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第三章  【王国史】

3-75 反撃

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「何かいる!マズいぞ!そこのロープを切れ!」



声を掛けられたもう一人のドワーフが斧を振りかぶり、そのままロープを切り落とした。



すると突如穴から風が吹き上がり、中から三つの影が飛び出してきた。






「……成長を、”ログホルム”!」



詠唱が終わると、土の中から無数の蔦が伸び始め、いろいろな角度で絡まっていく。
そして、三つの影の落下地点に蔦のネットが出来上がった。






バサァッ!!




ハルナたちは、無事に蔦のネットの上に落下した。
蔦は高さを作るために木々の枝に引っ掛かるようになっていた。


その枝は三人の体重と落下に耐えるように、しなってその勢いを緩和させた。





「ぐっ……大丈夫ですか?ハルナさん」





ハルナの心配をしてくれるソフィーネだが、疲労が限界に達しており戦闘に加われる状況ではなかった。





「大丈夫です。ソフィーネさんはそこで休んでてください、あとは私が。フーちゃん、用意はいい!?」


「はい!」





フウカはハルナの気持ちの応答するように、力強く返事をする。

ハルナはその場に立ち上がり、自分たちを危険にした二体のドワーフの姿を見つけた。



ドワーフは自分たちが、苦労して閉じ込めたソフィーネがその場にいることに驚愕した。





「お前、牢獄に入っていたはずだ。どうやって出てきた!?」





ハルナは、その言葉の発言者に視線を向ける。
そして、感情が高まると同時に、周囲の元素がハルナの周りに集まっていく。






「あなた達ね。ソフィーネさんをこんな目に会わせたの……」





そう告げると、ハルナの頭上には無数の圧縮され空気の球が浮かび上がり、目標を定めて発射の号令を待つ。




「うぉ!な……なんだコレは!?」






ドワーフは初めて見る現象に対策が取れず、ただラウンドシールドを掲げて備えるだけだった。





「そろそろ準備はいい?」


「ふん。やさしいな、我らの準備を待っ……ぐわっ!!!」







ハルナは、相手が話している途中で攻撃を開始した。
すでにハルナの怒りは、我慢の限界を超えていた。


だが、命を奪うようなことはしない。
徹底的に攻撃し、反撃する力を奪おうとしていた。






そして、それはハルナの思惑通りとなる。
相手の装備は瞬く間に破壊され、防御力ゼロの状態でさらに砲弾を浴びせ続けた結果だった。




長きにわたる砲撃を止めると、二体は意識を失いその場に崩れ落ちた。

ブンデルは、意識を失ったドワーフたちを蔦のロープで縛りあげた。
それと同時に、交戦状態のままステイビルたちが林の奥から姿を見せる。






「ハルナ!無事だったのね!?」






相手の攻撃を防ぎながら、一瞬だけ視界に入ったハルナの姿に声を掛けた。





「エレーナ、大丈夫!?」



ハルナは、エレーナを襲っている一体のドワーフに狙いを定める。

そして空気弾は一斉にハルナの定めた目標物に向かい、攻撃を開始する。




「くっ!?」



そのドワーフはハルナが仕掛けた攻撃を喰らいながらも長い斧を振り回してダメージを最小限に抑えながら避けていく。





「た隊長ぉ!?……グワっ!」



心配をしていた兵の一人が、よそ見をしてアルベルトに一撃を喰らってしまった。






「私のことはいい!みろ、状況は変化した。こいつは手ごわい。各々、自分の身を守れ!」




だが、その隊長の命令もむなしく力のバランスがハルナの参戦によって傾いた今は、戦況はドワーフたちが圧倒的に不利な状況となっていた。





「ここで朽ちても、ただというわけには行かぬ……」





ドワーフの隊長は周りの状況を見てそうつぶやくと、詠唱を始めた。



「大地の華よ咲き誇れ……”ブリュメールゼン”!





ドワーフが詠唱を追えると、その頭上に石の種が生まれる。
次第に大きく身のようになり、風船がはじけた様に破裂して石の礫がショットガンのように飛び出した。




エレーナは、氷の壁を作り後ろにいるアルベルトとステイビルを守った。

ハルナは、ホーミング弾が岩の攻撃を相殺していくが幾つかの石がハルナの頭部をめがけて飛んできた。




ゴォゥ!


ハルナの目の前を突風が吹き、ハルナが被弾することはなかった。
そして、最終的には誰もドワーフたちも含め、だれもその石礫によってダメージを負うことはなかった。





「ふー……ちょっとびっくりしたわ。ありがとうね、フーちゃん」






最後の切り札が破られた今、ドワーフの隊長は斧を足もとに放り投げた。
そして地面に胡坐をかいて座り、両手をついて頭を下げる。





「我々の負けだ……好きにするがいい。だが、こいつらは無事に戻してくれないか?」


「隊長、我々はまだ戦えます!それにこの異常を察知して援軍も来てくれるでしょう!それまで、どうかそれまでは!!」








ステイビルとアルベルトは剣を収め、地面に座り込んだドワーフの隊長に近付いて行く。






「少し時間がかかったが、これでゆっくりと話しが出来そうか?」




隊長は、まじまじとステイビルの顔を見上げる。




「話しとは……どいうことだ?」




自分が思っていた対応と異なり、ドワーフの隊長は必死に呼吸を落ち着かせる。




「まず、どうして突然襲ってきたのか?それとどうしてソフィーネが捕まっていたのか?」





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