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第六章 【二つの世界】
6-312 ハルナがいなくなった日5
しおりを挟む「――!?」
この場にサヤが現れてから、何度驚いたことだろうか。
次から次へと今までに経験をしたことがない現象が、ステイビルたちに降りかかってくる。
サヤの声と身体だが、その発言の色は男性に近いもので、他の人格が乗り移ったようなものだった。
そして、ステイビルが考えていた”それ”は、間違えではなかったと気付かされる。
『この者が言っていることは本当のことで、お前たちにも関わりのあることだ。理解しがたいものであることは承知しているが、冷静……だったか?ともかく、落ち着いてこの者の話を聞いてほしい』
「あなたは……剣に宿っている神なのですか?」
『お前たちの言う”神”と捉えてもらって構わない。私は、この世界を司る存在として長い間お前たちを見守っていた』
剣の創造者はそう告げて、ステイビルの考えが間違っていないと肯定する。
自分自身が神なのかというのは相手の認識次第であり、剣の創造者としては自身が人間の言う”神”であるとは考えていなかった。
元々は自身はこの世界を安定させ、何らかのほころびが生じた際にそれらを修正していくだけの存在だった。
剣の創造者が知る人間が言う”神”とは、全ての事象において万能であり、それにふさわしい存在と認識をしていた。
いわば自身は”箱”を用意する立場であり、その中身を用意するのが”盾”であるという認識を持っていた。
だからこそ、自分自身が何か特別なものを持ってはいるが、中途半端な能力であり、この世界創りだした”だけ”であるため神のような存在ではないと自覚していた。
……だが、もう一つの存在はそのように思ってはいなっかたようだ。
この世界の箱の中身を用意した存在は、いつしか何とかこの世界に関与をしていきたいと考えていたことは知っていた。――それは大精霊と呼ばれだしたラファエルのことを知ってからだった
ラファエルと呼ばれるものは、この世界ができた時から存在をしていた。この存在に関してはこの世界を与えられてからこの世を統治するために盾の創造者が、最初に産み出した存在。その目的としては、この世界の生物を抑圧するために創りだした存在だった。
この世界の生き物たちには知性を与え、寿命を種族ごとに分け、その能力も種族ごとに分け与えていった。
知性を与えたということは、その考えが良い方向にも悪い方向にも向かうという可能性がある。
確率の問題で、生物が最悪な状況へと自らの未来を選択してしまう可能性があった。
それを防ぐために、この世界で超越した存在を立て、そう言った場合にも抑止できる力と知性を持った存在をと、全ての種族に対抗できるためにラファエルが生み出された。
ラファエルには、元素と呼ばれるこの世界を形作る素材を扱えるようにした。
その際に、剣の創造者も協力し、その物質を構成する情報を盾の創造者へと開示した。
『……だが、それが間違いだったのだ。その情報をもとに、盾の創造者はこの世界に関与するため……いや、この世界の頂点に立ちたいという願望が生まれたのだ』
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