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第六章 【二つの世界】
6-454 決戦26
しおりを挟むハルナとサヤは、別々に地面を駆けながら、盾の創造者の的を絞らせないようにした。
しかしその行動は、盾の創造者にとって、非常に不愉快な行動だった。
そしてハルナは、準備した光線を放つために目標を定めた。
「――いっけえぇ!!!」
ハルナが放った光線は、一つの光線が二つに分かれて合計四つの光線が放たれた。その光線の行きつく先は、狙いを定めた四体の小さな存在に目掛けて飛んでいった。
それぞれがばらばらの位置にいたが、ハルナの光線はそれらを追いかけるようにして、自らの意思で向かっていくようにも見えた。
――ドン!
光がそれぞれの小さな存在を貫いた貫くと、サヤの言った通りに元素へと還っていく。
「やった!!サヤちゃん、これなら!!!」
「――バカ!!油断すんな!?」
立ち止まったハルナに、盾の創造者から放たれた闇の光線が真っすぐに向かってくる。サヤは慌てて掌の中から、攻撃を弾くために光線を放つ。
だが、狙いがずれていたせいもあり、先程のようにサヤの攻撃がハルナを襲う光線を防ぐことは出来なかった。
「――ハルナ!!」
サヤは、いまだに退避行動を取っていないハルナに大声で叫んだ。
「――っ!?」
ハルナの視界が、一瞬にして動きをみせる。横から急激に与えられた速度によって、ハルナの身体には軋みが生じて痛む。
そしてようやく自分がいま、背中を掴まれた状態になり助けられたのだと知ったのは、さっきまでいた中庭が真下に広がる景色が視界に入ってきたからだった。
「モイスさん!」
『危ないところでした……すこし失礼いたします』
「きゃぁっ!?」
ハルナは掴まれていたモイスからに投げ出され、空中にその身が浮かんでいる。
放り出され上昇が終ると、ここからは下っていくだけになる。が、その最高地点でモイスはハルナを背中に乗せ換えることができた。
「ありがとうございます」
『乱暴に扱ってしまい、申し訳ございません。お怪我は……おつかまりください!』
その言葉にハルナは、モイスの背中の鱗にしがみつく。併せてモイスは背中とハルナの間に氷の膜を創り離れないようにする。それと同時に、モイスは進行方向を軸にして、羽を畳み大きな体をひねるように一回転する。
羽があった場所には、二本の闇の光線がモイスの身体を掠めていった。
「ハルナ!あんた、その場所から狙える!?」
「まかせて!!……モイスさん、お願いします!!」
『承知しました!回避はおまかせください!』
『厄介なこと……うっ!?』
盾の創造者は、背中から攻撃を受けて身体がよろめいた。
「さて、これでこちらが有利になったわけだけど……そろそろこいつらを解放する気はない?」
『そんなことするわけないでしょ!?』
盾の創造者が近くにいた小さな人型を、サヤに投げつけるために掴もうとする。
――ドン!
しかし、どこからともなく飛んできた光線によって貫かれ、掴んだ存在は元素へと還っていった。
そして、ハルナは次々と人型の存在を解放していき、その数は残り一体となっていた。
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