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#21 クロード

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 ーーー俺は小さい頃から公爵家の後継者として、「このようにあるべき」という姿を厳しく教え込まれた。
 その上、俺に勉強も魔法も剣術もできた。
 周りからの期待は大きく、自分も「このようにあるべき」姿の為に努力を惜しまず、自分に厳しく生きてきた。


 


 そんな俺がリーシェに会ったのは13歳の時だ。


 俺は初等部からこのセオジネル王立学校に通っていたが、リーシェは高等部からの編入だった。


 初めて会った日、リーシェは教室の窓から、両方の手で頬杖をついて、窓の外を見ていた。
 俺も外を見たが、特別何もなかった。
 いつも見る学校からの何の変哲もない風景。


 でも、彼女は何か素敵な物でもみるかのように、そのキラキラした瞳で微笑んでいた。


 柔らかな薄茶の髪、柔らかなラズベリー色の視線。


 ーーー完全に一目惚れだった。
 

 

 …だが、こいつが本当にドジなヤツだった。
 何も無いところで転ぶ、バケツの水をぶちまけてずぶ濡れになる、は通常通りだ。





 あまりに鈍臭いので、俺はリーシェが学校外に行くときはこっそり護衛を付けている。


 リーシェがいつも話していた「親切なお兄さん」の話だが…。
 街で落とした財布を拾ってくれた「親切なお兄さん」は俺が付けた護衛だ。
 転んで、手に持っていたリンゴをぶちまけて、野犬にヒットし追いかけられていたときに助けてくれた「親切なお兄さん」も俺が付けた護衛だ。
 あまりに護衛と遭遇する事が多いので度々人を変えている。


 俺は俺で授業で外に出るときは、リーシェに何かが起きないかひたすら気になる。





 正直、自分がこいつを好きな事を何度も疑った。
 俺が親なら都会に一人で出したりしないと思うくらいだ。


 だが、彼女は何があっても笑っている。
 泣いていても微笑ましく感じて、こちらは笑顔になってしまうくらいだ。
 そして何事にも一生懸命な姿が健気だ。


 俺は彼女が心配だったのもあるが、傍で彼女を見ていたくてこの5年間「リーシェと同じクラス」を公爵家の財力で買った。
 もちろん、誰も知らないことだ。





 だからあの時はかなりの衝撃だった。



 リーシェの荷物から×××型の魔道具が出てきた時の事だ。
 純粋で単純で鈍臭いアイツを誰かが騙して弄んでいるいるに違いない。
 (因みに、×××型の魔道具は一瞬で消し炭にしてやった。)


 俺は過去にないくらい頭に血が昇った。
 そいつから奪い返し、守らねばと。


 いっぱい気持ち良くさせれば、俺の方が良くなるに決まっている。
 そうさせる自信もある。




 単純にそう思っていたが…。
 あんなにいやらしい体をしているとは思っていなかった。
 柔らかい彼女に触れ、淫らな姿を見て、俺自身の理性がなくなったのも事実だ。


 自分に抑えが効かない。
 もっとリーシェに触りたい、淫らなリーシェが見たい、リーシェを感じさせたい。


 ーーーリーシェを感じたい…。


 …その男の事なんか忘れてしまうくらいに、リーシェを抱いてしまいたいーーー。



 


 

 
 




 
 


 
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