っていくさ。」
「もしじゃない。身に付けさせる。」
「いや、でもそれだけの肉体レベルに持ってかないと駄目なんだろ?」
「あぁ、とりあえず此処でレベルを上げれるだけ上げて、それでも駄目なら上級を解放して、毎日半日は行ける所まで行って、戻ってきたら恵美のサンドバッグだな。」
「ゲッ、マジか。」
「それが嫌なら必死で数をこなしていけ。」
「こなすってどういう事だ?」
「俺達が魔物を瀕死にするから止めを刺せ。」
「止めだと!俺にそんなダサい事をさせるのか?」
「嫌ならサンドバッグだな。」
俺がそう言うとルークは下を向いて、黙って考えていた。
葛藤してるな。これまでの自分でやってきたプライドが邪魔するんだろうな。だが、短期間で強くなりたいならプライドは捨てないと強くはなれないぞ。
俺がそう思っていると考えが纏まったのか、ルークが俺の方を見た。
「分かった。サンドバッグになるのが怖いとかじゃなく、俺が強くなる為だもんな。要らないプライドは捨てるぜ。」
「分かってるならもう言わないが、止めを刺すだけでもハイペースで行くからちゃんと着いて来いよ。」
俺がそう言うと何かが吹っ切れた顔をしながらルークが俺に声を掛けてきた。
「これでもAランク冒険者だ。舐めてもらっちゃ困るぜ。」
「ふっ、その言葉、後で後悔するなよ。」
「後悔って言葉はもうだいぶ前に通り過ぎたぜ!」
俺達はその言葉にお互い笑いながら手を強く握り合わせた。
「さて、外の様子も気になるし、急ぐぞ!真司!恵美!お前達も聞いてたな!魔物は瀕死まで持っていったら次々闘っていけよ。」
「「は~い。」」
子供達はそう言うと目に付く魔物を俺が示した進行方向、瀕死の状態にして置き始めた。それを見て唖然としてるルークに声を掛けた。
「おい。唖然としてないで早く行かないと追い付けないぞ。ドロップ品は俺が回収するから早くいけ!」
俺がそう言うとルークは槍を構えて走り出した。
俺も転送を使いながら魔物をかき集めて並べて行くとルークも間に合わないと思ったのか槍をもう1本出して、投げたりして、出来るだけ1槍で倒せる様に進んでいて、5層のボス部屋の前室に来る頃にはぎこちなかった動きがスムーズに2本の槍を動かせる様になっていた。
「ふう~、疲れたぜ。これだけ倒すと夢に出てきそうだぜ。」
「まだまだこれからだぞ。もう後悔してるのか?」
「そんな訳ねぇだろ。ただの感想だよ。」
「なら、良い。ところで途中から2本にして、ぎこちなかった動きが良くなってきたけど、何かスキルでも手に入ったのか?」
「あぁ、双槍術ってぇのが、手に入ったぜ。」
「今までやった事が無かったのか?」
「遊びではやってたけど、死にものぐるいでやってた訳じゃねぇからな。」
「そういう事か。ところでもう1つ気になった事が有るんだけど、魔法は使わないのか?」
「2本持ってると使えないんだ。」
「何でだ?」
「魔剣や魔槍は空いてる手で魔法を発動させて使うんだ。」
「何でそれじゃないと発動出来ないんだ?」
「そりゃあそういうモノだからだろ。」
「その理屈だと俺は気で攻撃出来ないって事にならないか?」
「そりゃ使徒なんだから・・・って、あれ?俺が間違ってるのか?」
「そうだ。ただの思い込みだ。じゃないと剣術のスキルを最初から持った者しか、剣術スキルは使えないという事になるだろ。」
「確かに!そうだよな!って事はこの状態でも魔槍が使えるのか!」
「そうだな。先ずは固定観念を捨てる事が重要だろうな。多分それだけでだいぶ強くなるぞ。」
「なるほどなぁ。ヨシ!色々やってみるか!」
「あっ、そうだ。ルーク、お前使った事の無い武器や使った事が有ってもスキルとして発現していないのは他に無いのか?」
「有るけどそれがどうした?」
「なら、良い機会だから他のスキルが発現していない武器で止めを刺していこうか。」
「だが、俺は持ってないぞ。必要無いと思ってたからな。」
「そうか。なら、今日はこのペースだと10階層位までしか行けないから10階層まで行ったら一旦戻って武器を揃えるぞ。」
「お、おう。」
俺達は話終えると5階層のボス部屋に入っていった。
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