鉄騎の破城槌 麗しき工兵は戦場に橋を架ける

米ちゃん

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第一章:三日の猶予と、二人の出会い

ハーフエルフ、デカ乳王女と面会する

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(──乳でっかいやん!)
 ランスローネが初対面で抱いた第一印象だ。
オワリス王国の王女にしてヴェリア辺境領の領主シャルマーニ・オブ・オワリス。
 ​燃えるような赤髪と、すべてを見透かすような金の瞳。
 健康的な褐色肌に映える、清潔感のある白の衣装。
 だが、その布地を内側から強引に押し広げ、今にも破き散らしそうな胸の隆起は、文字通り「桁違い」の量感だ。
 ​ランスローネは自身の胸を、男を惑わす程度には立派な、上出来な盛りだと思い自慢して活用しているが、その自信が一瞬で粉砕されるほどの圧倒的な質量である。
 ​胸の次に受けた印象は、その風格だ。
 机に腰掛け、不敵な笑みを浮かべるその姿は、王女というよりは既に一国の覇者である。
(あかん、これはチョロそうどころか、一歩間違えたらマジで首飛ぶやつや……!)
 ランスローネは背筋に冷たいものが走るのを感じる。
「貴様か、我が軍の「道」を作れると宣ったハーフエルフは」
 言葉を発したシャルマーニ王女。
 その声は、低音ながらも冷たく澄んだ、金属の鳴き声のような響きだ。
​(うわ、なんやこの声。バリええ声やん。
 低いけど透き通ってて、まるで高級なヴィンテージの楽器鳴らしてるみたいや──って、感心してる場合ちゃうわ! この声で「死ね」言われたら、ほんまに魂抜かれそうや。天性の声魔法か。何となく、王女様がこんな時化た所の領主やってる理由が分かってきた気がする。傍に置いといたら地位を脅かされると疎まれて追放されたんやな)
 ランスローネは王女の大きな胸を注視しながら彼女の境遇について考察する。
「……何処を見ている。我の胸が、そんなに珍しいのか?」
 シャルマーニは腕を組んで膨らみを寄せて上げて更に強調してみせる。
「──ッ」
 反応したのはランスローネではなく、執務室の戸口に立っていたロランドで、精悍な顔を赤らめ、右手で鼻を、左手で鎧の前草摺を押さえていた。
「……ロランド、貴様は外で頭を冷やしてこい」
 今にも鼻血を出して放精しそうなロランドを一瞥して、シャルマーニは部屋を出るように命ずる。
「し、しかし殿下……!」
「そのざまで何が出来る、ほれほれ」
 シャルマーニは両手ではち切れんばかりの膨らみを重たげに持ち上げて揺すってみせた。
「ぐおぉ……ッ!」
 ロランドは鼻を摘み、前屈みになりながらよろよろと執務室を出て行く。
(……風呂入らんとあかんやろな)
 ランスローネは半ば呆れ、半ば気の毒に思いながら見送った。
 ロランドがよろよろと去り、扉が閉まった。
 その瞬間、シャルマーニの口角から不敵な笑みが消え、金色の瞳が冬の湖のように冷たく、鋭くランスローネを射抜いた。
「……さて、余興は終わりだ、ハーフエルフ。
 貴様に何が出来るのか、試させて貰おう」
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