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第六章 【二つの世界】
6-397 ローディアの謝罪
しおりを挟む「ごめんね……サヤちゃん」
ハルナは、サヤから盾の創造者に身体を乗っ取られた後のことを聞いて言葉を失っていた。
盾の創造者に身体を乗っ取られてはいたが、情報は見つからないように感知をしていた。だからこそ、最後にサヤが大切にしていた人物を助けることができなかったことに、ハルナはサヤに詫びた。
ハルナは、これまで盾の創造者が考えていたことなどはどんなことでも認識していた。にも関わらず誰にも伝えることができず、一人の世界の中で何もできずにくすぶっていた。
それと合わせて、盾の創造屋への準備もおこなっていたが、本当に重要な場面では何もできず悔しい思いをしていた。
「何でアンタが謝るんだよ!アンタはアイツに乗っ取られてんだから、何の役にも立たないのはわかってたろ!?」
「で、でも……」
グズるハルナに対して、サヤは怒りの感情を込めてさらに言葉を重ねた。
「だいたい、アンタもアイツの中かで”いろんな”ことを目にしてきたんだろう!アンタの性格からして、それがきつかったことは知ってんだよ!だから、それ以上の責任感じてもどうしようもないってんだよ!」
サヤは、ハルナが盾の創造者を行ったことを見てきたことを知っているとなると、人間や亜人たちの村が盾の創造者に襲われていく状況もすべて見ていたことを”知っている”はずとわかっていた。
その時に、ハルナがその状況をどのような心情で見ていたのかと思うと、サヤの心は締め付けられたようになり息が苦しくなっていく。
「ハルナ様、落ち着いてくださいませ……どうかサヤ様も、気をお静めくださいませ」
二人の間に割り込んできたのは、この屋敷の主であるアーテリアだった。
始まりの森で起きた騒動の後、救出したハルナを含めてラヴィーネの町まで戻ってきた。
その途中で、サヤとハルナはほとんど口を聞かすにいたため、ヴェスティーユは今までに見たことのないサヤの重い雰囲気に今までのようにサヤと接することができない壁を感じていた。
ラヴィーネに着くと、ローディアたちは一旦寮に戻って休んでもらうことにした。もちろん、今日の出来事は決して口外しないように命令して。アーテリアはそのことをサヤとハルナに確認を取ったうえで、あの場所にいた者たちに一旦は休んでもらうことを指示した。
ローディアは、ヴァスティーユの出来事に心を痛めていた。自分の身を守ってくれたことによって、サヤの付き人であるヴァスティーユをあのような目に合わせてしまったことに対して。
そのため、ローディアは量に戻る前にサヤと会うことを望み、アーテリアの許可を得てサヤと面会することができた。
「……サヤ様、申し訳ございません。ヴァスティーユが……あのようなことになってしまいまして。すべてわたしの責任でございます。ですので、何卒わたしに罰をお与えください!!!」
「――!?」
ローディアはサヤの前で、床に額を付けてひれ伏しサヤからの罰を乞う。
周囲にいた者たちは、その行動に驚いた。
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