υπέροχο κόσμο των κοσμημάτων

猫卜雪乃

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07:禁忌の魔法

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 只々ただただファイアオパールのを見つめていた。
 息をするのも戸惑われる、重い空気が室内を満たす。
 滅びた世界の中、唯一人存在していた瑠璃。
 その瑠璃が砕け散る事で、再生された世界。

 なぜ、瑠璃だけが……?



 ショックを受けている皆に、ファイアオパールが更に追い討ちを掛ける。
「まだです。これからもう少し遡ります。禁忌の魔法……先代瑠璃が砕ける前を出します」
 もう一度暗黒の色を取り戻した炎が大きく膨らんだ。

 現れた物は、混沌とした世界……まさに地獄絵図と呼ぶに相応しい物だった。
 砕けた宝石人。
 横たわり呻く召喚獣。
 翼がもげ、もがく竜。
 大地を濡らす血、鮮血、凝血。
 赤子を腕に抱いたまま息絶えた母親。
 家族を守るようにして亡くなっている父親。
 頭の無い母親に取り縋る子供。
 その子供を狙うように旋回する死鳥。


「これが、禁忌の魔法……なんですね。
 先代瑠璃がした事。やはり『瑠璃』は破壊の為に生まれる……」
 瑠璃が諦めたように笑った。



 いきなり部屋の中が明るくなった。
 ファイアオパールの手の中から、暗黒の炎が消えたせいだ。
 完全に意識を失っているファイアオパールが、体勢を大きく崩す。
「ファイ!!」
 床に激突する寸前、パライバトルマリンが抱き留めた。
「ファイアオパール!?」
 駆け寄ったサファイアがファイアオパールの額に手を当てる。

 真っ青な顔色で冷たい汗を掻いているファイアオパールの姿は、滅びの世界を覗いてしまった罰のようにも見えた。
 比較的幼い見掛けのはずなのに、酷く老けているように見える。
「ヘリオドール、回復の魔法を。もしかしたら、時限を超えた毒にやられている可能性もある」

 フローレスが冷静に分析をする。
「ったく、禁忌の魔法なんて使いやがって……」
 誰に言うでもなく、パライバトルマリンが呟いた。



 独りファイアオパールの部屋を出た瑠璃は、裏庭にある訓練場へと来ていた。
『焔』
 瑠璃の指先から炎がほとばしった。
『紅蓮』
 さらに強い炎が生まれ、大地を焦がす。
『炎獄』
 炎の色が変わり、大地が燃えた。
『沸』
 大地が沸き立つ。
『凍』
 一気に冷やされた大地が脆く崩れ落ちる。

 大きく穿うがった大地を、瑠璃は無表情で見下ろしていた。
「破壊するしか能のない魔法……私の価値とは、いったい何なのだろう」
 引き寄せられるように、瑠璃が一歩踏み出した。



「おい、自分の掘った穴に落ちて怪我するなんて、物笑いの種だぞ」
 穴に落ちる寸前、瑠璃は腰を抱かれた状態で宙に浮いていた。
 しっかり抱きかかえられているので後ろを振り返る事は出来ないが、肩口からパラパラと落ちてくる長く白い髪が誰であるかを告げていた。

「いつからいたのですか? フローレス」
 いつもと同じ冷静な声なのに、どこか棘を含んでいるように聞こえる。
「ファイアオパールの部屋を出たあたりからだな」
 フローレスの台詞を聞いて、瑠璃の身体がピクリと反応した。
 瑠璃が部屋を出た後、すぐに追って来たという事だ。それなのに、今まで声を掛けずに見ていたのだ。
 瑠璃が独り、魔法を使う……破壊活動を行っていたところを。


「後を付けたって事ですか?」
「人聞きの悪い事を……」
 フローレスはクックッと小さく笑ったが、否定する気はないらしい。
 それが尚更瑠璃を刺激した。
「いい加減離して下さい。私は子供じゃないのですから」
 腰を抱えているフローレスの腕をどけようと、身体を動かす。
「そうだったか?」
 しかしどこか楽しそうに笑ったフローレスは、瑠璃を抱え直して横抱きにした。
 子供にするように。


 瑠璃の手がフローレスの腕を掴む。
『熱』
 すぐに呪文を唱えた。瑠璃の掌に百度近い熱が生じる。
「っ!?」
 いきなりの攻撃に驚いたフローレスは、腕を引いてしまった。横抱きにされていた瑠璃は、当然落ちてしまう。
 焦るフローレスをよそに、瑠璃は地面に両足で降り立つ。

「酷い事する」
 苦笑したフローレスが自分の腕をわざとらしくさする。
「モース硬度10なのだから、それくらい針が刺したほども感じないでしょう?」
 完全に毒を含めた言い方になっているのは、劣等感……瑠璃のモース硬度が低いせいだ。
 瑠璃が自分の存在を軽視しているのには、モース硬度が低い事も一因になっている。

 それを感じているのだろう。フローレスが大きな溜息を吐いた。
「瑠璃、どの宝石も完璧ではない。ダイヤモンドでも高温の炎では燃える。エメラルドなどは、モース硬度の割にかなり弱い衝撃で割れる事も有る。他の宝石の弱点も説明して欲しいか?」
 瑠璃が小さく首を横に振った。
 黙って俯いてしまっている瑠璃を、フローレスがそっと抱きしめる。
「瑠璃、辛かったら私の所へ来い。独りで苦しむな」
 今度は瑠璃も抵抗しないで、大人しく身体を預けた。



 to be continued……
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