10 / 30
#10 ミニティビー
しおりを挟む千匹以上はいそうなミニティビーの群れは一斉にリーシェめがけて飛んで来た。
リーシェは全力で走り出した。
(わ、私の水魔法で…)
魔法には属性がある。
複数使える者もいるが、リーシェは水魔法しか使えない。
もちろん、こんな残念な子が強力な魔法を使える訳もなく、せいぜい100匹落とせるくらいだろう。
(振り返って魔法を放つ余裕もない…)
「いたっ…!」
リーシェの背中に痛みが走った。
(背中刺された…!)
「やだぁ…!」
痛みで涙が出てくる。
その時、
「リーシェ!こっちに来い!」
という声が聞こえた。
声が聞こえた方を向くとクロードがいた。
さすがに焦っている様子だった。
リーシェはクロードに向かって走り出した。
「クロードぉぉぉ~~~!!」
リーシェは泣きながらクロードに勢いよく飛びついた。
クロードは片手でリーシェを抱き止めると、反対の手を前へかざした。
するとクロードの手からミニティビーへと向かって大きな炎が渦を巻いて放たれた。
その爆風でリーシェの髪が宙を舞う。
ミニティビーは一瞬で黒焦げになった。
(すごい!クロードの魔法…)
「はぁ…」
とクロードがため息をついて、リーシェをぎゅっと抱き締めた。
そしてリーシェを見て、
「お前…鼻水出てるぞ」と言った。
「だって…怖かったんだもん…」
とぐずぐずと涙も鼻水も垂らしながらクロードを見上げた。
クロードはハンカチを出すと、リーシェの鼻に当てた。
「悲鳴が聞こえて来てみれば…お前は本当に鈍くさいな」
「うん…ありがとう」
とリーシェはハンカチで顔に出た色々を拭った。
「刺されてないか?」
「…背中、ちょっと刺された」
そして、クロードのハンカチで鼻をかんだ。
「お前…人のハンカチで…」
「新しいの返すから」
クロードは呆れた顔をして再びため息をつき、
「後で治癒魔法かけてやる」と言った。
「治癒魔法できるの!?今じゃだめなの?」
とリーシェが聞くと、クロードは少し言いにくそうに、
「…直接触らないと出来ない」と答えた。
(直接…!それによく考えたら今私はクロードの腕の中…!)
リーシェは真っ赤になり、
「じゃあいい」
とそっぽを向いた。
「複数刺されてたら1週間熱出るぞ。後で来いよ」
「……」
(治癒魔法使える人なんてそういない…)
「うん…」
森の入り口までクロードが付き添ってくれた。
そして、森から出るとデイジーとクラウディアが待っていた。
「リーシェ!どこ行ってたの!」
「心配したよ。今から先生に言うところだった」
「うん…ごめんね。月の雫草探してたら迷子になっちゃって。クロードが助けてくれたの」
(ミニティビーに襲われたのは黙っておこう…)
「でも月の雫草見つけたよ」
とリーシェは月の雫草を二人に差し出した。
(これも嘘。クロードがくれただけ)
すると二人は目を輝かせ、
「おぉ~!」と言った。
「結局見つけられなかったの。助かったよ」
とクラウディアは笑顔で言った。
(うっ…ちょっと罪悪感)
背中の刺された所もズキズキと痛んだ。
(直接触られるのは恥ずかしいけど、一週間寝込むよりマシだし、早く治してもらおう)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる