がんばれ!工業高校生

まこと

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C館へようこそ

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教室に入ると、一人の男子が騒いでいた。
「1日で火薬1トン消費できるからな!」
今日も朝から賑やかだなー、と思いながら自分の席に着いた。
彼は野田という名前で、環境科に所属する生徒だ。
野田は先日、火薬物取扱者という資格を取ったらしく、よくこうやって自慢している。
たしかに高校生で火薬を1トン消費する免許を持っているのは自慢できることだ。
だが…
「野田うるせー」
何度も聞かされるとやっぱりしつこい。
「あ、水本おはよう!」
「おはよー」
まあ、いいやつなんだけどね。
面白いし、優しいし。
けど、
「ベンゼン環サイコー!」
急に黒板まで歩いていき、化学式と図を書きはじめた。
「この二重結合の所がなんとも言えないよね!」
俗に言う、化学オタクである。
「水本くんおはよー。今日も野田さんは元気だね」
一人の女の子が俺に話しかけてきた。
彼女の名前は新藤という。
俺と同じく情報科に所属している。
「野田はいつでも元気だよ。プログラミングのテストどーだった?」
昨日定期テストの結果が返ってきた。
「あ、すごいよ!いつもより20点も上がってた!」
「まじで!?」
「まじまじ!水本くんのおかげだよー」
「いやー、なんかめっちゃ嬉しいな」
水本くんのおかげ、と言うのも、テスト前に2回ほど勉強を教えてあげたのだ。
自作のテスト対策プリントも渡してあげたのだか、まさか20点も上がるとは思っていなかった。
「ほんとにありがとねー。過去最高点だったよー」
これだけ延びてくれると、こっちも頑張って教えてよかったと思える。
「ちなみに水本くんは、テスト何点だった?」
「俺は96点だよ」
「たっか。やっぱりすごいなー」
「プログラミングだけね」
そう、プログラミングだけは90点以下を取ったことがない。
そうゆう点では俺はプログラムオタクなのかも。
「おーい席つけー」
担任の先生が入ってきた。
ショートホームルームの始まりだ。

1日のスケジュールをすべて終え、学校は放課後になった。
清掃場所に行き、適当に掃除を終わらせて教室に戻ってくると、野田と新藤が話していた。
なにしているんだろう、と思いドアのガラスからしばらく覗いていた。
が、特に変わったこともせず普通に話しているので、俺はドアを開けて教室に入った。
「あ、待ってたよー」
と新藤が言う。
「俺を?なに、告白でもする気?」
「あははは!」
笑いやがった。
否定しろよ!と思いながらなづきに近い席に座る。
まあ、新藤の好きな人は知ってるんだけどね。
「で、なに?プログラミングのことならなんでも聞いて」
「プログラミングはいいや」
じゃあなんだよ、こえーよはやく言えよ、と焦らす新藤に嫌な予感を察知した俺はカバンを握りしめた。
いつでも逃げられるように。
野田が口を開いた。
「なんかC館で幽霊が」
俺は素早く立ち上がりドアに向けて駆け出した。
だが、野田と新藤に腕を掴まれ、逃げることができない。
「ちょ、待って。まじ勘弁して。幽霊とか無理じゃん。バカじゃん。漢字が既に怖いじゃん」
「お願い、話だけでも聞いて!」
「やだよ!ふざけんな!ぜったい行かねーからなー!」

閑話休題。
というわけで俺、野田、新藤の3人はC館にやって来ていた。
前から少し話題には上がっていた。
足だけしかない人とすれ違ったとか、変な音が聞こえるとか。
だからできるだけC館は避けていたのに…
「で、新藤の危険物取扱者乙4の申請の為にC館に来なきゃいけなくて、一人だと怖いから誰かを待ってたと」
「うん」
待ってたよ、とか調子のいいこと言いやがって。
誰でも良かったんじゃねーか。
でも、あれ?よく考えたらおかしい。
「野田と二人で行けばよかったじゃん」
なぜ3人なのか。
と、その問に新藤が答えた。
「野田さん霊感あるから、引き寄せちゃいそうで、二人だと怖いなーって」
そこでC館2階環境科職員室にたどり着いた。
「じゃあ行ってくるね。待っててよ!」
ん?待てよ。
俺、新藤がいなくなったら野田と二人じゃん。
「ねぇ、野田」
「いるよ」
「なにが!?」
おかしくないか?
名前呼んだ返しで、いるよって。
「水本からは見えないから大丈夫だと思う」
ぜんぜん大丈夫ではないと俺は思う。
「あーもー怖すぎるー。新藤早く戻ってこいよー」
「あ、」
「なに!?」
「山本からグーピタもらったんだけど、いる?」
「しね!」
しぬほどびっくりしたじゃねーか。
おっと、口が悪くなってしまった。
つーか山本、またグーピタ持ってきてたのかよ。
黒ごまチョコレート味だ。
そうこうしてる内に新藤が職員室から出てきた。
「お待たせー。なに食べてるの?」
笑顔の新藤。
「機嫌いいじゃん。なんか良いことでもあった?」
「そう?別にないよ。ねぇ、なに食べてるの?」
まあ、資格の申請だもんな。
機嫌よくもなるか。
て言うか資格の申請ってなんだ?
「じゃあ教室戻ろっか」
と野田が歩き始めた。
「うん。て言うか、その食べてるやついつも山本さんが持ってるやつ?」
お、新藤ついに気づいたな。
果たして正解に辿り着けるのだろうか。
「なんだっけーそれ。グーピータンだっけー?」
スーミータンみたいに言うな。
などと話ながら歩いている内に、教室に到着。
「結局なにもでなかったねー。野田が驚かしたりしてくるから、本当にいるのかと思ったよ」
「野田さんだめだよー。水本くんの叫び声、職員室の中まで聞こえてたんだから」
野田はきょとんとした表情で、
「え?本当にいたよ?足だけの人」

C館には、環境科職員室、環境科実験室、音楽室等々しかないので情報科の俺はめったに行かない。
だからよかったけど…
もう一人ではC館に行けなくなってしまった。
あのとき野田がいるよって言ったのは、やっぱり幽霊のことだったのか。
でもなんで、C館には幽霊がいるのだろう。
学校の七不思議的な?
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