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第六章 【二つの世界】

6-350 サヤとハルナと2

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「……そうなんだね。この力、やっぱりアンタのせいだったのか」



今回サヤがこの世界へと渡ってきた際に、いつもより虚脱感が少ないことを不思議に感じていた。

ここに来る前に、向こうのヴァスティーユに伝えていた通り、再び世界を渡っていく力を蓄えるためには二週間ほどの時間を要する。
しかし、この世界に来た当初から、もう一度戻れるくらいの力がサヤの中に残っていた。
その時は、自分や剣の創造者の能力が向上し、力の消費の効率が良くなったのではないかと判断していた。

もう一度、もう一つの世界に戻ってみて試してみようとも考えたが、万が一そうではなかった場合に出遅れてしまう可能性があるため試すことはしなかった。


(今となってはやらなくてよかったわ……)



今わかったことは、この世界に渡ってくることへの力の使用量が減少したのではなく、着いた時点のタイミングで”増えていた”ということだった。
そのタイミングで行われていたのは、ハルナ……いや、盾の創造による村に住み人々の消失だった。

どうやら、この世界の存在する生物を消失するとその存在が資源へと還っていく仕組みらしい。
その還元される場所は、盾の創造者と剣の創造者へいくのだとサヤは先ほどのやり取りから判断した。
そして、その考えで間違っていないだろうということは、この仕組みを初めて知った剣の創造者も認めていた。



「だから、一気に存在を消してしまうとその資源を扱う量がオーバーしてしまうのが怖い……ってとこか?」



(さすがねぇ。まさかサヤが一人でそこまでたどり着いたのかしら?だとしたら組む相手を間違えたかしら……)


サヤのその推察力に、盾の創造者はサヤなことを少し見直した。そしてこちらの仲間に引き入れることはできないかという考えも頭の片隅に置いておいた。



「何で黙ってんの?まさか、図星だったってこと?にしても、それがバレたとしても、大したことないってところか?」


『いえいえ、さすがですねと考えていたところですよ?にしても、よくそこまでの考えに至りましたね?あなたも我々と同じような”特別な存在”なのですか?』


「は?何言ってんの?アタシはアタシでしかないんだよ!たまたまこの世界で長い間考える時間がたくさんあったってだけさ」


『そうですか……もしかするとあなたとならば上手く協力できたかもしれませんね』

「”協力”?……あぁ、もしかしてコレのこと?」


サヤは再び、背中に手を回して下げた剣の柄を握りしめる。そして力を剣に流すと剣の周りには黒いオーラを纏い異様な雰囲気を出している。



『――っ!?』



その姿を見てまたしても、盾の創造者は怯えた表情を見せる。
この力を使ている間は、貯め込まれた資源が減っていくがサヤはこの行動を止めることはない。
この力を見せると、盾の創造者は嫌がるような感情を見せるため、サヤの言葉を聞かせるにはこの状態が最も適していると感じていた。

だが、無駄な資源を使う余裕はない、サヤは盾の創造者に向かって質問を投げかけた。



「……アンタはまだ、ハルナとつながってないようだねだから。だからここに来たんじゃないの?」












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