千年恋物語～何度生まれ変わっても、また君に恋をする～【R18】

40話 第２の物語②

　

　－－－もう一度…俺を…愛して。


もう一度、君に愛されたかった…。


君に微笑みかけて欲しかった。ただそれだけ…。


神殿で君を見かける度に、あの頃のドキドキが蘇る。


片思い


君はよく働く。そんな、君の姿をこっそりと盗み見た。


『何してらっしゃるんですか？なにか御用があれば…』


『…なんでもないっ！！』

突然声をかけられ焦る


それでも、君を盗み見る

笑うとあの時の君の姿と重なって


気持ちが抑えきれなかった


そして…俺は卑怯だ！


地位を利用して、君を俺のすぐそばに置いた。


俺の身の回りの世話をさせて、いつでも君を見ていられるようにした。


なんて…卑怯なヤツなんだ…

でも、どんな手を使ってでも、君とまた愛し合いたくて…


君に触れたくて…


この地位を利用して無理やり抱いてしまおうかとも思ったが…


それでは意味がない！！


欲しいのはカラダだけじゃない！！


その心も！君の全てが欲しいから！！


君とまた…愛し合いたいから。


『ありがとう』

いつも、そう言葉をかけて微笑む。


今まで身の回りの世話をしていた者にそんな言葉をかけたことはなかった。

でも、君に好かれたいから…


君にもう一度愛されたいから


俺は必死でいい主を演じた


はたから見れば、君を贔屓していたことがバレバレだったかもしれない


もしかしたら、それで君が嫌な思いをした事もあったのかもしれない


どうしても止められない、この想い。


君をすぐそばに置いて、数年が経った頃

君も随分俺に懐いて

いろんな話をするようになった時だった



ちょうど、あの日みたいな大きな満月の夜


懐かしさと微かな期待を込めて



『少し、外を歩きたい。ついて来てくれるか？』


『もちろんです。』


君を外へ連れ出した


俺の少し後ろを歩く君


ホントは並んで歩きたい


抑え切れなくて


『…隣に来なさい…』

少し控えめに、指示をする


『…あっ…はいっ。』

ササっと隣に来る君は、少し戸惑っているようだった。

緊張しているのか、動きがぎこちなくてさらに可愛いと思ってしまった。


あの頃とは別人なのに…

中身は完全に君で…

全く変わっていないように感じた


『…手を…出して』

あの頃と身分や姿、形は違うけど…

気持ちはなにひつと変わっていない！


素直に手を出す君の手をそっと握った


『見てごらん』

と、大きなまん丸い満月を見上げた


驚くほどに遠い昔に見たあの満月と同じような月だった





ホントに心の底から零れ落ちた言葉だった


『…月が綺麗だね…』


月を眺めていると

握った手が小さく震えて


『…う゛っ…うっ…う゛っ…』


嗚咽に似た泣ぎ声が聞こえて


慌てて君を見た


大きな瞳が真っ直ぐ俺を見て



『…君と…見ているから…綺麗…なのかもね…』


その大きな瞳から大粒の涙がいつくも零れた


俺の手を両手でぎゅっと握りしめて


『…晴れの…きみ…』


君は全てを思い出した


『…あぁ…君なの？…君なんだね…』

俺にぎゅっと抱きつく



『遅いよ♡やっと思い出したんだね。』


抱きしめ返すと

『なんで…忘れていたんだろう…こんなに近くにいたのに…』


涙がまた溢れていた


『俺は、最初に逢った時から気づいていたよ』


大切な君を包み込んだ


もう離さない！！

月明りに照らされて、唇を重ねた


あの日みたいに…


涙が溢れて止まらない君に

『また逢えるっていったでしょ？ずっと探して、やっと見つけた！！もう泣かないで！笑って！笑う君が見たいから！！』