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27話 たくさん触れる

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勘違いしそうなくらいに優しいキス。


まるで、愛されているのかと…思ってしまう。

勘違いさせんなよ…。これで最後なんだろ?


俺、やっぱ陽向のこと…すげー好きなんだと思う。


陽向の手が、はだけた浴衣の合間から滑り込んでくる。
肌をなぞられるだけで、気持ちいいなんて…


するすると俺のカラダを愛撫して

すっかり、その気になってる俺のカラダ…。


アツくて…

瞳を閉じると、次から次へと頭の中に映し出される映像。


たくさんの俺と陽向が映し出される



古い日本のお城のようなところにいる俺と陽向。

俺が斬られそうなっているところ

俺の前に現れる武士は…陽向だ…

陽向は俺の代わりに切れて息絶えた


…俺を守りすぎ…

こんな大切な記憶…なんで忘れていたんだろう。

今まで思い出せずに、ごめんな。


そして…



『…ンンっ…ありがとう…』


言葉が零れてた



『ん?なんのありがとう?…なんでありがとう?』

陽向は、不思議そうに俺をみて言った。



『……ありがとうっって…思ったから!』


『気持ちよくしてくれてってこと?』

『ふふっ。なにそれっ!まぁ。そういう事でいいや。確かに気持ちいいもんな、陽向の手好きっ!』


『えっ?…ひーくん?…もしかして?……いや…なんでもない。俺も、ひーくんの甘い声好きっ!!』


好きと言おう言葉に胸がぎゅっと締め付けられる

陽向が言った好きと、俺が考えている好きが、例え違う意味でも…


単純に好きって言う単語は嬉しい


『えっちなカラダも好きっ!』


『っ///…恥ずっ!よくそんな事言えるなっ!』


『ほんとの事だもんっ!!』

さっきまでとは別人か?ってくらいに可愛らしい表情の陽向。
これは、これでなんか好きっ…

でも、なんか恥ずかしいから


『もうっ!!いいからっ!早く抱けよ!!』


ククっと笑て
『続きが欲しい?』

なんて、いやらしい顔する陽向


その顔に完全に当てられたんだと思う


『うん。もっと、もっとたくさん欲しいっ!!』

バカみたいに答えてた。


『素直でよろしいっ!』


こんなやり取りは昔からで、素の俺たちみたいな気がする


そっとキスされて
キスがだんだん深くなる


こんな風に冗談言い合ったり、そっと抱きしめられてキスされたり


そんなふたりになりたかった…


でも、たぶん陽向はもう…


俺を抱かない


陽向はそういうヤツだから


俺とは、友達のまま、メンバーのまま…が良いって選んだんだろ?


それなら…


最後くらいは、俺も素直になって感じたい


好きな人の温もりと…好きな人に抱かれる幸せを…



『…ハァっ…ンンっ…』


陽向に伝わる様に…



陽向が思い出すように…



『…ひ…なたっ…///』

陽向にたくさん触れる


陽向の背中に手を伸ばして、きゅっと抱きしめた。


少しでも、俺の想いが伝わるように…


そして、陽向が思い出してくれるように…


今も…昔も…きっと


俺は、陽向が好きっ!!



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