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第2章:生きている実感と防衛機関『アイリス』という存在
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今まで生活密着型アンドロイドの生産が行なわれていたが、軍事用アンドロイドの製造やシステム開発へ方向転換となり、健人の両親や有名大手企業の門寺ロボティクスコーポレーションが提携して、防衛機関『アイリス』の正式運用開始に至った訳だ。
訓練を積んだ隊員たちと軍事用アンドロイドによる現地調査を進められ、そのデータをもとに未知なる脅威に対する研究が早急に行われた。人々はその間にも新たな厄災が発生すると危惧したが、新たな兆候は見られなかった。
そんな中で発見されたものがあった。第二の心臓と呼ばれる『パンドラ』と新たな進化を遂げた『シンクロイド』の誕生だ。
ごく一部の隊員から心臓とは別に生体エネルギーが満ちた大小様々な箱のような形を成したものが体内に存在し、その特殊な力は『パンドラ』と名付けられた。また、パンドラ内に存在する生体エネルギーが何らかのきっかけでアンドロイドとシンクロし、アンドロイドの能力が飛躍的に向上したという研究結果が出て、そのアンドロイドを『シンクロイド』と呼称された。
政府はそれらの存在を公表し、国民に新たな希望を与えた。……というより、パンドラを持つ人間を一人でも多く探し出し、自国の軍事力を上げたいというのが公表に踏み切った理由だ。
間もなくして、アイリスは成人した男女を対象に、パンドラ適合試験を開始した。研究段階で様々な憶測が飛び交い、一部の国民からは激しい批判があった。
厄災による失業率は今もなお過去最悪で、生活困窮者が街に溢れている。仮に、適合試験に合格すれば、アイリスの正規職員となり、衣食住は無償で保障され、おまけに高収入・高待遇なのだ。こんな甘い話に裏があろうとも、今よりもより良い生活がしたいという気持ちを抱く若者はきっと多いだろう。自分がパンドラであって欲しいと一縷の望みを抱き、多くの若者たちが会場に殺到したと報道された。
「大変そうだなぁ。僕は幸い仕事もあるし、そんな困ってはいないけど……。母さんはアイリスへ出向してから、全然帰って来ないし。無理してなきゃいいけど」
自分の父が関わっているんだ。母に無理難題を押し付けて、こき使っているに違いないと脳裏によぎった。
健人は配属先の病院で医療用アンドロイド運用管理委員会の代表となり、医療用アンドロイドの普及に注力した。今まで何の気なしに使っていたし、広域搬送のことで手いっぱいだったため、手元にきちんとしたマニュアルが無い。そんな状態だったため、最初はひっきりなしに呼び出しをされ、ゆっくりと休む時間が無かったが、マニュアルの作成やスタッフへのヒアリングなどを行ない、努力の甲斐あってか、全スタッフが安心かつ安全に医療用アンドロイドを使いこなせるようになった。
ここまで一年の歳月を要した。……長いようで短い期間だったと、健人は肩の荷が下りたような気分だ。健人はまだ細々とした課題が残っているが、大きなプロジェクトを終え、達成感に満ちた思いで足早に帰宅した。帰宅すると、母が久し振りに実家へ戻って来た。アイリスでの仕事は激務だったのだろうか、母は少しやつれているように見えた。
「あれ? 母さん、アイリスでの仕事は? もしかして、休暇とかで帰って来たの?」
「健人、ただいま。休暇じゃないわよ、母さんはアイリスを辞めたの」
「えっ、辞めたの! や、辞めて大丈夫だったの? 父さんに怒られなかった?」
「怒られないように、がむしゃらに働いたわよ。それであらかた片付いたから、後任の研究員たちに丸投げしちゃった」
「丸投げって……。まぁ、母さんならやりかねないか」
台所で母とお手伝いさんが楽しそうに食事を作っている様子を見て、健人は懐かしさを感じ、心がほんわかと温かくなった。食事を終え、健人は母の片付けを手伝った。
「健人はパンドラ適合試験のこと、知ってるわよね?」
「うん、なんとなく。でも、仕事で忙しくて、そんなん受けている暇ないよ。……まぁ、今はそれなりに落ち着いたけど。まさかとは思うけど、受験しろとかじゃないよね?」
健人の嫌な予感は的中した。父は母の退職条件の一つとして「健人を受験させること」を提示したそうだ。健人はその胸クソ悪い条件に眉を顰めた。健人の表情を見て、母は小さくため息をつき、呆れた顔をした。
「そんな顔しないでよ。受験するだけだから。それに適合判定もシビアだし、父さんの我儘だと思って、受けるだけ受けたら?」
「うーん、受けること自体は良いけどさ。僕はやりたいことがあるんだよね」
「健人がやりたいこと?」
「厄災から何年も経っているけど、病状が安定している患者さんや退院可能だけど帰る場所が無い患者さんが溢れてて、地域包括ケアシステムは機能破綻しているし、生活困窮者の手助けもしたい。今こそ民間シェルターを設けるべきだと思うんだ」
「確かにそうね。前にも言っていたわよね。でも、その前にパンドラ適合試験を受けてよ。父さんとの約束なんだから」
数日後、健人は試験会場を訪れた。このような試験会場は各地方にいくつか設けられているらしい。健人はここで手を抜くと後で父からお𠮟りを受けてしまうのではないかと不安になり、至って真面目に試験を受けた。後日届いた判定通知書には『能力判定不能』という結果であり、健人は胸を撫で下ろした。そして、母と一緒に民間シェルターの運用について本格的に動き始めた。というよりか、人脈のある母が主に動いてくれ、健人自身は医療用アンドロイドに関する資料を完璧に仕上げ、きちんと引き継ぎを行ない、良い頃合いを見て病院を退職した。
実家を民間シェルターとして正式に運用開始したのは、厄災からもうすぐ三年が経とうとしていた時だった。開放するやいなや、老若男女問わず多くの人が押しかけた。三年経過しても生活困窮者は存在するのだと痛感し、健人は医師である母と母が何処からかスカウトしてきたスタッフらと協力しながら、民間シェルターの支援員として働いた。母が連れてきた人たちは皆厳しくも優しく、臨床とは違う看護のあり方を学び、充実した日々を過ごしていた。
第二東京特別区には新たな商業複合施設がいくつも建設され、国民の生活の質の向上を目的とし、生活密着型アンドロイドの再製造も行なわれ、都心のような街へすっかりと生まれ変わった。ここにいれば事足りるし、自分たちを守ってくれる人もいる。人々は厄災に対する危機感が薄れてきていた。
訓練を積んだ隊員たちと軍事用アンドロイドによる現地調査を進められ、そのデータをもとに未知なる脅威に対する研究が早急に行われた。人々はその間にも新たな厄災が発生すると危惧したが、新たな兆候は見られなかった。
そんな中で発見されたものがあった。第二の心臓と呼ばれる『パンドラ』と新たな進化を遂げた『シンクロイド』の誕生だ。
ごく一部の隊員から心臓とは別に生体エネルギーが満ちた大小様々な箱のような形を成したものが体内に存在し、その特殊な力は『パンドラ』と名付けられた。また、パンドラ内に存在する生体エネルギーが何らかのきっかけでアンドロイドとシンクロし、アンドロイドの能力が飛躍的に向上したという研究結果が出て、そのアンドロイドを『シンクロイド』と呼称された。
政府はそれらの存在を公表し、国民に新たな希望を与えた。……というより、パンドラを持つ人間を一人でも多く探し出し、自国の軍事力を上げたいというのが公表に踏み切った理由だ。
間もなくして、アイリスは成人した男女を対象に、パンドラ適合試験を開始した。研究段階で様々な憶測が飛び交い、一部の国民からは激しい批判があった。
厄災による失業率は今もなお過去最悪で、生活困窮者が街に溢れている。仮に、適合試験に合格すれば、アイリスの正規職員となり、衣食住は無償で保障され、おまけに高収入・高待遇なのだ。こんな甘い話に裏があろうとも、今よりもより良い生活がしたいという気持ちを抱く若者はきっと多いだろう。自分がパンドラであって欲しいと一縷の望みを抱き、多くの若者たちが会場に殺到したと報道された。
「大変そうだなぁ。僕は幸い仕事もあるし、そんな困ってはいないけど……。母さんはアイリスへ出向してから、全然帰って来ないし。無理してなきゃいいけど」
自分の父が関わっているんだ。母に無理難題を押し付けて、こき使っているに違いないと脳裏によぎった。
健人は配属先の病院で医療用アンドロイド運用管理委員会の代表となり、医療用アンドロイドの普及に注力した。今まで何の気なしに使っていたし、広域搬送のことで手いっぱいだったため、手元にきちんとしたマニュアルが無い。そんな状態だったため、最初はひっきりなしに呼び出しをされ、ゆっくりと休む時間が無かったが、マニュアルの作成やスタッフへのヒアリングなどを行ない、努力の甲斐あってか、全スタッフが安心かつ安全に医療用アンドロイドを使いこなせるようになった。
ここまで一年の歳月を要した。……長いようで短い期間だったと、健人は肩の荷が下りたような気分だ。健人はまだ細々とした課題が残っているが、大きなプロジェクトを終え、達成感に満ちた思いで足早に帰宅した。帰宅すると、母が久し振りに実家へ戻って来た。アイリスでの仕事は激務だったのだろうか、母は少しやつれているように見えた。
「あれ? 母さん、アイリスでの仕事は? もしかして、休暇とかで帰って来たの?」
「健人、ただいま。休暇じゃないわよ、母さんはアイリスを辞めたの」
「えっ、辞めたの! や、辞めて大丈夫だったの? 父さんに怒られなかった?」
「怒られないように、がむしゃらに働いたわよ。それであらかた片付いたから、後任の研究員たちに丸投げしちゃった」
「丸投げって……。まぁ、母さんならやりかねないか」
台所で母とお手伝いさんが楽しそうに食事を作っている様子を見て、健人は懐かしさを感じ、心がほんわかと温かくなった。食事を終え、健人は母の片付けを手伝った。
「健人はパンドラ適合試験のこと、知ってるわよね?」
「うん、なんとなく。でも、仕事で忙しくて、そんなん受けている暇ないよ。……まぁ、今はそれなりに落ち着いたけど。まさかとは思うけど、受験しろとかじゃないよね?」
健人の嫌な予感は的中した。父は母の退職条件の一つとして「健人を受験させること」を提示したそうだ。健人はその胸クソ悪い条件に眉を顰めた。健人の表情を見て、母は小さくため息をつき、呆れた顔をした。
「そんな顔しないでよ。受験するだけだから。それに適合判定もシビアだし、父さんの我儘だと思って、受けるだけ受けたら?」
「うーん、受けること自体は良いけどさ。僕はやりたいことがあるんだよね」
「健人がやりたいこと?」
「厄災から何年も経っているけど、病状が安定している患者さんや退院可能だけど帰る場所が無い患者さんが溢れてて、地域包括ケアシステムは機能破綻しているし、生活困窮者の手助けもしたい。今こそ民間シェルターを設けるべきだと思うんだ」
「確かにそうね。前にも言っていたわよね。でも、その前にパンドラ適合試験を受けてよ。父さんとの約束なんだから」
数日後、健人は試験会場を訪れた。このような試験会場は各地方にいくつか設けられているらしい。健人はここで手を抜くと後で父からお𠮟りを受けてしまうのではないかと不安になり、至って真面目に試験を受けた。後日届いた判定通知書には『能力判定不能』という結果であり、健人は胸を撫で下ろした。そして、母と一緒に民間シェルターの運用について本格的に動き始めた。というよりか、人脈のある母が主に動いてくれ、健人自身は医療用アンドロイドに関する資料を完璧に仕上げ、きちんと引き継ぎを行ない、良い頃合いを見て病院を退職した。
実家を民間シェルターとして正式に運用開始したのは、厄災からもうすぐ三年が経とうとしていた時だった。開放するやいなや、老若男女問わず多くの人が押しかけた。三年経過しても生活困窮者は存在するのだと痛感し、健人は医師である母と母が何処からかスカウトしてきたスタッフらと協力しながら、民間シェルターの支援員として働いた。母が連れてきた人たちは皆厳しくも優しく、臨床とは違う看護のあり方を学び、充実した日々を過ごしていた。
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