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第六章 【二つの世界】

6-462 決戦34

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『さぁ……他に何か聞きたいことは無いの?』


「アンタが消えたら……どうなるんだ?」


『そうね……それは本当にわからないわ。どうなるのかは気になるところだけど、その時には私はこの世界に存在していないのだからどうなるかなんてわからないわよ』



「ってことは、アンタっていう存在は意識も残らないのか?」


『そうね、私もこの世界の”理”に従っているのだとしたら、この身体は資源に分解されてこの世界を漂うだけになるでしょうね。私としては、意識や知能は残っていてくれた方がうれしいのだけれど……』


「まぁ、それすらもどうなるかわからないってことか。実際に”剣”の方が先にいなくなったんだし、それを参考にするしかないのかもね」


『……いい結果になるといいわね』


盾の創造者は他人事のように、サヤの心配事に対して言葉を掛ける。
だが、これから消えゆく者にとっては、この先どうなろうと知ったことではない。
結果、自分が消えた後にこの世界が崩壊することになったとしても、自分の望み通りになるのだから。
資源として戻ってしまうが、もし自分の意思だけが残れば再びこの世界を創り出すこともできる可能性だってある。

この世界では負けても、その後の可能性の方が今の盾の創造者にとって希望の種だった。


「じゃあ、あんたたち……もういいか?そろそろこいつを消すけど」


「う……うん」


サヤの言葉に、こんなに無抵抗な盾の創造者を消してしまうことに躊躇してしまう。
だが、それは予めサヤから”決して同情の姿を見せるな!”と釘を刺されていた。そのことを思い出し、ながらハルナは質問が無いと答える。


「そう……ラファエル、アンタは?」

そう話しかけられてたラファエルは、両手を前に合わせた姿勢のまま、顔を下に向けて首を横に振る。
そして、ラファエルとハルナの視線は、サヤへと戻っていく。
その視線を感じ、サヤはいまだ盾の創造者の身体を貫いている剣の柄から手を離した。手には黒い闇の石を持ち、盾の創造者の背後へと移動する。



『……ねぇ』

「何……?」

『私も、あなたに聞きたいことがあるのだけど……”最後”にいいかしら?』


サヤは盾の創造者の表情が見えない位置から声を掛けられる。その問いかけてくる声には今までのように何かを企んでいる意図は感じられず、ただ話をしたいだけのような気持ちだけの言葉だった。
純粋な”最後”という言葉がサヤの心にも沁みて、質問の内容を聞いてみた。


『ありがとう……”これまで”のことは、全てあなたが考えたことなの?』

盾の創造者は、ここまで自分を追い詰めた作戦がサヤ一人で考えたものかを聞きたかった。


「いいや。アタシと剣のヤツがほぼ半分ずつ考えたことだよ。アイツが残してくれた能力や知識をもとにして、今回アンタをようやく追い詰めることができたんだ。あの小さい人型も相当エネルギーを使ったんだろ?だから、アタシたちに消されても補充ができなかったんだ。アレを再び創り出すほどの物は、もうアンタの身体に残っていなかった。だから、逃げると見せかけて手っ取り早い補給を考えると思ったんだ」


『そう……それでこの身体なのね』

ラファエルに乗り移ったその身体には、元素がほとんど残っていなかった。これも、そうなることを予測して用意したのだとサヤは言った。



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