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第六章 【二つの世界】

6-362 サヤとハルナと14

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(……どう?このままアンタが交渉続ける?それとも、アタシが変わろっか?)


そうサヤから告げられた剣の創造者は、迷うことなく決断をした。
ほんの少し前の状況であれば、暴走してるサヤにこの場を任せることは決してできなかった。
先ほど会話したサヤは、強制的に身体の主導権を奪った状況とは違い、とても落ち着いているように見えた。

このサヤの状態が万が一嘘であっても、あの落ち込んでいた自分の感情を救ってくれた状態のサヤになら個の場を託しても問題ない……いや、この場をどうにかしてくれるのはサヤしかいないと考えた。



(……頼む)





「……っと。待たせたねぇ」




『その話し方……本当のサヤさんかしら?』


「そうだよ。どう?久しぶりの”おしゃべり”は楽しかったか?」

『あら、気を使って頂いたのかしら?余計な気を使わせてしまったようで、申し訳ないわね』

「……だったら、早いとこハルナの身体を解放しなよ?どうせアンタの望み通りにはならないんだからさ」

『戯言もそこまで行くと、笑えないわよ?それどころかあなたの冗談の感性も疑われることになるわよ?』

「アンタよりましだと思うけどね。自分が創ったものをここまで来て壊したくなるってことは、アンタのセンスが悪かったから”やり直したい”ってことだろ?アタシなら最初の設計段階でそういうところも決めて取り掛かるけどね、修正が効くようにさ。……あー、だからか」


『なにが……かしら?』


「ん?アンタが想ってる相手が、見向きもしてくれないのはその”計画性の無さ”が原因なんじゃないの?」




『サヤ……お……オマエはァっ!!!』



周囲の空気が震え、元素と思われる目には見えない圧が盾の創造者から噴き出している。

『――消えろ!!!!』


叫び声と同時に、サヤが大量の光の洪水に飲み込まれていく。
その波はすぐには収まらない。数分間続いたその攻撃は、確実に相手を消し去るための力を込めたエネルギーの波だった。
そのエネルギーも、この場に存在している量が決まっている。
周囲の元素が枯渇し、ハルナの体内にあった元素も半分以上を使ったところで、その攻撃は止まってしまった。


「あら?もう終わり?あんだけ騒いでたのに?」


無傷のサヤは、盾の創造者に対し見下したように話しかける。
その態度が、さらに盾の創造者の感情を逆撫でする。

『舐めるなニンゲンが!!』


今度はエネルギーの塊ではなく、元素を四つの属性に変換して攻撃を仕掛けてきた。
先ほどの量で押してくる形ではなく、様々な手を使って攻撃を重ねてくる。

しかし、先ほどと結果は同じだった。


「あららら、もう息が上がったの?ハルナならもう少しうまく攻撃したと思うけど、”やっぱり”アンタじゃ無計画に攻撃するだけだったねぇ」


その言葉をきき、盾の創造者は悔しそうな顔を見せる。だが、今の自分にはサヤを倒す方法が無いことも薄々感付いていた。
サヤの言う通りに、最初の攻撃もあの量の元素をうまく使えばもう少し弱点を見付けられたのではないかと、自分の行動を反省した。

「……じゃあ、今度はこっちの番だね」


そう言ってサヤは、背中に下げていた剣を再び抜いた。





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