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それでも君と(旧:君が僕から離れても)
⑥
しおりを挟む満足するまで見て周って、最後にお土産屋さんに寄ってみたけど予想通り人が沢山居て…記念にお揃いのシャチのキーホルダーを買ってそそくさと水族館から出ることになった。
「カフェ寄らない?」
「ん」
水族館を出て、近くのカフェで良さそうなところをスマホで探して再び歩き出す。
カフェに着いて注文を済ましたところで、目の前に座る一汰君をじっと見つめる。
最初は机の上のメニューに視線を向けていた一汰君も僕の視線に気が付いて不思議そうに首を傾げて見つめ返してくる様子が、水族館で見たゴマアザラシに似ている。
「ふふ…ねぇ一汰君、今日すごく楽しかった。また行こう」
「あぁ。俺も楽しかった」
僕だけじゃなく一汰君も楽しめたっていう言葉に嬉しくなる。
「…透鯉。まだ早いかもしんないけど…俺と付き合って」
唐突に一汰君が真剣な顔でリベンジ告白をぶっこんできたことに驚いて固まってしまう僕。
茶化そうかなって思う気持ちを萎えさせる真剣な視線にゴクリと唾を飲み込む。
まさかこんなに早くリベンジされるとは思ってなかった。
一汰君もさっきまでそんな雰囲気出してなかったし、本当に驚いた。
だけど…
「ん…よろしく、お願いします」
「…は?」
「え?」
真剣な一汰君のリベンジ告白にお願いしますと頭を下げれば、何故かは?と言われてしまい僕もえ?と返してしまう。
え?
僕告白されたよね?
それでYESって答えたよね?
あれ?
混乱してアタフタ意味もなく手を動かす僕をしばらくじっと見ていた一汰君の顔がどんどん赤く染まっていった
かと思えば、ばしっと両手を纏めて力強く握られた。
「本気?」
「え?あぁ…本気だけど」
「恋人になってくれるってこと?」
「う、ん…そのつもりですけど」
なになになにっとたじろぐ僕にいくつか質問を重ねた一汰君は僕の答えを聞き満足するとほにゃって感じの今まで見たことがないような顔で笑った。
その顔がもう可愛くて、僕の返事にそんな顔をしてくれる一汰君を愛おしいなって思った。
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