聖・黒薔薇学園

能登

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...
......

「本当に良いんだね...四季。」

「ん...。」

腹を括ったような顔。

息を乱し、涎を垂らす、マテをされた獣のように月城は首筋に顔を埋めた。

天蓋付きのフカフカなベッドの上。

柔らかさを確かめるように体へ手を滑らせる月城は、首筋に噛み付こうとしてから頭を振った。


「ああ、危ない...判断力が欠如してる。」

「どうした?」

「首なんかに噛み付いたら速攻でバレる...。」

「あ!確かに...二人だけの秘密なのに。」

「首が噛みやすいんだけど、出来れば皮膚が柔らかいところがいい...例えば...太腿とか。」

「太...」

首ならまだしも、太腿を噛ませるって何だか変態っぽい。


「ほ、他に噛みやすいところは...?」

「胸、あとは脇の下かな。」


(変態っぽ過ぎる...。)


四季の服に手をかけ、そっと脱がせていく彼の姿にドキドキする。

自分の体を晒すのも恥ずかしいが、月城に血を与えると決めた手前、恥ずかしがってもいられない。


「...想像していた通りの綺麗な体...。」


あっという間に下着姿にされ、四季は彼から目を逸らした。

やっぱり、めちゃくちゃ恥ずかしい。


「...内腿、噛んでいい...?」

「え!?あ、うん...!」

焦って同意したが、月城が片足を担ぎ飲みやすいように四季の体を折り曲げる。
下着に包まれた四季の陰嚢に彼の髪や耳が触れて、変な声が出そうだった。

「っ、やっぱこの体勢は」

「ん...?」

視線だけをこちらに向けた月城の荒い息が、皮膚にあたる。
ギラリと妖しく光る瞳は、体の芯が凍りついてしまいそうになるほど恐ろしいのに、どこか情熱的で目が離せない。


「大丈夫...、痛くはしないよ。」

あ、と口を開けた彼が内腿に歯を押し当て、そしてゆっくりと肉体へ埋めた。

「んっ...!」

なんとも言い難い快感が背筋を走る。

背中を仰け反らせ、己の体が強ばれば月城は四季と指を絡めた。

喉を鳴らし、四季の血を吟味する月城の体は徐々に熱を持っていく。
月城が失われた体温を取り戻した時、ようやく内腿から口を離し、薄く笑った。

「...ごちそうさま。」

「はぁ...っ、は...。」



「そんなに気持ちよかった?」

「へ...?」


薄目で月城を見る。

恍惚とした表情に濡れた唇が、いやに妖艶で目を奪われた。


「勃起してるから。」

「.........あ!?!?」




そんな、嘘...だろ。

下着を押し上げた四季のペニスは、先端に染みまで作り見るに堪えない。


「ご、ごめ...!気にしないで...、すぐおさまるから...!」

男性器とかいうグロテスクな物がついているかどうかも怪しい、美しい月城の前でこんな姿を晒すなんて死にたくなる。

穴があったら入りたいとは、正にこのことを言うのだろう。

しかし月城は、四季の予想を上回る回答をした。


「お礼に、抜いてあげようか。」

「...抜...、え?」

「?」

「抜くって意味、知ってんの...?」

「僕も男だからね。」


間髪入れずに、四季の勃起したペニスを下着から取り出したかと思うと、それに躊躇うこともなく口へ含んだ。

「わ、っ...ぁ...待っ、て...月城...っ」


月城が、俺のを舐めてる...!


「汚、いから...!」

「君はどこもかしこも...ん、綺麗だよ...。」

「あっ、んなわけ...ふ......ぅん...♡」


(つーか何でそんなに、フェラ上手いんだよ!!!!!!)

下腹部から鳴り響くお世辞でも上品とは言えない水音に耳を塞ぎたくなる。

四季は元々性欲が薄く、月に一回処理するかしないか。
親しい間柄の人間がいなかったこともあり、勿論童貞だ。

自分の手しか知らない四季は、あまりにも気持ちのいい口淫に腰を戦慄かせ、呆気なく彼の口の中に射精した。

「あ...、はぁ...っ口離せって...言ったのに...。」

喉を鳴らしながら四季の出した精液を飲んだ月城は目を細める。


「濃いね。」

「な、...全然抜いて無かったし...。」

濃い薄いの判断が出来るって何なんだ、一体。


「性欲あんまり強くない?」

「ほぼ無い、別にそんなに気持ちいいって思わないし...。」

「本当?僕に舐められて凄い声出てたけど。」

「っ!そ、そういう月城はどうなんだよ、性欲!!」

月城に体を拭いて貰い、速攻で下着や衣服を身に纏う四季は声を荒らげて彼に迫った。
自分だけがこんなに恥ずかしい思いをするなんて、どうにも腑に落ちないからだ。



「さあ、どうだろうね。」

(なんだ、この余裕は!)


「ムカつく...俺ばっか恥ずかしい思いしてる...。」


「照れてるの?」

「照れてない!」


血を吸う前の月城とは大違いで、今の彼はよく笑う。
体温も人並みで、顔色も良い。

これが本来の月城なのだろう。

「僕はシャワーを浴びてくるけど、勝手に帰ったりしないでね?」

「どうして?」

「僕に血を吸われたせいで、君から血の香りがしている。

危ないからここにいて。」


ここはヴァンパイアの巣窟。

血の香りが漂う人間がこの部屋を出たら...、そんなの勉強のできない四季にだって安易に理解出来た。

「じゃあ今日は、この部屋にお泊まり...ってこと...?」


浴室へ姿を消す月城を見送り、四季は再びフカフカのベッドに身を沈めた。
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