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13:神の巫女 Ⅱ 12歳
しおりを挟む招待されたパーティーで、王太子にエスコートされなきゃいけないと落ち込んでおりましたら、迎えに来ませんでした。
良かった!と喜び、神官長のエスコートで馬車に乗り、今回のパーティー会場である貴族の家へと向かいます。
「先に会場入りしていて、会場内だけエスコートするつもりかもしれないですよ」
上機嫌の私に、神官長は水を差します。
でも、あの非常識な王太子ならそれもありそうだわ、とコクリと頷いてみせました。
会場に着いても、王太子がエスコートをしに来る事はありませんでした。
自然に口元が笑ってしまいます。
神官長の手を借りて馬車を降り、会場内へ入ろうとしましたら、ピシリと背筋を伸ばした初老の男性が、一礼してから何かを神官長に耳打ちしてきました。
「王太子が娼婦を連れて来ているそうですよ」
神官長の言葉に、思わず目を見開いてしまいました。
婚約者のエスコートを放棄しておいて、娼婦をエスコートですか。
「それは、大変素敵な事ですわね」
神官長と笑い合いながら、会場へと足を踏み入れます。
皆様の注目が集まるのを感じました。
その時です。
「お前との婚約を破棄する!」
王太子の声が聞こえました。
まぁ、本当に驚くほど派手な女性を伴っています。
どこを見れば良いのか、同性でも困るほど露出の高いドレスですわ。
「はい。別に良いですよ」
神の巫女に婚約を申込み、勝手に婚約を発表しておきながら、婚約者らしい交流を一切しない。
それどころか、貴族の女性達をとっかえひっかえしている方ですよ?
私は結婚するつもりなど毛頭無かったので、即了承いたしました。
それが気に入らないのか、何か言ってますわ。
神官長が相手してあげておりますが、放置すれば良いのに、優しいですわね。
もう、私は主催者の方に挨拶したいのですが……。
『凶事が生まれる。年末には其の者の世界が滅びるだろう』
神の声が聞こえました。
珍しく抽象的です。
あら、よく見ると娼婦……女性のお腹辺りが黒いモヤを纏っております。
黒いレースのストールでも巻いているのかと思っておりましたが、違ったようです。
神の言う『其の者』が、王太子なのか女性の事なのか。
両方かもしれませんね。
「神のお告げがありました。凶事が生まれ、年末には特定の世界が滅びるそうです」
私は、今のお告げを皆様に伝えました。
さすがに不確定の事は言えないので、そこだけは濁しましたわ。
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