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その後の王国1

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「さっさとやらんか!このデブ!」
 後継も産まずにブクブクと太った正妃は、王太子……今では国王になった夫に罵倒されながら芋をふかしていた。

 妻である正妃を罵倒している国王になった元王太子は、妻に栄養を吸い取られたかのように、ガリガリに痩せていた。
 3年前に作った服は、ブカブカで情けなさに拍車を掛けている。
 黄色に近かった金髪は、栄養不足からか藁のように見えた。

「文句があるなら、自分でやんなさいよ!何で私が芋なんて蒸してやらなきゃいけないのよ!」
 応える正妃は、可愛いピンク色の髪は色はそのままにボサボサで適当に後ろで一つに結んである。
 元々寸胴だった体型は、見事な樽型になっていた。着れる服がなくなり、今着ているのはカーテンを筒型に縫い合わせただけの布だった。


 王国は鎖国されていた。
 温情で竜便により届いていた他国からの手紙や物資は一切届かなくなった。
 世界会議と呼ばれる他国との交流の機会にも呼ばれなくなった。

 最初のうちは、自力で飛竜や大鷲を使い交易していた商人もいたが、完全鎖国と同時に王位に就いた国王のあまりの横暴ぶりにすぐに来なくなってしまった。


 国庫に税金は入ってくるが、それが王族に使われる事はなくなった。
 王太子時代の元正妃との理不尽な離婚。それによる鎖国。更に帝国の第三皇子妃となった元正妃に、善意で現正妃を治療して貰ったにも関わらず、暴言を吐き、完全に鎖国する事になったのが今の国王のだと全国民が知っていたからだ。

 王宮内では好きに暮らすが良い。ただし、使用人を雇うなら自分で金を稼げ!と財務大臣に宣言された。
 勿論、食費もない。
 必要最低限の食料が差し入れられるだけだ。それも、売り物にならない野菜が主だった。
 それすら国民からの善意の寄付なのだが、勿論国王達が感謝する事はない。なので当然、その量は日々減っていた。


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