友人の距離

たいら

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番外編

他人の目1

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 僕は目を疑った。
 とても信じられず、立ち尽くしていた。
 僕の名前は木村眞也きむらしんや、27歳。出版社に勤務している。今日は僕が担当する小説家の家へと打ち合わせのため訪れていた。
 その小説家とは天野征あまのせい
 若い女性を中心に人気のある作家だ。
 事件は天野の携帯電話が鳴り、天野が部屋を出て行ってしまった後に起きた。
 僕は何気なく座っていたソファから立ち上がり、窓辺へと歩いた時だった。
 少しだけ開いた窓から初夏の風が吹いたのだ。するとノートパソコンや資料用の書類などが乱雑に乗った机からヒラリと一枚、何かが落ちた。
 それを拾い上げてみると、それは先程まで僕の目の前にいた小説家のあられもない姿だった。
「せ……先生?」
 天野征という小説家は身長175センチくらいの痩せた体型で、色白で顔は整ってはいるが少々尖り過ぎる鼻は横顔に神経質さを漂わせ、人を余り寄せ付けない雰囲気だ。しかし笑った時のその顔は神経質さなどどこにもない、目尻が下がって人懐っこい子供のような顔になるのだ。
 初対面でたじろいでも何度も会えば先生のことを皆たちまち好きになってしまうだろう。
 それが……。
 その写真に写るその天野征の横顔は……。
 なんと男性器を口に含んでいたのである。
 男性器は根元の部分しか見えないが天野の顔と比較してもかなり太いだろう。間違いなく巨根と言えるレベルだ。 
 それを天野は……。
 美味しそうに目をとろんとさせながら、咥え込んでいるではないか!
 これは完全にプライベートな写真だ。見てはいけないものだ。
 僕は慌てて写真を元の場所に戻そうとした。しかし、山積みの資料の中に他の写真も見つけてしまったのだ。
 それはカメラ目線のアップでまたも天野が嬉しそうに男根を咥えているものだった……!
 これで間違いなく同意の元で撮られたものだと分かる。
 (先生が男と……)
 天野のプライベートは全く知らないがこの予想外の出来事に僕はかなりショックを受けた。
 (しかもこれ裸じゃないか?)
 見切れて入るが天野の上半身は裸に見える。
 ということは……
 ということは……!?
 僕はもう居ても立ってもいられなくなり、写真を元に戻し、鞄を持ちバタバタと家を出てしまった。途中でまだ電話中の天野とすれ違ったが顔を見れなかった。
 先生があんなものを撮るなんて!! 信じられない!! しかもなんであんなところに置いておくんだ!! 無防備すぎる!!
 相手はどんな奴だ!!
 怒りがこみ上げながらマンションを出て歩いていると、あることを思い出しバタリと足を止めた。
 そうだ。
 天野の家で会ったことがある天野の友人と言っていたあの男。いかにもいい人そうな顔をしたあの体の大きな男。
 あいつたしか、プロの写真家と言っていたはず!
「あの巨根はあいつか!!」
 僕はすれ違う人の存在を忘れ大声を出していた。
 




「今日はどうしたの?」    
「……何が?」
 天使のようにかわいい顔に上から心配そうに見下ろされ、僕は笑顔になった。
「……ん……なんか今日、激しいね……」
「そう? 久しぶりにそうくんに会ったからじゃないかな?」
 僕はごまかしつつ上に乗る細い体の腰を掴み直した。
 下から揺さぶると蒼くんは艶々の髪を揺らし苦悶の表情を作り、首をのけ反らせた。
「……あっ……あっ……あっ……」 
 体と一緒に揺れる蒼くんの小さくとも形のいいペニスを握る。
 蒼くんがおねだりの表情をして僕を見下ろした。
「……んっ……んっ……んっ……」
 蒼くんは自ら僕の上で腰を振り、僕のペニスへの愛撫に喘いだ。
「……んっ……あっ……もう、イきそうっ……先にイっていい?……」
「……いいよ……」
  僕は白い肌を赤く染める神々しい体を見上げた。
「……あっ……あっ……!!」
 勢いよく体が跳ねた。
 若く瑞々しい体から精液が勢いよく放たれた。
「……はぁ……はぁ……なんか、僕も久しぶりだったからごめんね……」
 汗に濡れる首筋を手の甲で拭きながら創くんが謝ってくれた。
「いいってば。蒼くんも久しぶりだったんだ?」
 創くんが僕のモノを体内から抜き、僕の横に来た。
 軽くキスをする。
「うん。試験中だったから。休んでたんだ」
「そっか」
 蒼くんはまだ二十歳で学生だ。
 僕がたまに使うデリヘルに一年ほど前から在籍している。恋人がいない僕はよく店を通して蒼くんを呼ぶ。
「蒼くん、お願いがあるんだけど」
「なに?」
「今日は口で抜いてくれるかな?」
「珍しいね。いいよ」
 第二戦がなくて拍子抜けしたかもしれないが蒼くんは枕元のペットボトルの水を飲み、汗を拭きつつ僕の足の間へと入ってくれた。
 僕の膨張したペニスを掴む。
「僕、木村さんのこれ好きだよ」
 蒼くんが僕のペニスに天使の笑顔を寄せながら言った。
 それはまるでフェラチオのCMの様にも見える。
「大きさがちょうどいい」
「悪かったな」
 蒼くんはもう一度笑うと形のいい唇で僕の亀頭を含んだ。
 わざと音をたててしゃぶってくれる。蒼くんはお尻のテクニックも良いがお口のテクニックも素晴らしいのだ。
「……あぅ……」
 僕は七歳も年下の男の子に翻弄される。
 ……こんなにきれいな顔して、淫乱でしかもペニスが大好きなんて……。さっき小説家の家で見たあの写真を思い出した。上品な顔をしてあんなものを咥え込んでいたなんて……。
 僕はジュブッジュブッと下品な音をたてながらペニスをしゃぶる天使を見下ろしてそっと頭を撫でた。
「……気持ちいい……、蒼くんこのままま出してもいい?……」
「……ん……」
 僕は背徳感を感じながらもしばらく溜めていた濃い目の精液を天使の口へと放出した。久しぶりの幸福感に満たされる。
 そして余韻を味わうため一緒の布団に入り、つかの間の恋人気分を味わった。




 蒼くんが帰るので僕は近くのコンビニに行くついでに途中まで送っていくことにした。もう少し恋人気分を味わいたかったからだ。
 しかし近所のコンビニの中が見えたところで僕は足を止めた。
 そこにはなんと、天野征とあの巨根カメラマンがいたのだ。
 ……まずい!!
 僕は近くの電柱へ身を隠した。
「どうしたの?」
 蒼くんが不思議な顔をしている。
「し、知り合いがいるんだ。今日はあんまり顔を会わせたくなくて……」
 蒼くんには僕の職業を話していない。だから詳しいことは言えないが、あのあと急に体調が悪くなったから帰ったと先生には言い訳をしていたのだ。だからここで見つかる訳にはいかないのだ。
「あれ? あの人」
「ん?」
 蒼くんもコンビニの中を見ている。
「あの背の高い方。うちの常連だった人だ」
「え!?」
 あの巨根カメラマンも常連だったのか……。
「最近ぜんぜんだったけど、恋人ができたんだね」
 蒼は嬉しそうに笑った。
「ねぇ、あの常連さんの恋人、僕に似てない?」
「えっ!? そっ、そうかな?」
 僕は思わず焦ってしまう。
「もしかしたらあの人の代わりに僕を呼んでたんじゃないかなぁ?」
 なぜか僕の心は痛くなった。
「そ、そうかな?」
「でも良かった。かなり一方的なセックスをする人だったから。でもあの恋人さんとは幸せそうだね」
 今二人は一緒にチョコレートを選んでいるようだ。あの写真を見たあとのせいか二人はイチャイチャしているようにも見える。
 一方的なセックス? それは先生の体が心配だ……。あの男に体を壊されたりしないだろうか?
 僕が考え込んでいると、創くんに肩を叩かれた。
「じゃ、僕は帰るから」
 あっさりそう言って帰ろうとする蒼くんに僕は我に返った。
 そうだ、僕はあの二人よりもこっちの天使の方な大事なんだった!
「あ、蒼くん!」
 蒼くんが振り返る。
「あの、また、呼んでも良いかな?」
「もちろん!」
 蒼くんが大きく笑いながら僕に近づき、耳元に唇を寄せて囁いた。
「木村さんだったらプライベートでも会ってあげても良いよ?」
 まさに天使のささやきだ。僕は顔がみるみる赤くなるのを感じた。
「じゃあね!」
 そう言って元気良く手を振って去る蒼くんに、僕もぶんぶんと元気良く手を振り返した。




    
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