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#22 野外授業 再び

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 どんよりとした空、灰色の雲、鬱蒼とした森…。


 (わぁ……今日は全然ウキウキしない…)


 そう。
 本日も薬草採取のため野外授業があっているのだ。


 今日は雨の日しか咲かないミツリ草の花の採取だ。その為傘持参である。
 前回の森とは違い、森は鬱蒼としており、空は今にも雨が降りそうな気配だ。


 「皆さん、今日はミツリ草の花の採取です。この森は魔獣はいないとされ安全ではありますが、雨が降れば草が滑りますので十分気をつけて下さい。一人で入ってはいけませんよ。」
とモリー先生が言った。


 (デイジーたちと…)
 リーシェがそう思った瞬間、


 「リーシェ、俺と行こう」
 誘ってきたのはアレクシスだった。


 (アレクシス、心配してくれてるんだろうな)
 リーシェはそう思い頷いた。




 二人は会話をしながら森の散策を始めた。


 見上げても天辺が見えないほどの大きな木々が森を覆っていて、森は薄暗く、鳥の声すら聞こえない。
 そして蔦が多く木々に絡み付いている様は何やら不気味だった。


 (クロードは誰と行ったのかな…)


 (クロードなら一人でも大丈夫だろうけど、女の子に囲まれてたな…)


 そんな事を考えながら、地面を見ながらミツリ草を探す。
 こんな雨が降りそうな日は動物の影すらない。


 「なかなか見つからないね」
とリーシェが言った時だった。


 ふとアレクシスの足が止まった。


 リーシェは振り返り、
 「アレクシス、どうしたの?」
と声をかけた。


 アレクシスの様子が変だ。
 切ないような、苦しいような、悲しいような、そんな表情をしていた。


 (アレクシスも何か聞いて欲しいことがあったのかも)
 リーシェはそう思い、アレクシスにそっと近づいた。


 「アレクシス…」
 リーシェがそう言った時だった。


 アレクシスが急にリーシェを力一杯抱き締め、二人が持っていた傘が落ちた。


 「アレクシス…どうしたの?」


 アレクシスは僅かに震えているようだった。


 「リーシェ…」


 (アレクシス震えてる。具合が悪いのかも…)
 リーシェがそう考えていると、


 「…リーシェ、俺じゃダメなの?」
とアレクシスが言った。


 「え…」


 「俺だってずっとリーシェを見てきた」

 
 (何の事を言ってるの…?)


 「最近リーシェはクロードばかり見ているだろ…。でも彼は婚約者がいるんだ」


 その言葉に突然心臓がドクッと跳ねた。


 (シェリー様…)


 「リーシェ、俺を選んで欲しい…」


 アレクシスはそう言うと、抱き締めていた手を緩めリーシェを見つめた。
 アレクシスの頬が少し赤くなっていた。
 …そしてアレクシスの顔が少しずつ近づいてきた。


 (キスされちゃう…!)


 「や…!やだ…!」
 リーシェは咄嗟にアレクシスを突き飛ばした。


 そしてはっと我に返り、
 「アレクシス、ごめん…!」


 そう言って駆け出した。


 (アレクシスはいつから私の事を好きだったんだろう…)


 (何も気付かなかった)



 だんだんと息が切れる。
 自分の今にも途切れそうな呼吸を聞きながらリーシェは走った。




 (でもクロードの顔しか浮かばない…)
 
 
 
 

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