がんばれ!工業高校生

まこと

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パソコン室の片隅にて、
「ここ…?」
「うん…、そんなにじっくり見ないで…」
二人の男女が、
「わぁ…こんなに複雑なのか…」
「ねぇ…恥ずかしいよ…」
なにやらコソコソと、
「もう少しだけ見せて…?」
「うん…」
小声で話ながら、
「あー、だめだ…。ちょっと入れていい…?」
「いい、よ…」

「ここにscanf("%d",&a);が足りないよ」
「あーそこかー」
プログラミングをしていた。
「なんで二人はさっきから小声なの?」
と、山本が聞いてきた。
二人とは、俺と新藤のことだ。
「いや、だって授業中だし」
と答える新藤。
その顔は真剣そのものだ。
おそらく会話の内容に気付いていない。
山本はたぶん気付いていて、聞き耳を立てていたのだろう。
尻をモゾモゾと動かし、落ち着かない様子でグーピタの箱をいじっていた。
「そーゆー山本はもう打ち終わったの?」
「終わったよ。お前の写した」
「勝手に写すな」
山本はこういう所がある。
「ねぇ水本くん、はやく続き~」
未だに自分がちょっとエロい感じに話しているのを自覚していないのか、新藤が袖を引っ張ってきた。
もう少し遊んでやるか。
「ほら、ここでしょ?(ここがわからないんでしょ?)」
「うんっ…、もぅおかしくなりそう…(うん。分からなすぎておかしくなりそう)」
「もう少しだけ広げて、入らないじゃん(スペースを入れて、文が入らないから)」
「んっ…でも、そんなの…!(いやでも、余計にわかりにくくなる)」
「いきたいんでしょ?(課題を提出しに行きたいでしょ?)」
「うん…いきたい…いかせてっ…だめになっちゃうから…(うん。提出しに行きたい。赤点になっちゃうから)」
「おいおいおい!お前ら会話おかしいだろ!」
「うるせーな山本。もう新藤がいきそうなんだよ」
「とんでもない発言してることに気付け、水本!」
いちいちうるさいな。
気付いていないのは新藤だけだ。
こんな会話内容でお互い気付いていないとか、奇跡通り越してあり得ないから。
というか、新藤も気付いているかもな。
普通にいきそうとか言わないし。
だめになっちゃうとかおかしいもん。
と、ホワイトボードの前に座っていた先生が急に立ち上がり、
「おーい、終わったやつははやく出せー」
「ぶっ!」
吹き出す山本。
先生、タイミングいいですね。
もしかして話聞いてました?
よし、山本に追い討ちをかけてやろう。
「え、もう出しちゃっていいんですか?」
「おお、いいぞー」
「いきまーす」
「あははは!水本お前…!」
と、足をバタバタさせながら笑う。
あれ、足元にあるそれ、俺のパソコンの電源ボタン…
「山本、落ち」
がこっ!
「あ、」
山本の右足の親指が、見事電源ボタンを捉えた所で今日の授業は終了した。
「終わってないやつは放課後なー」
先生、俺には情状酌量の余地があるんじゃないか…?

次からは終わった課題はしっかり保存しようと思った。
失敗から得る教訓は、為になるものばかりだな。
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