24 / 30
#23 雨やどり
しおりを挟むクロードの不思議な炎がゆらゆら揺れている。
洞窟の外からは雨音がしとしとと聞こえてくる。
「そっか…。いつもクロードにはドジばっかり見られてると思ったら、心配して来てくれてたんだ」
そう言ってリーシェはクロードを見つめて微笑んだ。
「ありがとう…」
そう言ったリーシェのラズベリー色の瞳に、ゆらゆら揺れる炎が映ってキラキラしていた。
「いや…」
と、クロードは少し頬を染めて顔を背けた。
「そう言えば…マリアベルがお前を招待したいと言っていた」
「マリアベル様が!?一度もお話したことないけど…!?」
驚いているリーシェにクロードはふっと笑うと、
「1週間後マリアベルの誕生パーティーがあるんだ。招待状送るからデイジーたちと来たらいい」
と言った。
しかしリーシェはあっという顔をすると、しゅんと下を向いた。
「でも、私パーティーとか行くことないと思ってたからドレスを持ってないの。1週間後じゃ仕立てが間に合わないわ…」
するとクロードは、
「ドレスなら心配いらない。パーティーの2時間前に人を送ろう。エスコートの事も心配要らない」
(マリアベル様、どうして呼んでくれたのかな?でもお断りするのは失礼だし、私も行ってみたい…)
「…うん、ありがとう」
そう言ってリーシェはにっこり笑った。
しとしとと降る雨は次第に音が緩やかになっていく。
少しの間、二人は外の様子を眺めて黙っていた。
ふとクロードが沈黙を破った。
「アレクシスとは何があったんだ?」
リーシェはドキッとした。
(アレクシス…どうしたらいいんだろう。クロードにも何て答えていいか分からない…)
「ちょ…ちょっとケンカしちゃったの…」
リーシェは俯き言葉を濁しながら答えた。
クロードは暫く黙っていた。
「…雨が上がりそうだ。皆が心配しているだろうから戻ろう」
クロードはそう言って立ち上がると、リーシェに手を差し出した。
「滑るから手を繋ごう」
リーシェは少し躊躇ったが、顔を赤くするとクロードの手を取った。
そして二人は、手を繋いで森を歩きだした。
「リーシェ!クロード!」
二人が森を出ると、デイジーやモリー先生たちが待っていたが、クロードが探しに行ったので連れて帰るだろうと捜索はまだされていなかった。
「クロードが連れて帰ると思ってたからもうちょっと待ってようと思って」
とデイジーが苦笑いした。
(皆にクロードは私のお守り役だと思われていたのね)
リーシェは内心自分にガッカリしながらもクスッと笑った。
そしてふと見ると、そこにはアレクシスが立っていた。
悲しそうな、切なげな顔をしていた。
「リーシェ…ごめん…」
そう言ったアレクシスにリーシェは、
「私こそごめんね。突き飛ばしたりして…」
(ど、どうしよう!?何て言えば…!)
オロオロしているリーシェに、アレクシスはリーシェが落とした傘を手に近付いた。
そしてリーシェがその傘を手に取った時、
「俺、待つよ」
そう言って去っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる