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第六章 【二つの世界】

6-453 決戦25

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「これ……は……なかなか……」



サヤの額と背中には、うっすらと汗が滲み出ている。
向かい合わせた掌の内側にある、闇の球体の制御にサヤの意識……いや、全身を使いその制御を行っていた。だが、それは今までやってきたことよりも難易度が高く、この状態を保つことも容易ではなかった。



(……ったく、こんなもの平気な顔して扱ってるアイツらは化け物か!?)


そういう思いもあるが、いまはそれを口にすることすらできない程、サヤは全てをかけてエネルギーの塊であるこの球体を制御していた。




「……サヤちゃん!?」



集中している中、ハルナの声が意識を乱そうとした。
だが、乱れそうな意識を抑えつつも、サヤはハルナが自分の名を呼んだ理由も理解した。
すぐそこに、小さな人型が迫ってきているのが視界に入った。

今手の中にある闇の光線を撃つことを考えたが、この距離では制御が安定していなくても当てることは出来るだろう。
しかし、先ほど盾の創造者が見せた結果では、この光線で貫くと爆発させてしまうため、自分自身にも被害が及んでしまうことになる。


「……ハルナ!」


その声にハルナも気付いた様子で、光の球体を創り始めた。



『無駄なことを……それは先ほど見せたでしょ?それはもう役に立たないのよ、もっと違うことを見せて頂戴?』


そして、盾の創造者は先ほどと同じようにハルナの行動を阻止するために黒い光を放った。

「んんン……はぁっ!!」


その声と同時に、サヤの掌の中に挟まれていた球体から二本の闇の光線が放たれた。

――バシュっ!

サヤの放った光線は、盾の創造者が放った光線にぶつかって光を放つ。そしてその軌道はずれて、ハルナの光の球体は被害は免れた。

ハルナは、このタイミングを見計らい準備して準備をしていた光線を無造作に放つ。
慌てて放ったハルナの光線は、あらぬ方向へと飛び出していく。
だが、その光線は自らの意思を持つかのように予め指定された目標物へと方向を変え、そちらに向かって進んでいく。


――ドン! ドン!


二つの光線は、小さな人型の精霊の核を貫き、嬉しそうな表情を浮かべながら元素へと還っていく。


「やったね、やればできるじゃない!」

「サヤちゃんだって!……でも、大丈夫?すごく辛そうに見えるけど……」

「アタシのことなんかどうでもいいんだよ!?それよりその光はもう半分にして数を増やせない?アタシがやったように一つの球体から二つの光線を……っと!?」


サヤはハルナに追加の指示を出していたが、二人を狙った闇の光線が目の前をかすめていく。
それは新たな情報をハルナに与えないようにとする、盾の創造者からの妨害だった。

「ハルナ……わかったね!?」

「うん!やってみる!」


そうして二人は距離を取り、盾の創造者から同じ視界に収まらないようにした。
それと同時に、ハルナとサヤは再び自分が扱える光線を放つための準備を始めた。


『……あなた達……この私が……負けるはずがないわ!!』


そう叫んだ盾の創造者も、ハルナたちと同じタイミングで闇の球体を創り出した。





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