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第一章 幼少時代
第四話 小山田信茂との関係
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永録十一年、(1568年)十二月十二日、冬、山本家当主になってから二年後、御屋形様が、今川氏真の支配する駿河に侵攻を開始し、俺も独自の軍勢四百人を率いて、薩垂峠にて、今川の軍勢と戦いを始めたが、鎧袖一触で勝利した。
勝因は今川家臣の武田への寝返りである。
その今川家臣の寝返りのきっかけは、俺の考案した火打式銃四百丁を装備している山本鉄砲砲隊のたった一回の一斉射撃で、今川の軍勢三百人を撃ち殺されたからだ。
今川家臣は、その鉄砲隊の殺傷力と轟音で恐怖に駆られ、また、御館様率いる軍勢の多さに武田に寝返った。
なぜ四百丁の火打石銃を三年の間に得られたのは、近江、国友村、摂津、堺から鉄砲鍛冶や紀州の雑賀、根来の鉄砲放ち達を御館様の再可で雇い集め、上野の民から、火打石を買い、また、山本家の兵を訓練して、ようやく出来たのが山本鉄砲隊であった。
火薬も硫黄や炭は手にはいるが、硝石を三年前に大規模生産に着手し、ようやく、山本鉄砲隊の供給に間に合う量を賄う事ができた。
無論、武田の重臣達から反発や嫌がらせもあったが、御屋形様が擁護し、資金も提供して下さったからだ。
こうして、山本鉄砲隊の活躍で今川が此方に手も出せずに退却すると、御屋形様は、
「勝鬨を挙げるぞ!」
すると武田家臣も合わせて、
「エイエイオー、エイエイオー」
と武田家臣は勝利の雄叫びを挙げた。
駿河は呆気なく、武田の領地となり、直ぐに御屋形様の呼び出しを受けて、仮の武田が占領した駿河館に向かった。
御屋形様は俺が来るなり笑顔のような、苦悩のような顔をして話し掛けてきた。
「山本勘蔵。今回の手柄天晴れである。褒美に甲州金、銭二百貫与える。また、駿府館にあった銭三千貫も内密与える。勘蔵。忠告をしておくぞ、儂の親族衆の穴山がお主に不満を持っている用心せよ! 理由は解るな?」
「御意。手柄を独り占めしていると思われるのでござるか? 御館様……。ならば、実力のある親族衆の小山田信茂様に良き得物を渡す事で穴山様を牽制しましょう」
御屋形様は、ほっとしたように、
「小山田に強力な得物を渡すのは賛成じゃ! あ奴の土地、郡内は甲斐でも、作物が取れず、特に貧しい。だが、軍勢は精強な者が多い。特に石の投擲は巧みで、敵を撃ち殺ろす程じゃ! 勘蔵……。まさか、その事に目をつけたのか? 油断ならない奴ぞ! 儂の肩の荷がおれるわ」
駿河を武田が支配したが、直ぐに徳川、北条連合軍が侵攻してくる事を知り、甲斐へ帰還する。
永録十二年、(1569年)十月六日、関東、北条家に報復する為、相模の小田原城を包囲をしたが、兵糧が不足した為、甲斐に退却する途中、三増《みませ》峠にて北条が追撃してきたが、、今回は俺の出番は少ないだろう。
今回の主役は小山田様なのだから。
小山田様は俺に笑顔で会釈した後、
「炮烙隊前へ! 北条に炮烙玉を投げよ!」
小山田隊は炮烙を五個、北条の軍勢に投げ込んだ。
すると、
「ドドーン、ドドーン……」
何と、追撃してきた北条の前衛部隊が、吹き飛ばされ、その迫力に敵も味方も騒然したが、小山田様と俺は構わず、
「「敵を殲滅せよ!」」
と言い放つと、味方の武田家臣達も、
「「攻めよ! 山本と小山田様ばかりに負けるな続け!」」
北条の軍勢は退却し、一番手柄を小山田様、二番手柄を俺、山本与七郎勘蔵が手に入れ、小田原までに、北条から略奪した武具、食料、宝物等や銭千二百貫を頂いた。
更に俺の事を気に入った小山田様は、自分の娘である幸姫を俺の妻にする事にした。
こうして、甲斐の山本館で婚礼を、義父の小山田様が指揮を取り行われた。
御屋形様や武田家臣、上野の豪族、近隣諸国からの祝儀で二千五百貫分の祝いの品が届き、三日の間婚礼を行われた。
勿論、全て俺の祝いではなく、武田の力を近隣諸国や上野の豪族に見せつける為である。
ただ、越後の上杉政虎、(後の謙信)から、名馬二頭、黄金五百枚、父、山本勘助の首級が贈られて来た。
上杉の使者は、柿崎景家という越後の知勇兼備な武将で、政虎の言伝てを申した。
「二代目山本勘助殿。亡き父君、山本殿の首を返す。また、祝言の品も贈った。もし、甲斐の生臭坊主、(武田信玄)が気に入らなければ、我が家臣として迎える。共に戦場で合戦を楽しもうぞ!」
と、堂々と言い放ち去って行った。
こうして、俺も十六歳にして、敵味方も含めて本当の意味で武田家臣と認められたのだった。
勝因は今川家臣の武田への寝返りである。
その今川家臣の寝返りのきっかけは、俺の考案した火打式銃四百丁を装備している山本鉄砲砲隊のたった一回の一斉射撃で、今川の軍勢三百人を撃ち殺されたからだ。
今川家臣は、その鉄砲隊の殺傷力と轟音で恐怖に駆られ、また、御館様率いる軍勢の多さに武田に寝返った。
なぜ四百丁の火打石銃を三年の間に得られたのは、近江、国友村、摂津、堺から鉄砲鍛冶や紀州の雑賀、根来の鉄砲放ち達を御館様の再可で雇い集め、上野の民から、火打石を買い、また、山本家の兵を訓練して、ようやく出来たのが山本鉄砲隊であった。
火薬も硫黄や炭は手にはいるが、硝石を三年前に大規模生産に着手し、ようやく、山本鉄砲隊の供給に間に合う量を賄う事ができた。
無論、武田の重臣達から反発や嫌がらせもあったが、御屋形様が擁護し、資金も提供して下さったからだ。
こうして、山本鉄砲隊の活躍で今川が此方に手も出せずに退却すると、御屋形様は、
「勝鬨を挙げるぞ!」
すると武田家臣も合わせて、
「エイエイオー、エイエイオー」
と武田家臣は勝利の雄叫びを挙げた。
駿河は呆気なく、武田の領地となり、直ぐに御屋形様の呼び出しを受けて、仮の武田が占領した駿河館に向かった。
御屋形様は俺が来るなり笑顔のような、苦悩のような顔をして話し掛けてきた。
「山本勘蔵。今回の手柄天晴れである。褒美に甲州金、銭二百貫与える。また、駿府館にあった銭三千貫も内密与える。勘蔵。忠告をしておくぞ、儂の親族衆の穴山がお主に不満を持っている用心せよ! 理由は解るな?」
「御意。手柄を独り占めしていると思われるのでござるか? 御館様……。ならば、実力のある親族衆の小山田信茂様に良き得物を渡す事で穴山様を牽制しましょう」
御屋形様は、ほっとしたように、
「小山田に強力な得物を渡すのは賛成じゃ! あ奴の土地、郡内は甲斐でも、作物が取れず、特に貧しい。だが、軍勢は精強な者が多い。特に石の投擲は巧みで、敵を撃ち殺ろす程じゃ! 勘蔵……。まさか、その事に目をつけたのか? 油断ならない奴ぞ! 儂の肩の荷がおれるわ」
駿河を武田が支配したが、直ぐに徳川、北条連合軍が侵攻してくる事を知り、甲斐へ帰還する。
永録十二年、(1569年)十月六日、関東、北条家に報復する為、相模の小田原城を包囲をしたが、兵糧が不足した為、甲斐に退却する途中、三増《みませ》峠にて北条が追撃してきたが、、今回は俺の出番は少ないだろう。
今回の主役は小山田様なのだから。
小山田様は俺に笑顔で会釈した後、
「炮烙隊前へ! 北条に炮烙玉を投げよ!」
小山田隊は炮烙を五個、北条の軍勢に投げ込んだ。
すると、
「ドドーン、ドドーン……」
何と、追撃してきた北条の前衛部隊が、吹き飛ばされ、その迫力に敵も味方も騒然したが、小山田様と俺は構わず、
「「敵を殲滅せよ!」」
と言い放つと、味方の武田家臣達も、
「「攻めよ! 山本と小山田様ばかりに負けるな続け!」」
北条の軍勢は退却し、一番手柄を小山田様、二番手柄を俺、山本与七郎勘蔵が手に入れ、小田原までに、北条から略奪した武具、食料、宝物等や銭千二百貫を頂いた。
更に俺の事を気に入った小山田様は、自分の娘である幸姫を俺の妻にする事にした。
こうして、甲斐の山本館で婚礼を、義父の小山田様が指揮を取り行われた。
御屋形様や武田家臣、上野の豪族、近隣諸国からの祝儀で二千五百貫分の祝いの品が届き、三日の間婚礼を行われた。
勿論、全て俺の祝いではなく、武田の力を近隣諸国や上野の豪族に見せつける為である。
ただ、越後の上杉政虎、(後の謙信)から、名馬二頭、黄金五百枚、父、山本勘助の首級が贈られて来た。
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「二代目山本勘助殿。亡き父君、山本殿の首を返す。また、祝言の品も贈った。もし、甲斐の生臭坊主、(武田信玄)が気に入らなければ、我が家臣として迎える。共に戦場で合戦を楽しもうぞ!」
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