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第二章 調停者。
警戒心。
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「グフゥーー!!」
──ガギンッ。
「……っく」
トロールの振り下ろす棍棒の重い一撃を真正面から受け止めるとアナスタシアは苦悶の表情を浮かべます。流石の調停者といえど彼女は女性、単純な力でいえばトロールの方が段然上です。すると、アナスタシアは自身の受ける感覚を一言一句を口にしその事を茂みに隠れるくろうさぎさんに伝えていきます。
「……さすがに、重いな。私の腕ではそう何発も受け止められそうにもない。でも、今の一撃でそれは確かめられたよ。それならお前の得意な条件ではなく私の得意な条件で戦うとするよ」
──サッ。
アナスタシアは後ろへ飛び下がり更に距離を取ります。力が強く代わりに大振りで単調な攻撃を仕掛けるトロールに対して彼女は速さでの勝負を持ち掛けます。一定の距離を保ちつつ左右に素早く動くとそこから一気に間合いを詰めて斬りかかります。
「はぁあああっ!!」
──ザシュン。
「グ……グフンッ!!」
──ブォン……!!
トロールが反応するよりも早くすれ違いざまにその斬撃を彼の身体に刻み込むとアナスタシアは再び距離を取ります。その直後、激しい風切り音だけを残してトロールの攻撃は空を切ります。そこにある一定以上の手応えを感じたアナスタシアは斬っては離れ斬っては離れを繰り返す作戦に打って出ます。
──ザシュ。
──ブォン……!!
──ザシュ。
──ブォン……!!
致命的と言える程の一撃は与えられませんでしたが、それでもこのやり方であれば時間をかければ勝機はあると思った矢先、この日、ここまで十と二のクエストをこなして来たその代償が表立って彼女の動きに現れ始めます。
「はあぁああ!!」
──サシュ。
浅くなる攻撃。無意識の内に彼女の動きは自身の思い描くイメージの感覚とズレを起こし始めます。と、悪い事は重なるもので……次に繰り出した一撃、それはトロールに届く事はありませんでした。
「はぁああ!!」
──ガギン!!
──ブォン……!!
「……っく」
幾度かその身体に攻撃を貰う内にトロールは自身の行動パターンを変えて対抗します。素早いアナスタシアの攻撃に彼が選んだ対抗策は守りの一手。いつどこから攻撃されても良いようにトロールは先ずその攻撃を防ぐ事だけに意識を集中し身構えたのでした。それを物語るように彼は自身の持つ棍棒をアナスタシアの攻撃を受け止めるだけの盾として使うと彼女の剣と棍棒が触れた瞬間、空いた手で彼女の身体を掴みにいきます。
「……なるほど……警戒心の強いお前の強みを活かした鉄壁の守りからの最短での攻撃、ということか。私の得意なフィールドでもそう簡単に事は運ばせる気はない……賢いな。これがお前の持つ『違和感』としての特性か歴戦で得た経験かは知らないが厄介なのに変わりはないな……それに……!!」
──ガギン!!
──ブォン……!!
再び攻撃を弾かれて距離を取ったアナスタシアは言います。
「それに……これでは、こちらが優位で戦える筈のこの条件下で先に追い込まれるのは私の方かもしれないな……はぁ、はぁ、はぁ……」
警戒心を強め攻撃を防ぐ事に専念したトロールがその行動を最小限に行うのに対して、アナスタシアはその足を常に使い近づき斬っては離れるという行動を取り続けなければいけない。彼女の選んだ優位な条件は一転その牙を彼女自身へと向け始めるのでした。
「……アナスタシア……」
その一部始終を見ていたくろうさぎさんは考えます。例えばこのままアナスタシアがこの作戦で戦いを続けたとしてもその結果はきっと望んだものにはならない。予想以上に警戒心を上手く使いこなす相手に対して出来る事は他にないかと考えます。
「警戒心、順応性、知能、経験、どれを取ってもこのトロールに目立った隙と呼べるものは見当たらない……さすがは『違和感』だと言わざるを得ない強さだよ……それならこちらに部のある速さで対抗しようにも、今のアナスタシアにそれを維持するだけの体力も残っていない……周囲を見渡してもあるのは色づいた木の葉や折れた木だけだ……」
気づけばいつの間にか少し暗みがかった茜色の空を見てくろうさぎさんは時間が余りない事に気づくと手元にあるクエスト依頼書に一瞬目を落とします。その瞬間、彼の目に飛び込んできたのはクエスト依頼書に記載されていたクエスト依頼日時の数字。そして、くろうさぎさんは閃きます。
「……時間……時間、そう時間だ!! アナスタシアの言った『時間』、それが答えなんだ。僕達に残された時間。要はアナスタシアに残された体力の時間、日の入りまでの残された時間、その『時間』を僕達が逆の意味として支配する事が出来れば……このクエスト依頼書に記載されている『依頼日時』、これを基にもう一度組み立て直すんだ。僕達のその解釈を……」
くろうさぎさんは再びクエスト依頼書に目を落とすとそこに記されていたクエスト依頼日時を基に一つの仮説をここに立てる事を決意します。
「……依頼日時から今日までかなりの時間が経過している……この場所に近づくにつれて感じた他を寄せ付けないような異様で独特な空気感。大量の骨付き肉を一匹独占するかたちで保持していた状況。それに合わせて、身体中に突けられた大量の斬り傷と、異常な程までの警戒心……それをこのクエスト依頼書に書かれてある依頼日時を基に紐付ければ、その答えは──」
そして、この一つの過程から物事は大きく動き出す事になります。
「そうすれば、当初僕の言った彼は『ここで待ち構えている』という考えではなく、アナスタシアの言った『何かに怯えている』という考に結びつける事が出来る。だとすれば……彼の持つ強み。その警戒心が逆に彼の弱みになるかもしれない……これからの『時間』を僕達の味方につけられるかもしれない……でも、これはこじつけだ。本当にそうだと言い切れるだけの根拠は何処にもない……なら、やるべき事はもうこれしかないね。僕がそれを確かめる」
すると、くろうさぎさんは大急ぎで地面に散らばる落ち葉達を拾い集めると自身の体にペタペタと貼り付けていきます。そうしてあっという間にその全身を色とりどりの落ち葉っぱで包み込むとそこには得体の知れない奇妙な『葉っぱ葉お化け』が誕生したのでした。
「……強い警戒心。キミの強みを存分に発揮して貰うよトロール……」
そう呟くとくろうさぎさんはゆっくりとトロールの前にその姿を曝け出したのでした──
──ガギンッ。
「……っく」
トロールの振り下ろす棍棒の重い一撃を真正面から受け止めるとアナスタシアは苦悶の表情を浮かべます。流石の調停者といえど彼女は女性、単純な力でいえばトロールの方が段然上です。すると、アナスタシアは自身の受ける感覚を一言一句を口にしその事を茂みに隠れるくろうさぎさんに伝えていきます。
「……さすがに、重いな。私の腕ではそう何発も受け止められそうにもない。でも、今の一撃でそれは確かめられたよ。それならお前の得意な条件ではなく私の得意な条件で戦うとするよ」
──サッ。
アナスタシアは後ろへ飛び下がり更に距離を取ります。力が強く代わりに大振りで単調な攻撃を仕掛けるトロールに対して彼女は速さでの勝負を持ち掛けます。一定の距離を保ちつつ左右に素早く動くとそこから一気に間合いを詰めて斬りかかります。
「はぁあああっ!!」
──ザシュン。
「グ……グフンッ!!」
──ブォン……!!
トロールが反応するよりも早くすれ違いざまにその斬撃を彼の身体に刻み込むとアナスタシアは再び距離を取ります。その直後、激しい風切り音だけを残してトロールの攻撃は空を切ります。そこにある一定以上の手応えを感じたアナスタシアは斬っては離れ斬っては離れを繰り返す作戦に打って出ます。
──ザシュ。
──ブォン……!!
──ザシュ。
──ブォン……!!
致命的と言える程の一撃は与えられませんでしたが、それでもこのやり方であれば時間をかければ勝機はあると思った矢先、この日、ここまで十と二のクエストをこなして来たその代償が表立って彼女の動きに現れ始めます。
「はあぁああ!!」
──サシュ。
浅くなる攻撃。無意識の内に彼女の動きは自身の思い描くイメージの感覚とズレを起こし始めます。と、悪い事は重なるもので……次に繰り出した一撃、それはトロールに届く事はありませんでした。
「はぁああ!!」
──ガギン!!
──ブォン……!!
「……っく」
幾度かその身体に攻撃を貰う内にトロールは自身の行動パターンを変えて対抗します。素早いアナスタシアの攻撃に彼が選んだ対抗策は守りの一手。いつどこから攻撃されても良いようにトロールは先ずその攻撃を防ぐ事だけに意識を集中し身構えたのでした。それを物語るように彼は自身の持つ棍棒をアナスタシアの攻撃を受け止めるだけの盾として使うと彼女の剣と棍棒が触れた瞬間、空いた手で彼女の身体を掴みにいきます。
「……なるほど……警戒心の強いお前の強みを活かした鉄壁の守りからの最短での攻撃、ということか。私の得意なフィールドでもそう簡単に事は運ばせる気はない……賢いな。これがお前の持つ『違和感』としての特性か歴戦で得た経験かは知らないが厄介なのに変わりはないな……それに……!!」
──ガギン!!
──ブォン……!!
再び攻撃を弾かれて距離を取ったアナスタシアは言います。
「それに……これでは、こちらが優位で戦える筈のこの条件下で先に追い込まれるのは私の方かもしれないな……はぁ、はぁ、はぁ……」
警戒心を強め攻撃を防ぐ事に専念したトロールがその行動を最小限に行うのに対して、アナスタシアはその足を常に使い近づき斬っては離れるという行動を取り続けなければいけない。彼女の選んだ優位な条件は一転その牙を彼女自身へと向け始めるのでした。
「……アナスタシア……」
その一部始終を見ていたくろうさぎさんは考えます。例えばこのままアナスタシアがこの作戦で戦いを続けたとしてもその結果はきっと望んだものにはならない。予想以上に警戒心を上手く使いこなす相手に対して出来る事は他にないかと考えます。
「警戒心、順応性、知能、経験、どれを取ってもこのトロールに目立った隙と呼べるものは見当たらない……さすがは『違和感』だと言わざるを得ない強さだよ……それならこちらに部のある速さで対抗しようにも、今のアナスタシアにそれを維持するだけの体力も残っていない……周囲を見渡してもあるのは色づいた木の葉や折れた木だけだ……」
気づけばいつの間にか少し暗みがかった茜色の空を見てくろうさぎさんは時間が余りない事に気づくと手元にあるクエスト依頼書に一瞬目を落とします。その瞬間、彼の目に飛び込んできたのはクエスト依頼書に記載されていたクエスト依頼日時の数字。そして、くろうさぎさんは閃きます。
「……時間……時間、そう時間だ!! アナスタシアの言った『時間』、それが答えなんだ。僕達に残された時間。要はアナスタシアに残された体力の時間、日の入りまでの残された時間、その『時間』を僕達が逆の意味として支配する事が出来れば……このクエスト依頼書に記載されている『依頼日時』、これを基にもう一度組み立て直すんだ。僕達のその解釈を……」
くろうさぎさんは再びクエスト依頼書に目を落とすとそこに記されていたクエスト依頼日時を基に一つの仮説をここに立てる事を決意します。
「……依頼日時から今日までかなりの時間が経過している……この場所に近づくにつれて感じた他を寄せ付けないような異様で独特な空気感。大量の骨付き肉を一匹独占するかたちで保持していた状況。それに合わせて、身体中に突けられた大量の斬り傷と、異常な程までの警戒心……それをこのクエスト依頼書に書かれてある依頼日時を基に紐付ければ、その答えは──」
そして、この一つの過程から物事は大きく動き出す事になります。
「そうすれば、当初僕の言った彼は『ここで待ち構えている』という考えではなく、アナスタシアの言った『何かに怯えている』という考に結びつける事が出来る。だとすれば……彼の持つ強み。その警戒心が逆に彼の弱みになるかもしれない……これからの『時間』を僕達の味方につけられるかもしれない……でも、これはこじつけだ。本当にそうだと言い切れるだけの根拠は何処にもない……なら、やるべき事はもうこれしかないね。僕がそれを確かめる」
すると、くろうさぎさんは大急ぎで地面に散らばる落ち葉達を拾い集めると自身の体にペタペタと貼り付けていきます。そうしてあっという間にその全身を色とりどりの落ち葉っぱで包み込むとそこには得体の知れない奇妙な『葉っぱ葉お化け』が誕生したのでした。
「……強い警戒心。キミの強みを存分に発揮して貰うよトロール……」
そう呟くとくろうさぎさんはゆっくりとトロールの前にその姿を曝け出したのでした──
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