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第三章:アイゼン・ガルドの平穏な日々
ハーフエルフ、都市計画を命じられる
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領主館本館二階にある、シャルマーニの私室。
朝食を終えたランスローネは、シャルマーニの私室の前に立つと、意を決して、重厚なオーク材の扉をノックをする。
「シャルマーニ殿下、ランスローネでっせ」
「──入れ」
中から短く、だが力強い声が響いた。
「失礼しますー」
ランスローネは恐る恐る扉を開く。
その先にあったのは、王族らしく華美な装飾品で着飾った部屋ではなかった。
壁一面に広げられた詳細な周辺地図、床に積み上げられた歴史書や軍事書。
磨き抜かれ武具。
窓際に置かれた大きな机には、インクの匂いと使い古された羊皮紙が散乱している。
(何か、らしいと言っちゃあらしいけど、戦士の香りがする空間やなー)
足を踏み入れたランスローネは、室内を見渡して小さく息をつく。
部屋の主であるシャルマーニは腕組みして、胸の膨らみを持ち上げながら、机の上に広げられた大きな羊皮紙を見つめている。
羊皮紙には、アイゼン・ガルドの俯瞰図が描かれていた。
(また何か、三日でやれって言うんちゃうか?)
ランスローネは予想しつつ、机の前まで歩み寄って覗き込む。
「……なんや姫さん、熱心やなぁ。さっき広間で言うてた『我が覇道を珠で一周』ってやつ、もしかして世界征服でも企んでるんかいな?」
シャルマーニは視線を俯瞰図から動かし、ゆっくりと顔を上げた。
金の瞳が、太陽のように鋭く、熱くランスローネを射抜く。
「世界征服を目標とせねば、大きな事を成し遂げる事など叶わぬ。このヴェリア辺境領を封土として与えられたが、この寂れた辺境で満足するなど、我にとっては死も同義だ。
まずはその起点作り……我らの足元を固める必要がある」
シャルマーニは俯瞰図を指で叩く。
「ランスローネよ、お前に命じる。
三日以内に、このアイゼン・ガルドを、王都キヨスを凌ぐ都市に作り変えろ。
出来なければ──その細い首を刎ねる」
「アホ抜かせ!」
予想していたランスローネだが、思わず即答してしまう。
「いくらうちでも、三日で街一つ作り変えるなんて魔法使っても無理や!
突貫工事で無理やりやったら、街が崩壊してまうわ!
そんなやっつけ仕事なんかやりたくないわ!」
ランスローネが絶叫に近い指摘を入れると、シャルマーニは「ははははは」と愉快そうに笑った。
「冗談だ。いま貴様の首を落とせば、我が覇道は頓挫してしまう。そんな損失、我の誇りが許さん」
シャルマーニは腕を組み直して豊かな胸をぐいと持ち上げた。
「だが、三日ごとに結果を出せ。
そして何が変わったか、この我に見せろ。
資材と人員は、必要なだけ要求しろ。
可能な限り揃えてやる。
ロランドは、お前の専属騎士にしてやる。
深い仲になっただろうから、盛大にこき使ってやれ」
「ふっ、深い仲って言うな!」
「ははははは」
ランスローネは顔を耳まで真っ赤にし、シャルマーニは闊達に笑うのであった。
朝食を終えたランスローネは、シャルマーニの私室の前に立つと、意を決して、重厚なオーク材の扉をノックをする。
「シャルマーニ殿下、ランスローネでっせ」
「──入れ」
中から短く、だが力強い声が響いた。
「失礼しますー」
ランスローネは恐る恐る扉を開く。
その先にあったのは、王族らしく華美な装飾品で着飾った部屋ではなかった。
壁一面に広げられた詳細な周辺地図、床に積み上げられた歴史書や軍事書。
磨き抜かれ武具。
窓際に置かれた大きな机には、インクの匂いと使い古された羊皮紙が散乱している。
(何か、らしいと言っちゃあらしいけど、戦士の香りがする空間やなー)
足を踏み入れたランスローネは、室内を見渡して小さく息をつく。
部屋の主であるシャルマーニは腕組みして、胸の膨らみを持ち上げながら、机の上に広げられた大きな羊皮紙を見つめている。
羊皮紙には、アイゼン・ガルドの俯瞰図が描かれていた。
(また何か、三日でやれって言うんちゃうか?)
ランスローネは予想しつつ、机の前まで歩み寄って覗き込む。
「……なんや姫さん、熱心やなぁ。さっき広間で言うてた『我が覇道を珠で一周』ってやつ、もしかして世界征服でも企んでるんかいな?」
シャルマーニは視線を俯瞰図から動かし、ゆっくりと顔を上げた。
金の瞳が、太陽のように鋭く、熱くランスローネを射抜く。
「世界征服を目標とせねば、大きな事を成し遂げる事など叶わぬ。このヴェリア辺境領を封土として与えられたが、この寂れた辺境で満足するなど、我にとっては死も同義だ。
まずはその起点作り……我らの足元を固める必要がある」
シャルマーニは俯瞰図を指で叩く。
「ランスローネよ、お前に命じる。
三日以内に、このアイゼン・ガルドを、王都キヨスを凌ぐ都市に作り変えろ。
出来なければ──その細い首を刎ねる」
「アホ抜かせ!」
予想していたランスローネだが、思わず即答してしまう。
「いくらうちでも、三日で街一つ作り変えるなんて魔法使っても無理や!
突貫工事で無理やりやったら、街が崩壊してまうわ!
そんなやっつけ仕事なんかやりたくないわ!」
ランスローネが絶叫に近い指摘を入れると、シャルマーニは「ははははは」と愉快そうに笑った。
「冗談だ。いま貴様の首を落とせば、我が覇道は頓挫してしまう。そんな損失、我の誇りが許さん」
シャルマーニは腕を組み直して豊かな胸をぐいと持ち上げた。
「だが、三日ごとに結果を出せ。
そして何が変わったか、この我に見せろ。
資材と人員は、必要なだけ要求しろ。
可能な限り揃えてやる。
ロランドは、お前の専属騎士にしてやる。
深い仲になっただろうから、盛大にこき使ってやれ」
「ふっ、深い仲って言うな!」
「ははははは」
ランスローネは顔を耳まで真っ赤にし、シャルマーニは闊達に笑うのであった。
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