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第四章  【ソイランド】

4-125 それぞれの出来事

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「皆……よく無事に戻ってきてくれた!」


ハルナたちの前で告げるステイビルの顔は、一晩だけでは考えられない程の疲労が顔に現れている。
ステイビルは一人だけで、ポートフ家の屋敷の中で作戦の成功を祈っていた。

全員で考えた作戦で、戦力も各施設の難易度に応じて充分な振り分けができたと考えている。
今までの旅を乗り越えてきた者たちにとって、問題のない作戦だった。
だが、必ず予想外の出来事が起こることも想定しておかなければならない。
そうなれば現場の者たちがそれぞれで判断していくことになり、ステイビルの考えた以外の状況になっていく。
そのようなことを心配するのは、仲間の力を信頼していないことにもなってしまう……
目の前で起きていることならば、手助けもできるがそういう状況ではないため、良くない考えばかりがステイビルの頭の中を一晩中グルグルと回っていた。


その不安もいま、再び全員の姿をみれば霧が晴れるようにステイビルの心の中から消えていった。


次にステイビルの視界が捕まえたのは、メリルの姿だった。
久々に見るその姿は、一緒に遊んでくれていたあの頃の面影が感じられる。
しかし、一年近く投獄されていた身体の状態は悪くないが、一つの空間に閉じ込めれ痩せ細った身体を見てステイビルは心配する。
サナは、ヒールが後一回分残っているためメリルに回復魔法を使うことを申し出た。
ステイビルが答える前に、メリル自身もそれに関しては本当に必要な時に使用するべきだと断った。


最終的に回数が回復した翌日の夜、メリルに対してヒールを施してみたが、その効果を得ることはできなかった。
ヒールは主に身体が受けた外傷がある場合に発動することが多い。
その際に、傷とわずかながらに体力も回復される。体力に関しては、術者であるサナ自身が相手の生命力を感じて判断をしている。


メリルの状態は突発的な外傷を負っているわけでもなく、体力は低下している状態ではあったが、それは時間の中で生じた現象のため回復させることはできなかった。
体力の最大値は傷によって低下したものではなく、自然に低下したために魔法では回復できないのだろうと判断した。
だが、ソフィーネの口元に付いた殴打の跡は、ヒールの効果によって消えていた。
メイヤからは貴重なヒールの回数を”無駄”に使うことはないと言われていたが、サナは魔法の効果の範囲を試したいとソフィーネにヒールの魔法を使うことを申し出た。
その結果、外傷による傷は数日経過した状態でも元の綺麗な肌の状態に戻すことができた。
体力としてはそこまで減少していなかったためか、魔法を使用した後に感じる疲労感は重症なメイに対して使ったときに比べ魔力の減少は然程も感じなかった。




べラルドは、ハルナたちよりも先に戻っていた。
グラムはステイビルからの命令に従いべラルドに代わり、ソイランドの警備兵を纏める役を命じられた。
グラムがいた頃から人員がほとんど入れ替わっており、グラムの存在を知らぬ者も多い中で大役が務まるか心配していた。
そこはクリミオたちも協力を名乗り出てくれた。さらには、あの建物のなかでの出来事を説明するためにべラルドと一緒に持ってきていたシーモも、グラムに協力をしてくれることになった。
シーモとクリミオたちは幼い頃からの知り合いで、途中からロイに付いていったため離れ離れになっていた。こんな状況で再び出会えることは、運命だと感じてクリミオたちの協力依頼にこたえることにした。



ハルナたちは、それぞれで起きたことを報告し合う。
ブンデルとサナはチェリー家で起きたこと、メイドの中にべラルドの手先が入り込み監視をされていたということ。これは、ステイビルの推測が当たっていたことになる。
そんな中で、うまく立ち回ってくれたブンデルとサナにステイビルとメリルは二人に頭を下げる。
頭を下げられた二人は、仕事だからと感謝は不要だとステイビルに告げ、ステイビルたちは頭を上げた。

エレーナとアルベルトは、警備兵の指令本部での報告をする。
ほとんどエレーナとアルベルトは何もしていないといったが、グラムは二人がいたからこそ奪還ができたと告げる。
ここにべラルドがいた場合は、もっと酷い状況になっていただろうが、エレーナとアルベルトがいれば問題ないとステイビルは判断していた。

このタイミングで、エレーナはクリミオたちが人を探していることを告げ、警備兵の体制を立て直すことに協力する代わりに対象者の情報の提供とそれに関して活動することの許可を求めた。
ステイビルは、それに関しては問題ないことを告げ、当面は組織の再構築に関して優先的に行動してもらうという条件を付けた。
グラムはエレーナとステイビルに感謝をし、ステイビルからグラムが協力者の窓口となるようお願いをされた。


最後に、ハルナとソフィーネが、砂漠の中で起きたことの報告をする。







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