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2.群青
(3)証拠①
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「ツツモタセ?」
桜井くんは知らない単語だったらしく、目を丸くした。
「美人局って書いてツツモタセって読むんだよ」
隣の雲雀くんが古びたメモ帳に勝手に書き込む。顔立ちのわりに字が汚くて思わず二度見した。
「最近時々聞いてたんだよな。群青のメンバーにはいなかったんだけど、いかにも童貞っぽい連中が誘われて強請《ゆす》られてる話」
頬杖をついた蛍さんは、どこか呆れた顔をしている。
「今回も美人局で間違いはないんすか?」
「颯人の言ってることを信じるならな。なあ、颯人」
「はい、すみません」
中津くんは申し訳なさを表すように正座している。
土曜日の昼間、私達は桜井くんの家の居間に集まっていた。理由(というか原因)はもちろん、中津くんが遭ったという美人局だ。
群青にいる以上蛍さんの命令は絶対なんて不文律《ふぶんりつ》を前に美人局の交渉役なんてものを任された。どうやらこの一件、私が群青に入る直前に起こった事件らしく、蛍さんと能勢さん曰く「三国を入れた理由の残り半分」だそうだ。納得がいかなかったけどそうだと言われたらそうなのかと頷くしかない。
ただ結局その事件って何、というわけで、1人暮らしで騒いでも迷惑にならない桜井くんの家で美人局をどうにかしよう会議を開く羽目になった。ちなみに桜井くんは例によってバイト後の仮眠明けで眠そうだ。
「えっと……話を整理すると、こういうことですよね?」
一通りの話は中津くんから聞いたので、桜井くんのノートに要点を整理する。
「ホテルに誘われて、部屋に入って……えっと、その……服を脱がせ終えたら……男が2人入ってきたと」
いかんせん内容が内容なので復唱しているこっちが恥ずかしかった。でも多分一番恥ずかしいのはきっとこれを赤裸々《せきらら》に語る羽目になった中津くんだ。俯《うつむ》いたまま「……そうです」と頷く。ちなみに中津くんは私達と同級生だけどお世話になるからという理由で敬語を遣っているらしい。
「……で、その女の人は無理矢理されそうになったとかなんとか言って、男2人が犯罪だよとか警察に駆け込むよとか言ったと」
「……そうです」
「……警察はやめてくださいって言ったら10万円持ってこい、と?」
「……そうです。あ、なんかジダンキンとかなんとか言ったと思います」
「……まあ言葉の違いだと思うけど」
「シンプルな手口だけど、これが流行ってんだよなあ」
蛍さんがぼやいたけれど、逆だろう、シンプルな手口だから手を出しやすくて流行る気がした。
「つか、マジで無理矢理だっつーんなら10万円って安いんじゃねーの」雲雀くんは私の隣で気だるげに頬杖をついて「なんか親に土下座すれば出せる額つっつかれてる感がうぜーな」
「実際、それで払った灰桜高校の連中もいるらしいからな。クソばっかりだ」
喫煙者と外道が嫌い、か……。蛍さんの口癖を思い出しながら、コツコツとノートを指で叩いた。
「……でも実際、警察に行くぞなんて言われたら怖いですからね。その……えっと、私、男子のそういう感覚は分からないんですけど、服を脱がせるまでいけば、なんかこう、得をしたというか、えっと、言い方は悪いですけど……おいしい思いをしていないとは言えないというか、そうですよね、きっと」
サッと全員が視線をそらした。このくらいならパターン化ができていなくても図星を指してしまったことは分かる。男子の間に入って話すことなんてないのでますます気まずい思いが募《つの》る。
「そういう……ちょっとおいしい思いをしたという自覚もあるんでしょうし、それに対して、こう、恐喝するというのは、相手の弱味をうまい具合につつく、ベタで古典的ですけど効果的な脅し文句です。深く考えたことはなかったですけど、美人局ってよくできてますね」
「冷静に言ってんじゃねーよ、三国。お前が交渉すんだぞ」
「だからそれが無理難題……」
「群青入ったんだから俺に文句言うんじゃねえ」
でもそんなとんでもない交渉をさせるつもりだということくらい教えてくれてもよかったのに……。ただ蛍さんが「度胸を買ってやる」と話していたのは分かった、これのことだったのだ。
「つか、これって証拠ねーんだろ」雲雀くんはシャーペンの背でノートを叩いて「警察に駆け込むつっても無視すりゃいんじゃね。はったりじゃねーか」
「あ、それが動画撮ってるって……」
「逆に美人局でしかねーな、それ」
「てか自分の女にそんなことさせんの? こわ……」
「芦屋《あしや》──白《スノウ・》雪《ホワイト》のトップはこんなクソじゃねーんだけどな。あんまり下見るのが上手いヤツじゃねーんだ、原因はそれだな」
つまりその芦屋さんもこんなことが起こっているとは知らないのではないか、と……。確かに可能性は充分にある。
「てか、いま侑生、逆に美人局だつったじゃん。警察に動画出すって言われたって、そんな動画出したら『コイツ狙って最初から動画撮ってたな』とか思われないのかな」
「思ってもらえる可能性はあるけど、それに対しては言い訳ができると思う。例えば『中津くん自身にホテルに連れ込まれた』『連れ込まれて怖かったから自衛のために隙を見てビデオをセットした』って感じかな。それならビデオを撮ってる理由が不自然とまでは言えなくなる」
「おお……なるほど」
そもそも警察がどう捜査を進めるのかは知らないけど、相手が言い訳をできるような手の打ち方は得策じゃない。手口はごくシンプルだし、似非《えせ》証拠になるものも大して持っていないだろうけれど、それは希望的観測だ。それに賭けるには情報が足りない。
「よかったな、中津、三国がいて。頭がイイヤツいると話が早い」
桜井くんが納得する横で雲雀くんも頷けば中津くんが「いやもうマジありがとうございます」と頭を下げた。まだ何も話は進んでいないのでお礼を言われるには早い。
「……それに、そもそも常習なんだろうし、警察に駆けこまれたって知るかって逃げ切るよりは正面切ってこの件はなかったことにするほうがいいと思う。一番いいのは群青のメンバーを引っ掛けるとしっぺ返しを食らうと思わせること……」
「最初は青い顔してたくせに、なんかやる気だな」
「いざってなればやる男じゃん、カッコイー」
「女なんだけど」
囃《はや》し立てる2人の隣で、蛍さんも「いいね、それでこそお前を入れた甲斐《かい》がある」と悪くなさそうな反応をした。
「でもどうすんだ、ポシャらせるだけじゃなくて今後群青に手出させねぇってなるとハードルは上がるぞ」
「……恐喝には脅迫で返すといいんじゃないでしょうか」
警察に駆け込むぞという脅しがきくのは、なにも中津くんだけではない。美人局だということさえ証明できればあとは芋《いも》づる式だ。
「美人局は立派な犯罪です。彼らが持ってる中津くんの動画は諸刃《もろは》の剣で、中津くんが恐喝される材料であると同時に、彼らが美人局をしていた証拠でもあります。美人局の証拠を掴めば中津くんの件がポシャるだけでなく今後群青に手を出されることもなくなるかと」
「目には目を、歯には歯をってか」
いい案だ、と雲雀くんは頷いた。
「問題はその証拠の掴み方だな。連中のとこに押し入るわけにもいかねーし」
「……こういうとき、典型的なのはいわゆるおとり捜査じゃない?」
「誰かに美人局に遭《あ》わせるってことか?」蛍さんは眉を吊り上げて「そんな上手くいくかね。美人局なんてそもそも仲間が部屋の近くで控えてんだ。現場押さえようとしたらソイツらとかち合う」
「逆にこっちがなんもしてない動画撮ればいんじゃないすか?」
雲雀くんはノートに「動画(白雪)」と書いた。その下には「動画(何もしてない)」と書く。
「なんもしてない証拠を持って、相手から『ヤッたんだから金払え』って言われたら、その発言が美人局の証拠になりますよね」
そして「金払え」と書き加え、それに向けて「動画(何もしてない)」から矢印を引く。眠そうにノートを見ていた桜井くんは「ああ……なるほどな」と頷く。
「確かに、そう恐喝された証拠持っといて、動画見せてヤッてませんけどどうしてくれるんですかってなるわけだ。まあその動画はこっちで撮れるとしても、白《スノウ・》雪《ホワイト》のヤツが撮る動画に何も映らないようにしないといけないよな」
「そもそも白《スノウ・》雪《ホワイト》はどういう動画撮ってんだ? おい颯人、お前、証拠だっつー動画渡されたんだろ。見せろ」
「……えっここでですか?」
中津くんの目が泳いだ。
桜井くんは知らない単語だったらしく、目を丸くした。
「美人局って書いてツツモタセって読むんだよ」
隣の雲雀くんが古びたメモ帳に勝手に書き込む。顔立ちのわりに字が汚くて思わず二度見した。
「最近時々聞いてたんだよな。群青のメンバーにはいなかったんだけど、いかにも童貞っぽい連中が誘われて強請《ゆす》られてる話」
頬杖をついた蛍さんは、どこか呆れた顔をしている。
「今回も美人局で間違いはないんすか?」
「颯人の言ってることを信じるならな。なあ、颯人」
「はい、すみません」
中津くんは申し訳なさを表すように正座している。
土曜日の昼間、私達は桜井くんの家の居間に集まっていた。理由(というか原因)はもちろん、中津くんが遭ったという美人局だ。
群青にいる以上蛍さんの命令は絶対なんて不文律《ふぶんりつ》を前に美人局の交渉役なんてものを任された。どうやらこの一件、私が群青に入る直前に起こった事件らしく、蛍さんと能勢さん曰く「三国を入れた理由の残り半分」だそうだ。納得がいかなかったけどそうだと言われたらそうなのかと頷くしかない。
ただ結局その事件って何、というわけで、1人暮らしで騒いでも迷惑にならない桜井くんの家で美人局をどうにかしよう会議を開く羽目になった。ちなみに桜井くんは例によってバイト後の仮眠明けで眠そうだ。
「えっと……話を整理すると、こういうことですよね?」
一通りの話は中津くんから聞いたので、桜井くんのノートに要点を整理する。
「ホテルに誘われて、部屋に入って……えっと、その……服を脱がせ終えたら……男が2人入ってきたと」
いかんせん内容が内容なので復唱しているこっちが恥ずかしかった。でも多分一番恥ずかしいのはきっとこれを赤裸々《せきらら》に語る羽目になった中津くんだ。俯《うつむ》いたまま「……そうです」と頷く。ちなみに中津くんは私達と同級生だけどお世話になるからという理由で敬語を遣っているらしい。
「……で、その女の人は無理矢理されそうになったとかなんとか言って、男2人が犯罪だよとか警察に駆け込むよとか言ったと」
「……そうです」
「……警察はやめてくださいって言ったら10万円持ってこい、と?」
「……そうです。あ、なんかジダンキンとかなんとか言ったと思います」
「……まあ言葉の違いだと思うけど」
「シンプルな手口だけど、これが流行ってんだよなあ」
蛍さんがぼやいたけれど、逆だろう、シンプルな手口だから手を出しやすくて流行る気がした。
「つか、マジで無理矢理だっつーんなら10万円って安いんじゃねーの」雲雀くんは私の隣で気だるげに頬杖をついて「なんか親に土下座すれば出せる額つっつかれてる感がうぜーな」
「実際、それで払った灰桜高校の連中もいるらしいからな。クソばっかりだ」
喫煙者と外道が嫌い、か……。蛍さんの口癖を思い出しながら、コツコツとノートを指で叩いた。
「……でも実際、警察に行くぞなんて言われたら怖いですからね。その……えっと、私、男子のそういう感覚は分からないんですけど、服を脱がせるまでいけば、なんかこう、得をしたというか、えっと、言い方は悪いですけど……おいしい思いをしていないとは言えないというか、そうですよね、きっと」
サッと全員が視線をそらした。このくらいならパターン化ができていなくても図星を指してしまったことは分かる。男子の間に入って話すことなんてないのでますます気まずい思いが募《つの》る。
「そういう……ちょっとおいしい思いをしたという自覚もあるんでしょうし、それに対して、こう、恐喝するというのは、相手の弱味をうまい具合につつく、ベタで古典的ですけど効果的な脅し文句です。深く考えたことはなかったですけど、美人局ってよくできてますね」
「冷静に言ってんじゃねーよ、三国。お前が交渉すんだぞ」
「だからそれが無理難題……」
「群青入ったんだから俺に文句言うんじゃねえ」
でもそんなとんでもない交渉をさせるつもりだということくらい教えてくれてもよかったのに……。ただ蛍さんが「度胸を買ってやる」と話していたのは分かった、これのことだったのだ。
「つか、これって証拠ねーんだろ」雲雀くんはシャーペンの背でノートを叩いて「警察に駆け込むつっても無視すりゃいんじゃね。はったりじゃねーか」
「あ、それが動画撮ってるって……」
「逆に美人局でしかねーな、それ」
「てか自分の女にそんなことさせんの? こわ……」
「芦屋《あしや》──白《スノウ・》雪《ホワイト》のトップはこんなクソじゃねーんだけどな。あんまり下見るのが上手いヤツじゃねーんだ、原因はそれだな」
つまりその芦屋さんもこんなことが起こっているとは知らないのではないか、と……。確かに可能性は充分にある。
「てか、いま侑生、逆に美人局だつったじゃん。警察に動画出すって言われたって、そんな動画出したら『コイツ狙って最初から動画撮ってたな』とか思われないのかな」
「思ってもらえる可能性はあるけど、それに対しては言い訳ができると思う。例えば『中津くん自身にホテルに連れ込まれた』『連れ込まれて怖かったから自衛のために隙を見てビデオをセットした』って感じかな。それならビデオを撮ってる理由が不自然とまでは言えなくなる」
「おお……なるほど」
そもそも警察がどう捜査を進めるのかは知らないけど、相手が言い訳をできるような手の打ち方は得策じゃない。手口はごくシンプルだし、似非《えせ》証拠になるものも大して持っていないだろうけれど、それは希望的観測だ。それに賭けるには情報が足りない。
「よかったな、中津、三国がいて。頭がイイヤツいると話が早い」
桜井くんが納得する横で雲雀くんも頷けば中津くんが「いやもうマジありがとうございます」と頭を下げた。まだ何も話は進んでいないのでお礼を言われるには早い。
「……それに、そもそも常習なんだろうし、警察に駆けこまれたって知るかって逃げ切るよりは正面切ってこの件はなかったことにするほうがいいと思う。一番いいのは群青のメンバーを引っ掛けるとしっぺ返しを食らうと思わせること……」
「最初は青い顔してたくせに、なんかやる気だな」
「いざってなればやる男じゃん、カッコイー」
「女なんだけど」
囃《はや》し立てる2人の隣で、蛍さんも「いいね、それでこそお前を入れた甲斐《かい》がある」と悪くなさそうな反応をした。
「でもどうすんだ、ポシャらせるだけじゃなくて今後群青に手出させねぇってなるとハードルは上がるぞ」
「……恐喝には脅迫で返すといいんじゃないでしょうか」
警察に駆け込むぞという脅しがきくのは、なにも中津くんだけではない。美人局だということさえ証明できればあとは芋《いも》づる式だ。
「美人局は立派な犯罪です。彼らが持ってる中津くんの動画は諸刃《もろは》の剣で、中津くんが恐喝される材料であると同時に、彼らが美人局をしていた証拠でもあります。美人局の証拠を掴めば中津くんの件がポシャるだけでなく今後群青に手を出されることもなくなるかと」
「目には目を、歯には歯をってか」
いい案だ、と雲雀くんは頷いた。
「問題はその証拠の掴み方だな。連中のとこに押し入るわけにもいかねーし」
「……こういうとき、典型的なのはいわゆるおとり捜査じゃない?」
「誰かに美人局に遭《あ》わせるってことか?」蛍さんは眉を吊り上げて「そんな上手くいくかね。美人局なんてそもそも仲間が部屋の近くで控えてんだ。現場押さえようとしたらソイツらとかち合う」
「逆にこっちがなんもしてない動画撮ればいんじゃないすか?」
雲雀くんはノートに「動画(白雪)」と書いた。その下には「動画(何もしてない)」と書く。
「なんもしてない証拠を持って、相手から『ヤッたんだから金払え』って言われたら、その発言が美人局の証拠になりますよね」
そして「金払え」と書き加え、それに向けて「動画(何もしてない)」から矢印を引く。眠そうにノートを見ていた桜井くんは「ああ……なるほどな」と頷く。
「確かに、そう恐喝された証拠持っといて、動画見せてヤッてませんけどどうしてくれるんですかってなるわけだ。まあその動画はこっちで撮れるとしても、白《スノウ・》雪《ホワイト》のヤツが撮る動画に何も映らないようにしないといけないよな」
「そもそも白《スノウ・》雪《ホワイト》はどういう動画撮ってんだ? おい颯人、お前、証拠だっつー動画渡されたんだろ。見せろ」
「……えっここでですか?」
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