問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

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第三章  【王国史】

3-220 東の王国24

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「それより……後ろの女。お前たち……」



トライアは興味をブランビートから、その後ろにいる二人に移した。


(こいつらか……あの方が言っていたのは)





「おい、トライア!お前の相手はこの俺たちだ!!」




だが、トライアはその声にも興味を示さずエイミとセイラの方向を眺めている。



「な……なに、何なの!?」


セイラは何かを感じ取る、体の中に隠れている精霊たちが危険であることを必死に告げている。





「お前たちには、効かないのか。さすがだな……」




「え、何言ってるの??」



エイミが異常にも取れるトライアの言動を、最大限に警戒する。

その隙を見て、エンテリアとブランビートは徐々に攻撃可能な距離まで詰めていく。
だが対象とされているトライアは、全く気にかけている様子はない。

それよりも、双子の女性にのみ意識を送っていた。




そのことに気付いている二人の男性も、気にはしていない。
むしろ意識がこちらにないということは、攻撃が当たるチャンスも増えるということだ。

動いたかどうかわからない僅かな剣先の動きで、攻撃を仕掛けるタイミングを見計らう。



そして、二人は同時にトライアに襲い掛かった。




上下左右、同時またはタイミングをずらしながら、攻撃が単調にならないように二本の剣がトライアに襲いかかる。


だが、その攻撃はトライアには何も害を与えることことはない。



エイミとセイラはその様子を、黙って見つめる。
決められた動作、それらが演武でもあるかのようにその動きは洗練されており美しいとも思える動きだった。


攻撃している本人たちからすれば、それは恥ずかしいとも悔しいとも言える結果となっている。

しかし、その二人にそう言った表情は見られないのは、まだまだ余裕があり何か手を隠しているということだろう。





このやりとりに真っ先に飽きてきたのはトライアで、危険ではないが避ける動作も流石に面倒になってきていた。


トライアは、左右から水平に走ってくる剣の刃を母指と他の四指で摘まむ。




「いつまでこんな無駄なことを続けるんだい?」



「お前が、自分の罪を償いたいと言い出すまで……かな?」



「なら、それは無駄に終わるな。決してそのような思いになることはないからな……だが、そろそろこんな遊戯にも飽きてきたんでね、終わらせてもらうとするよ。その後に」





トライアはエイミとセイラを交互に見て、舌舐めずりをする。


その様子を見たエイミは、ぞっとして身震いする。



「それじゃあ、次はオレの番だな」



トライアはいままで隠していた闘気を解放する、それによってトライアを中心に風にも似た圧が吹き出され納屋がガタガタと振動した。



「――ぐっ!?」


すぐ傍にいたエンテリアとブランビートは、直にその圧を受け止めることになった。

二人は危険を感じて、トライアの指先から剣を引き抜きーーあわよくば指を切り落とそうとしたが無理だったーー距離をとってもう一度身構える。




「ふーん、これを耐えるんだ。なかなか鍛えてきたみたいだね……だけど、いままでもそういう奴らも最後には俺の前から消えていったけどね」


ブランビートは今の言葉に、ひとつ気になることがあった。





「”いままで”だと?……お前のようなものがいたことは聞いたことがない、他の村でも荒らし回っていたというのか?」



「あぁ、そうだ。いままでも随分と楽しませてもらったよ。そうだな、お前たちが生まれるよりも前からずっと……だ」



「人間ではなさそうだな……お前、何者だ?」




「ほぅ、よく気付いたな。過去に俺の存在に疑問を持ったものなどいなかったよ……まぁ、わかってもその後死んでしまうか精神がまともな状態ではいられないからな。お前たちの妹のようにな!」



エンテリアの質問に対する答えにはなっていなかったが、トライアの挑発にも反応を見せることもなく目の前の敵に集中する。



次の瞬間、トライアはエイミたちを狙って飛びかかる。
その攻撃線上にはブランビートが構えているが、トライアはブランビートが蜘蛛の巣を取り去るように手をなぎ払い邪魔な者を排除しようとした。
それは、自分の思い描いた通りにブランビートははじけ飛び、もう片方の手でどちらかの女性の首を握りしめて苦痛の表情が拝める。


――そのはずだった





軽く吹き飛ばす予定だった男は、腕に付けていた盾で自分の腕を抑え込んでいる。






「なに?……その盾の力か?」



トライアは攻撃を防がれた盾を握り潰そうとしていたが、自分の想いの通りにならない現実に始めてこの場で苛立ちを感じる。



「半分当たりで、半分ハズレ……だ!」



ブランビートは防いだトライアの手を盾で押し返し、エイミとセイラを守ろうと位置を変える。

そこに横からエンテリアが合流し、この場は四対一の構図となった。



トライアは、前に降りてきた髪をかき上げため息混じりの言葉を吐く。




「どうやら、お前たちを倒さないと後ろのエモノにはいかせてくれなさそうだな……」





目の前の男から、異様な気を発することに気付いたエンテリアは、ブランビートにその盾で目の前の男を止めるように目で合図を送る。
小さく頷いたと同時に、トライアの姿が目の前から消えた。



「――危ない!」




突然エイミとブランビートの間に姿が現れたトライアは、背後からブランビートの首を狙って手を伸ばした。



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