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#3 不運は更に重なる

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 ーーー放課後。

 リーシェは実験室に一人ポツンと立っていた。


 実験室は広い。
 そして、備品が多い!
 一人で備品を整理して、床をホウキで掃いて、そして先生の机はピシッとしなければならない。
 このピシッと具合が肝心だ。


 リーシェはむんっと意気込んで一人で黙々と掃除を始めた。


 (罰掃除も何回もやって手際がよくなったもんね)
と思って一人でズンと落ち込んだ。





 それは、実験室の一番後ろの窓を閉めようとした時だった。
 ふとロッカーと壁の隙間に紙袋が置いてあるのに気付いた。


 (何かしら?)


 中を覗いてみると、中には見たことのないものが入っていた。


 (魔道具?)


 (擂り粉木のような形の物が2つ…擂り粉木にしては、片側がなんかちょっと変な形だし、ひとつはトゲドゲ?してる…)


 (落とし物かしら?届けあげよう)


そう思って持ち帰ることにした。







 掃除が終わり教室へ戻った頃にはすっかり陽が傾いていた。
 (誰もいないし、きっともう先生もいない。落とし物は明日届けよう。)


 そう思って紙袋を鞄に突っ込んだ。


 そして暗くなる前に帰らなくてはと足早に歩き出した。


 

 (今はあまり使われてない旧校舎、ここを通ると寮までの近道なんだよね)

 と歩いていると時だった。
 「ひゃあっ」
 何もないところでつまづいて転んでしまった。

 鞄が飛び、中身が散乱した。


 「いたぁ…」

 と体を起こすと、ふと砂利を踏む足音と共に人影が自分に近寄ってきた。


 見上げると…やはりクロードだった。


 「お前…今のは完全に何もなかったぞ」
と呆れた顔で手を差しのべた。


 (またこいつ!こういう時何でいっつもいるのよ!)


 リーシェは赤くなってプイッと横を向くと、
「い、いらない」
と、クロードの手を断った。


 するとクロードは溜め息をついて、散らばったリーシェの荷物を拾いだした。


 「拾わなくていい…!」


 恥ずかしさでリーシェがそう言った時だった。




 中身がはみ出た落とし物の紙袋にクロードの手が止まった。
 そしてクロードが手に取ると中身がコロコロと転がり出た。


 「あっ」


 とリーシェが声をあげた。


 (落とし物なのに汚れちゃう)


 そう思った時、呆然と立っていたクロードがポツリと、
「クソ…油断した」
と言った。


 (えっ)


と思いながらクロードの顔を見て、リーシェは驚いた。


 (ひぇっ、何か怒ってる…!怒りのオーラが見える!)


 リーシェは、
 「あ、あの、ありがとう」
と言ってそそくさと転がったものを紙袋に戻し、そして立ち去ろうとした時だった。


 腕がグイッと引っ張られ前に進まない。


 「?」


 リーシェが振り返るとクロードが手首を掴んでいた。


 そしてリーシェの手首を力一杯掴んで、そのままズンズンと旧校舎の中へと向かっていった。



 (な、ななな、何なの!?)


 「待って、クロード!」


 リーシェは困惑しながらクロードに引き摺られて行った。

 
 
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