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第六章 【二つの世界】

6-463 決戦35

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「そうだよ。その時にアンタができることって言えば、この世界に存在するモノに”乗り移る”ってことだけだろうからね。ハルナに手伝ってもらって、棺桶を用意してもらったんだよ」


『ハルナ……が、ですって?』


「そう、ハルナがやってくれたんだよ。アンタ以外にも、そういうことができる存在ができたってことだね。といっても、ほとんど剣のやつが考えてた理論を、アタシがハルナに伝えたんだけど」



『そう……なのね』



「お?それだけなの?……まぁ剣の奴が結構調べてたみたいだからね、アンタよりもさ」


『……』



あおりにも、盾の創造者は何の反応も見せてこない。サヤはそのことを、諦めたと判断して事を先に進める。



「じゃあ……もういいかな?まずはこの石の中に入ってもらうよ。もちろん、そのラファエルの身体には、仮想空間の能力は封じ込めてるから逃げ出せないよ。悪いけど、これまでの自分のことを反省しながら、消えていってもらうから」



「……っ」


その言葉の後に、ハルナは盾の創造者に言葉を掛けようとした。だが、ここまで追い詰めた状況で、サヤとの約束を破ってしまい、状況が不利になることを考えるとハルナは言葉を飲み込んだ。



「ったく……いいよ。最後に一言だけ声をかけても。もちろん質問とかはダメだ」



サヤは、後でこの場面で後悔しそうなハルナに対し、一言だけ言葉を掛けることを許可する。
それと同時に、何が起きても対処できるように身構える。



「えっと、あの……名前がわからないから、今までと同じ呼び方にさせてもらいますね。”盾の創造者さん”、今までありがとうございました」



『――!?』


盾の創造者は、ハルナの言葉に目を見開き、その姿を見るべくハルナの方へ身体を向ける。
そして、この世界に対して一番不可解な言葉を投げかけるハルナに聞いた。


『”ありがとう”……ですって?確かその言葉は、感謝の言葉であるはずですね?なぜ、そのような言葉を……私に?あ、もしかして私に対する皮肉ですか?』

ハルナは慌てて手を振り、その言葉を否定する。

「いいえ!そうじゃないんです!!なんていうか……その……この世界にきて、独りぼっちだった私の傍にいてくれたんですよね?契約した精霊は……あなただって」


『あぁ……それは違うわ。私は、あの精霊を通してあなたのことを見ていただけなのよ。精霊自体は自我を持っていたし、それを監視してたのは、そこのラファエルだわ。だから私はあなたにお礼を言われることなんてないのよ』


「そう……ですか」



『さぁ、もういいでしょ?私もいつまでも無様な姿を晒していたくはありません……あー、次の存在がどのようになるのか楽しみだわ』


そう言って、盾の創造者はハルナに背を向けた。


「……もういいだろ?ハルナ」


「う……うん」

「じゃ……これで終わりだね」


サヤは手の中にある闇の石をつまみ、盾の創造者の背中に押し当てた。
そして、サヤは目の前にある存在を石の中へと移動させるイメージを創った。


『……ありがとう』


「は?」
「え?」


盾の創造者の姿が消える瞬間、近くにいた二人の耳には盾の創造者の最後の言葉を聞こえた。




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