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#2 不運は重なる

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 リーシェがクロードを思いだしプリプリしながら教室へ向かう廊下を歩いていると、後ろから、
「おはよう!リーシェ」
と明るい声が聞こえた。


 彼女はデイジー。
 王都のマクレガン伯爵家の次女で、リーシェの親友だ。
 ただ、リーシェと違うのは、彼女の実家は鉱山を持っていてお金持ちってところ。



 「リーシェ、昨日のイーデン先生の課題出来た?最後の問題が分からなかったのよね」 
というデイジーの言葉に、


 「えっ!!」
と、リーシェは髪が逆立つくらいに驚いた。


 「…もしかして忘れてた?」


  (あの先生、罰が厳しいのに~!)
 と、心の中で泣き叫んだ。


 リーシェが半泣きしてると、後ろからぶっと吹き出す笑い声がした。


 「ぶっ…俺の写させてやるよ…ふふ」


 笑いながら近づいてくる彼はアレクシス。
 チェスター侯爵家の跡取り息子で、明るいブロンドに透き通った青い目の美男子。
 いかにもな王子様系男子で女子にもとても人気。
 だけど全く気取ってなくて話しやすくて、仲の良い友達だ。


 「神様…!ありがとう!」
 そう言ってリーシェはアレクシスの手を取ってブンブンと振った。


 その時、フッと人影がリーシェを覆った。
 振り向くと…、
 やっぱりアイツだ。


 また人を見下したような偉そうな目でリーシェを見て、ふっと鼻で笑い去っていった。


 (むきゃあぁぁ!)


 些細なことかもしれないけれど、5年以上も続けば怒りも溜まる。
 しかし彼は公爵家のご令息。
 学園内では平等と言いつつも、下手な事を言えば不敬罪になるのだ。


 (でも、いつか絶対一回は泣かしてやる!)
と、リーシェは無駄に意気込んだ。




 

 だが、この日は色々と不運が重なったようだ。


 イーデン先生の授業時間。
 イーデン先生は魔法薬の先生でよく言えば知的。
 サラサラの肩までの髪にインテリなメガネの男の先生だ。


 (アレクシスのお陰で、課題はバッチリ!)
 そう思ってリーシェはニコニコと笑っていた。


 「ふっ…」


 と笑い声が聞こえて声がした方を向くと、やっぱりアイツだ。
 リーシェは一人で笑っていたことが恥ずかしくなりプイッと前を向いた。


 (今回は席まで近い。早く席替えないかなぁ)


 なんて思ってると、イーデン先生が、
 「この前のテストを返す」
 と言った。


 (今回はまぁまぁ出来たと思うのよね)


 なんて心の中で鼻歌歌いながら、戻ってきたテストの点を見てリーシェは目が飛び出るほど驚いた。
 …過去にない赤点だった。


 「お前…ヤバイんじゃないか」
と、クロードの声がして飛び上がった。


 リーシェは顔を真っ赤にして、
「みっ見ないでよ!」
とテストを隠した。




 (イーデン先生は最下位に罰掃除をさせる…)




 ダラダラと汗を流していると、イーデン先生は、
「最下位はリーシェ・アイレスター。放課後実験室の掃除をするように」
と、キリリッと言った。


 「はい…」


 (あァァ、終わった…)
リーシェはパタリと机にうつ伏せた。




 (この、オカッパメガネめ…(泣)!)



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