29 / 30
#28 マリアベル
しおりを挟むパーティー会場に到着すると、その広い会場はまるで宝石箱のようだった。
ダイヤのようなシャンデリアが輝き、内装も装飾も全てが美しく、バラの花が花園のように咲き乱れていた。
まだパーティーには早かった為、到着している人々は少なかったが、それでも華やかなドレスが華々しかった。
リーシェは圧倒され、暫く見とれていた。
「リーシェ」と名を呼ばれ我に返ると、そこにはマリアベルがいたのだ。
(えっ名前を…)
「あ…っリーシェ・アイレスターです。お誕生日おめでとうございます。」
リーシェは慌ててお辞儀をした。
「あなたの事はよく知ってるわ」
マリアベルはそう答えた。
「あの…?」
(何故私の事を知っているのかしら…私は一方的にファンですけど!)
マリアベルはクロードと同じ黒い艶やかなロングヘアに赤い瞳をしている。
一言でその容姿を表すならクールビューティだ。
一見冷ややかに見えがちだが、その美しさ、艶やかさに誰もが憧れた。
(マリアベル様は覚えてらっしゃらないと思ってたけど、あの時の事かしら…)
ーーーあれは3年前、マリアベルがまだ在学していた時だ。
リーシェは中庭を走っていて、例のごとく何も無いところで顔から転んだのだ。
起き上がろうとした時、クスクスと笑い声が聞こえた。
そちらに目を向けると、そこにはマリアベルとその取り巻きが数人いたのだ。
(恥ずかしい…顔に砂もついてる…)
リーシェは恥ずかしさで死にそうになった。
その時に近付いてくる足音で見上げると、マリアベルがハンカチを差し出し、
「差し上げるわ」
そう言って去っていった。
ーーーマリアベルは笑っていなかった。
(あれ以来、マリアベル様がお優しい人なんだって知って更にファンになったわ…!あの時のハンカチは今も宝物だもの!)
マリアベルは扇子で口元を覆い、じっとリーシェを見つめた。
「あなたのドジぶりは有名だったわ」
「えええ…!ドジ…!」
リーシェは驚いて落胆したが、その様子を見たマリアベルはふっと笑ってこう続けた。
「あなたが余りにドジだから目が離せずにいたわ。そうしたら余りに可愛いから…。それにクロードからも話を聞いていたしね」
そう言ってクロードに目を向けると、クロードは慌てて、
「マリアベル!!」
と大声を出した。
するとマリアベルはクスクスと楽しそうに笑うと、
「リーシェ、今日は来てくれてありがとう。遅くなるから泊まっていきなさい」
と言い、そしてリーシェに近付くと耳元で小声で、
「うちの客室の防音は完璧よ」
と囁いた。
そしてクロードの方を向くと、
「クロード!分かってるわね!」
と鋭い目で言った。
クロードは手をぐっと握ると、
「…分かってる」
とだけ答えた。
(防音…?一体何の話?)
そしてマリアベルはにっこりと微笑むと去っていった。
「あの…クロード?」
ふとクロードの顔を見上げると、クロードの顔が火照っていたーーー。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる