君の横を歩きたい

渡良瀬 カンナ

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 こんなにぐっすりと眠ったのはいつぶりだろうかと思いながら僕は目を覚ますと、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。もう朝なのかと時間帯を把握したところで千里は大丈夫なのかとテーブルに目をやると
「翔おはよー」
と笑顔で言った。
「日本史大丈夫なの?」
「うん、拓人くんに一から教えてもらったら全部が繋がって理解できたんだよ」
「へー!アイツはやっぱり要領いいんだなありがとうな」
と拓人に礼を言うとまるで魂が抜けてしまったようだった。きっと千里に教えるのはとんでもなく骨が折れたのだろう
「お、おう約束は守れよ」
「わかってるよ、ほら」
僕は約束のサイン入り生写真を渡した。
それから3人で朝飯を食べて学校に向かった。

テストは最終日を迎え翌日からどんどん返却されて来た。僕はいつもより順位を上げた、これも千里に教えるため隅々まで勉強したからだろう。その千里はと言うと
「かーけーるー、返ってきたよ!」
「結果は?」
「怖くて見てない、一緒に見て」
2人で1教科ずつ点数を見ていった。
国語、72点
英語、68点
ここまでは心配はしてない。ちなみに赤点は30点未満だ。
物理、56点
セーフ基礎だけをやらして正解だった。
化学、37点
危ないギリギリだ。
「あっぶなーい。ギリギリじゃん」
「化学は物理よりできるんじゃなかったのかよ」
「やってるうちに頭こんがらがっちゃった、」
そして日本史。前日に拓人の力を借りて理解はできたが問題形式では何もできていないみたいだった。
「ラスト覚悟はできた?」
「うん、行こう」
日本史……96点‼︎
「すげぇ!ギリギリどころかほぼ満点じゃん」
「うん、やってる時手が勝手に動いてた。」
僕は驚きを隠せなかった。まさか赤点の常習犯が96点をとるなんて…。
「拓人どんな教え方したの?」
「えっとね、私日本史何もわからないから最初から教えてって。それで縄文時代から今回の範囲まで順を追って教えてもらったの。」
「はっ⁉︎最初からそれを1日で?」
それは僕では思いもつかない勉強法だ
「拓人がそんな方法を使うなんて」
「いや、私がお願いしたの、拓人くん口開けたまま固まってたけど…」
そりゃそうだ、それはたぶん最も要領の悪いやり方だ。
「アイツがそこまでやってくれるとは後で飲み物でもおごっとこ」
「本当2人には感謝だよ、これで全国まで突っ走っていけるね」
こうして過去1番過酷な定期テストは過ぎ去っていった。
ちなみに拓人はあの日以降自分の勉強のペースを取り戻せず赤点取りまくりの補習地獄らしい。マジで申し訳ない拓人また埋め合わせするから。
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