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第六章 【二つの世界】

6-389 持ちかける孤独

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盾の創造者は光の塊を手にしたまま、この状況を見渡す。
そして、良い案を思い浮かべたように笑みを作り出して次の行動を決定した。


次に盾の創造者は、光の塊をローディアがいる場所に向けて放った。


「――っ!?」

まさか自分が狙われるとは思わなかったローディアは、この状況をどう対処すればいいかわからなかった。
それと、先ほどの草花が枯れるわけでもなく消失してしまったあの景色を思い出し、アレに触れた場合の恐怖から身体がすくんでしまっていた。


「――ローディア!!」


立ち尽くすローディアの姿に危険を感じたヴァスティーユが少し離れた場所から走って飛びかかり、ローディアの身体を突き飛ばした。



――ばしゃ!


先ほどと同じように、光の塊は地面に落下し割れて弾け、その周囲に光が飛び散った。


ローディアは飛びつかれて倒れ込んだ衝撃の痛みで、自分自身を取り戻すことができた。


「あ、ありがとう。ヴァスティ……ユ?」


ローディアは視界に映ったヴァスティーユの笑顔の先に、足が薄く消えかけている状況を見て驚愕する。


「あ……あ、ああ……あああぁぁあ!!!ヴァスティーユ、あなた!!!!」

「え?ローディア、どうしたの?あなたは無事なの?」

「私のことなんかどうでもいいのよ!?あなた、あ……足が!?」

「え?足……えっ!?」



ヴァスティーユはローディアに倒れ掛かったままの状態で、自分の足へと目を向ける。そこには、先ほど見た草花と同じように消えていく自分の足の状況が目に入ってきた。
しかし、ヴァスティーユはそれ以上怯えた表情は見せず、身体を腕だけで起こしてローディアに向き合った。


「でも……よかった。あなたが無事で」

「何言ってるの!?私のことなんてどうでもよかったのよ!?あなたが……あなたが」

「いいのよ、ローディア。お友達を助けることができたのは幸せだわ、ね?あなたもそう思うでしょ、ヴェスティーユ?」


そこの場所に、ヴェスティーユも近寄っていた。そして、その後ろにはサヤも近付いてきていた。


「そうね……ヴァスティーユ」


ヴェスティーユはそれだけ答えると、それ以上の言葉は出すことができなかった。
これ以上何かを語るには、悲しみの感情を抑え込まなければ声が震えてしまって言葉にならなかった。
それに、この状況でヴァスティーユを悲しませることは出来ないと、ヴェスティーユはそっとヴァスティーユの手を取って上半身を引き起こした。



「サヤ様……ありがとうございました」

「……あぁ」

「そんな顔をなさらないでくださいませ、ここまで私たちのことを気にかけて頂いたのです。これ以上の幸せは……わたしにとっては不相応ですわ」

「……そんなことない」

「えへへ……およしになってくださいませ、サヤ様。そんな顔はサヤ様には似合いませんから……あれ?」


ヴァスティーユの目からは、サヤよりも先に涙が零れた。そして器からあふれた感情は我慢できなくなり、サヤの腕をつかみ力強い声で叫んだ。


「わたし……もう少し……もっと一緒に居たかったです!サヤ様と……サヤ様!!」



サヤは、そんなヴァスティーユの取り乱した姿をやさしく抱きしめた。そして、落ち着いた声で耳元に語りかける。




「……あんた、ちょっと長くなるかもしれないけど”孤独”に耐えられるかい?」







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