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第一章 魔女の森。
他の誰でもない、私達だけの物語。
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──それから森のモンスターさん達はしろうさぎさんを先頭に魔女子さんの眠る洞窟へと向かいます。
朝陽も昇り柔らかな日差しが差し込む頃、洞窟へ着くとそこへはちょうど目を覚ましたばかりの魔女子さんが片目を擦りながら出て来ました。
「……ん、あれ? みんな、おはよう。今日も良い天気だね」
まだ無垢なままのとても可愛いらしい人間の女の子、魔女子さん。彼女の言葉にあちこちから返される『おはよう』の声。彼女にとって今日という日がどんな日になるのか、一匹のピクシーさんがそっと彼女の前に飛んで行きます。
「おはよう、魔女子」
「うん、おはよう、ピクシーちゃん」
「あのさ、魔女子……」
そこまで言うと言葉に詰まるピクシーさん。
「え、なに? ピクシーちゃん、どうか……したの?」
そんなピクシーさんを心配そうな顔で見つめる魔女子さん。
「あ、いや、その、だから……さ……」
「うん。なに?」
両手で自分の頬を叩くとピクシーさんは魔女子さんに言います。
──パンッ!!
「あのさ、魔女子!! 今日はあんたに大事な話があるの」
「え? 大事な、話?」
「そう、とーっても大事な話……」
「とーっても?」
「そうよ。とーってもとーっても大事な話」
「う、うん。わかった。とーってもとーっても大事なお話だね。私、ピクシーちゃんのお話聞く」
すると、ピクシーさんは後ろを振り返ると手を広げ、再び魔女子さんの方を見るとこう言います。
「その話をするのは私じゃない。この森の主のしろうさぎよ……いい、魔女子。これからコイツが言う事をちゃんと聞きなさい。あんたにとってそれはとっても辛い事かもしれないけれど、最後まで目を逸らさないでその心でちゃんと受け止めなさい。怖くても、苦しくても、泣いてもいいから、それでも絶対逃げちゃダメ。大丈夫、私達がずっとあんたの側に居てあげるから……」
そうしてその場に作られた大きな輪。それは小さな人間の女の子、魔女子さんと一匹の動物しろうさぎさんを囲むように幾重にも重なって作られました。モンスターさん達はその手を互いに繋ぎ、魔女子さんを優しく包み込むように想いを一つにします。
そして、しろうさぎさんはその真実の全てを魔女子さんに話して聞かせました。
魔女の手記に書かれていた魔女の言葉。
魔女という存在の正体。
これから先にあるだろう二つの未来の話。
まだ小さな人間の女の子にとって、それは耐えがたい程の痛み。
魔女子さんは大粒の涙をボロボロと溢しながら、それでも必死にしろうさぎさんの方を見つめます。
そんなしろうさぎさんの目も真っ赤に染まってその目からは同じように涙が溢れ落ちています。
それでも、逃げずに最後まで話を聞き終えた魔女子さんは、嗚咽混じりの声でこう言ったのでした。
「……ぐすっ、ぐすっ……わ、私……私は、魔女でいたい、です。ぐすっ……」
私は魔女でいたい。
どうして魔女子さんがそう言ったのか。
何故、人間である筈の自分を捨ててまでそうありたいと思ったのか。
それはわかりません。
ですが、そこに居る誰一匹それ以上その事について深く追求する者はいませんでした。
その代わり、そこに居る全員が同じように傷つき、同じように涙を流します。
「……ぐ、ぐすっ……そ、それでは、皆さん……ぐすっ……こ、ここに、一人の魔女の女の子、魔女子さんをもう一度迎え入れる事を……ぐすっ……決定します!!」
──おぉおおーーーー!! ぱちぱち、ぱちぱち。
その場に広がる涙と笑顔。
魔女子さんの周りへ次から次へとモンスターさん達が駆け寄って来ます。
──ぴょんぴょんぴょん……ぷるんぷるん。
「魔女子さん、ボク、絶対もっと強くなるから。だから、これからもいっぱい一緒に遊ぼうね!!」
「うん……ぐすっ……」
──タタタタタッ。
「魔女子ちゃん、私ももっと弓を上手くなるから。また一緒に飛び込もうね!!」
「……う、うん……ぐすっ……」
「ゔぁ、ゔぁゔぁゔぁゔぁゔぁ、ゔぁーーーー!!」
「うん!!」
みんなに囲まれ笑顔を浮かべる魔女子さん。
そこには沢山の優しさがありました。
心の傷は失くなる事はないけれど、それならそれ以上の優しさで包んであげればいい。
それがこの森の出した答えです。
その光景を静かに見つめていたしろうさぎさんは歩き出すと魔女子さんの元に歩み寄ります。
──ペタペタペタ……
「魔女子さん」
「あ、は、はい、主!!」
「さっきはあんな風に言っちゃったけど、今から言う言葉が私の本当の気持ちです。聞いてくれますか?」
「は、はい、聞きます、聞きたいです!!」
「……ありがとう」
感謝の気持ちを述べると、しろうさぎさんは自分の本当の気持ちを言葉に変えます。
「これから先、何があっても私達はあなたを一人にはしません。たとえどんな困難がこの先の未来に待っていようとみんなでなら絶対に乗り越えて行けます。あなたは幸せになる為に生まれて、そしてここに辿り着いた……その選択を今日あなたは自分でした。だから、私達を、そんな自分をどうかいつまでも信じてあげてください。あなたはきっと、この世界の誰よりも一番幸せな魔女になれますから」
「……はいっ!!」
そうして、魔女子さんはその言葉に満面の笑みで元気よく返事をしたのでした。
──パタパタパタ……ストン、ちょこん。
「──よく頑張ったわね、魔女子」
「うん……」
「本当に偉いわ、あなたは強い子よ」
「……うん」
「約束するわ。私があなたをいつだって笑顔にしてあげるから」
「う……うん……あ、ありが……と、ピ、ピクシーちゃ……うわぁーーーーん!!」
自分の肩で優しく囁くピクシーさんの言葉に、魔女子さんは大声を出して泣き出してしまいます。今の今『いつだって笑顔にしてあげる』と宣言したばかりのピクシーさんは困り顔を浮かべると彼女の頬に流れる涙を拭いてあげながら言いました。
「ちょ、ちょっと魔女子、泣かないで。私いま、あなたをいつだって笑顔にしてあげるって言ったばかりじゃない」
すると魔女子さんは大きな声で泣きながら叫びます。
「私、泣いてない!! 笑ってるもん!! うわぁーーーーん!!」
「いや、それはさすがにあんた、無理あるって」
「違う、嬉しいもん!! みんなの、ピクシーちゃんの気持ち嬉しいもん!! だから泣いてるけど泣いてないもん、笑ってるもん!! うわぁーーーーん!!」
顔をくしゃくしゃにしながら必死に笑顔を作って涙を溢す魔女子さん。
そんな彼女の姿を見てピクシーさんは観念して諦めます。
「……はぁ、もう、わかったわよ……なら泣きたいだけ思いっきり泣きなさい」
「はい!! うわぁーーん!!」
それからまた集まって来たモンスターさん達の群れの中心で大声を出して嬉し泣きをするのは本当は人間の、だけどやっぱり今は魔女の小さな女の子、魔女子さん。
今ここに、新しい物語はその始まりを告げます。
そんな彼女から少し離れた場所で空を仰ぐ一匹の動物、しろうさぎさん。気づくとその隣には一匹の妖精とピクシーのクォーター、ピクシーさんがやって来ます。
二匹は雲一つない空を見上げながら話します。
「──これで、良かったんですよね、きっと」
「ええ。きっとこれで良かった。だって、あの子が自分で選んだ未来だもの」
「……うん……そうだね」
「あのさ、うさぎ」
「なに?」
「……その、私さ……なんか、だから、その……いつも厄介事ばかり増やしちゃって、ごめん」
「ううん。大丈夫だよ。全然気にしてない。ちゃんとわかってるから。ピクシーさんは優しいピクシーさんで、だからいつも幸せに本気なだけだって、私ちゃんとわかってるから」
「……そっか」
「うん。それに……それにその言葉を言わなきゃいけないのはきっと私の方だよ。いつもみんなを迷わせて、迷惑ばかりかけちゃう森の主さんで、本当ごめんなさい」
「うーーん……そう? そんな事ないんじゃない? あんたは頑張ってる。途中で迷ったり間違いそうになりながらも、結果、こうやって然るべき答えに辿り着いてる。みんなをそこへ導いてあげれてる。それは今までだってそうだったし、これから先もきっとそう。あんたは私達には変えられないものを沢山変えて、その度に私達の知らない景色をそこで見せてくれる。だからさ、あんまり一匹で抱え込まないで、あんたの隣にいつも居るのは誰? 私よ、この森の案内人さんのピクシーさんよ。あんたの重みの半分くらい余裕で背負ってやるんだから」
「……ピクシーさん……」
「さ、今日からまた忙しくなるわよ。なんせあんな大声で泣きながら『笑ってる』って言い張る奴が一人増えたんだもの。……だからさ、うさぎ。やってやるわよ。言い伝えの教える運命なんかぶっこわす。それがこの先どんなに私達の目の前にやって来たって関係ない。誰が決めたかわかんないあたりまえになんて絶対負けないんだから!!」
「うん。そうだね。ここから始まるんだ、誰も知らない、誰のものでもない、私達の、私達だけの物語が──」
その日、この世界で一番最弱と呼ばれた森で起こった一つの革新。
それは今までのあたりまえを否定した先に生まれた新しい物語。
その中心には白いうさぎの姿があって。
その隣にはいつも一匹のピクシーさんの姿がありました。
何かを変える事で、何かは変わる。
世界は今、その姿を大きく変えようとしていたのでした──
朝陽も昇り柔らかな日差しが差し込む頃、洞窟へ着くとそこへはちょうど目を覚ましたばかりの魔女子さんが片目を擦りながら出て来ました。
「……ん、あれ? みんな、おはよう。今日も良い天気だね」
まだ無垢なままのとても可愛いらしい人間の女の子、魔女子さん。彼女の言葉にあちこちから返される『おはよう』の声。彼女にとって今日という日がどんな日になるのか、一匹のピクシーさんがそっと彼女の前に飛んで行きます。
「おはよう、魔女子」
「うん、おはよう、ピクシーちゃん」
「あのさ、魔女子……」
そこまで言うと言葉に詰まるピクシーさん。
「え、なに? ピクシーちゃん、どうか……したの?」
そんなピクシーさんを心配そうな顔で見つめる魔女子さん。
「あ、いや、その、だから……さ……」
「うん。なに?」
両手で自分の頬を叩くとピクシーさんは魔女子さんに言います。
──パンッ!!
「あのさ、魔女子!! 今日はあんたに大事な話があるの」
「え? 大事な、話?」
「そう、とーっても大事な話……」
「とーっても?」
「そうよ。とーってもとーっても大事な話」
「う、うん。わかった。とーってもとーっても大事なお話だね。私、ピクシーちゃんのお話聞く」
すると、ピクシーさんは後ろを振り返ると手を広げ、再び魔女子さんの方を見るとこう言います。
「その話をするのは私じゃない。この森の主のしろうさぎよ……いい、魔女子。これからコイツが言う事をちゃんと聞きなさい。あんたにとってそれはとっても辛い事かもしれないけれど、最後まで目を逸らさないでその心でちゃんと受け止めなさい。怖くても、苦しくても、泣いてもいいから、それでも絶対逃げちゃダメ。大丈夫、私達がずっとあんたの側に居てあげるから……」
そうしてその場に作られた大きな輪。それは小さな人間の女の子、魔女子さんと一匹の動物しろうさぎさんを囲むように幾重にも重なって作られました。モンスターさん達はその手を互いに繋ぎ、魔女子さんを優しく包み込むように想いを一つにします。
そして、しろうさぎさんはその真実の全てを魔女子さんに話して聞かせました。
魔女の手記に書かれていた魔女の言葉。
魔女という存在の正体。
これから先にあるだろう二つの未来の話。
まだ小さな人間の女の子にとって、それは耐えがたい程の痛み。
魔女子さんは大粒の涙をボロボロと溢しながら、それでも必死にしろうさぎさんの方を見つめます。
そんなしろうさぎさんの目も真っ赤に染まってその目からは同じように涙が溢れ落ちています。
それでも、逃げずに最後まで話を聞き終えた魔女子さんは、嗚咽混じりの声でこう言ったのでした。
「……ぐすっ、ぐすっ……わ、私……私は、魔女でいたい、です。ぐすっ……」
私は魔女でいたい。
どうして魔女子さんがそう言ったのか。
何故、人間である筈の自分を捨ててまでそうありたいと思ったのか。
それはわかりません。
ですが、そこに居る誰一匹それ以上その事について深く追求する者はいませんでした。
その代わり、そこに居る全員が同じように傷つき、同じように涙を流します。
「……ぐ、ぐすっ……そ、それでは、皆さん……ぐすっ……こ、ここに、一人の魔女の女の子、魔女子さんをもう一度迎え入れる事を……ぐすっ……決定します!!」
──おぉおおーーーー!! ぱちぱち、ぱちぱち。
その場に広がる涙と笑顔。
魔女子さんの周りへ次から次へとモンスターさん達が駆け寄って来ます。
──ぴょんぴょんぴょん……ぷるんぷるん。
「魔女子さん、ボク、絶対もっと強くなるから。だから、これからもいっぱい一緒に遊ぼうね!!」
「うん……ぐすっ……」
──タタタタタッ。
「魔女子ちゃん、私ももっと弓を上手くなるから。また一緒に飛び込もうね!!」
「……う、うん……ぐすっ……」
「ゔぁ、ゔぁゔぁゔぁゔぁゔぁ、ゔぁーーーー!!」
「うん!!」
みんなに囲まれ笑顔を浮かべる魔女子さん。
そこには沢山の優しさがありました。
心の傷は失くなる事はないけれど、それならそれ以上の優しさで包んであげればいい。
それがこの森の出した答えです。
その光景を静かに見つめていたしろうさぎさんは歩き出すと魔女子さんの元に歩み寄ります。
──ペタペタペタ……
「魔女子さん」
「あ、は、はい、主!!」
「さっきはあんな風に言っちゃったけど、今から言う言葉が私の本当の気持ちです。聞いてくれますか?」
「は、はい、聞きます、聞きたいです!!」
「……ありがとう」
感謝の気持ちを述べると、しろうさぎさんは自分の本当の気持ちを言葉に変えます。
「これから先、何があっても私達はあなたを一人にはしません。たとえどんな困難がこの先の未来に待っていようとみんなでなら絶対に乗り越えて行けます。あなたは幸せになる為に生まれて、そしてここに辿り着いた……その選択を今日あなたは自分でした。だから、私達を、そんな自分をどうかいつまでも信じてあげてください。あなたはきっと、この世界の誰よりも一番幸せな魔女になれますから」
「……はいっ!!」
そうして、魔女子さんはその言葉に満面の笑みで元気よく返事をしたのでした。
──パタパタパタ……ストン、ちょこん。
「──よく頑張ったわね、魔女子」
「うん……」
「本当に偉いわ、あなたは強い子よ」
「……うん」
「約束するわ。私があなたをいつだって笑顔にしてあげるから」
「う……うん……あ、ありが……と、ピ、ピクシーちゃ……うわぁーーーーん!!」
自分の肩で優しく囁くピクシーさんの言葉に、魔女子さんは大声を出して泣き出してしまいます。今の今『いつだって笑顔にしてあげる』と宣言したばかりのピクシーさんは困り顔を浮かべると彼女の頬に流れる涙を拭いてあげながら言いました。
「ちょ、ちょっと魔女子、泣かないで。私いま、あなたをいつだって笑顔にしてあげるって言ったばかりじゃない」
すると魔女子さんは大きな声で泣きながら叫びます。
「私、泣いてない!! 笑ってるもん!! うわぁーーーーん!!」
「いや、それはさすがにあんた、無理あるって」
「違う、嬉しいもん!! みんなの、ピクシーちゃんの気持ち嬉しいもん!! だから泣いてるけど泣いてないもん、笑ってるもん!! うわぁーーーーん!!」
顔をくしゃくしゃにしながら必死に笑顔を作って涙を溢す魔女子さん。
そんな彼女の姿を見てピクシーさんは観念して諦めます。
「……はぁ、もう、わかったわよ……なら泣きたいだけ思いっきり泣きなさい」
「はい!! うわぁーーん!!」
それからまた集まって来たモンスターさん達の群れの中心で大声を出して嬉し泣きをするのは本当は人間の、だけどやっぱり今は魔女の小さな女の子、魔女子さん。
今ここに、新しい物語はその始まりを告げます。
そんな彼女から少し離れた場所で空を仰ぐ一匹の動物、しろうさぎさん。気づくとその隣には一匹の妖精とピクシーのクォーター、ピクシーさんがやって来ます。
二匹は雲一つない空を見上げながら話します。
「──これで、良かったんですよね、きっと」
「ええ。きっとこれで良かった。だって、あの子が自分で選んだ未来だもの」
「……うん……そうだね」
「あのさ、うさぎ」
「なに?」
「……その、私さ……なんか、だから、その……いつも厄介事ばかり増やしちゃって、ごめん」
「ううん。大丈夫だよ。全然気にしてない。ちゃんとわかってるから。ピクシーさんは優しいピクシーさんで、だからいつも幸せに本気なだけだって、私ちゃんとわかってるから」
「……そっか」
「うん。それに……それにその言葉を言わなきゃいけないのはきっと私の方だよ。いつもみんなを迷わせて、迷惑ばかりかけちゃう森の主さんで、本当ごめんなさい」
「うーーん……そう? そんな事ないんじゃない? あんたは頑張ってる。途中で迷ったり間違いそうになりながらも、結果、こうやって然るべき答えに辿り着いてる。みんなをそこへ導いてあげれてる。それは今までだってそうだったし、これから先もきっとそう。あんたは私達には変えられないものを沢山変えて、その度に私達の知らない景色をそこで見せてくれる。だからさ、あんまり一匹で抱え込まないで、あんたの隣にいつも居るのは誰? 私よ、この森の案内人さんのピクシーさんよ。あんたの重みの半分くらい余裕で背負ってやるんだから」
「……ピクシーさん……」
「さ、今日からまた忙しくなるわよ。なんせあんな大声で泣きながら『笑ってる』って言い張る奴が一人増えたんだもの。……だからさ、うさぎ。やってやるわよ。言い伝えの教える運命なんかぶっこわす。それがこの先どんなに私達の目の前にやって来たって関係ない。誰が決めたかわかんないあたりまえになんて絶対負けないんだから!!」
「うん。そうだね。ここから始まるんだ、誰も知らない、誰のものでもない、私達の、私達だけの物語が──」
その日、この世界で一番最弱と呼ばれた森で起こった一つの革新。
それは今までのあたりまえを否定した先に生まれた新しい物語。
その中心には白いうさぎの姿があって。
その隣にはいつも一匹のピクシーさんの姿がありました。
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世界は今、その姿を大きく変えようとしていたのでした──
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