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第2章
弟の仕返しは容赦がないsideアドルファス
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教室に戻って行く弟を見送って、ひっそりと近くに立っていたヒューに声を掛ける。
「ヒュー。悪鬼達の場所が知れ渡りつつある。裏切り者を徹底的に調べてくれ。」
「なるほどな。すぐに動く。」
アーバスノイヤー家は近衛騎士。
ヒル家は王国騎士。
近衛騎士団は王族の警備や国の有事の際に動く組織で、王国騎士は国が管理する王族以外の者を守る組織。
悪鬼達を捕獲している場所の警備は王国騎士団3割、近衛騎士団7割で配置されていたはず。
僕もすぐに父上へと魔法送書を送った。
どちらの騎士団も団長の恐ろしさを理解しているから裏切る者はあまりでないのだけれど、まったくでないとは言えない。
どれだけ団長を恐れていても、目の前に美味しい餌を垂らされたら食い付いてしまう馬鹿は何年かに1度は現れる。
只、今回一番気に食わないのはルナイスの行動が見張られていた点だ。
犯人はルナイスが悪鬼達を生け捕りにしたことを知っていて、そしてルナイスが捉えられた悪鬼達の所へ行くと予測し見張っていたのだろう。
そう考えると、犯人の目は未だ近くにあるということになる。
コルダを含め、ルナイスを護衛しているアーバスノイヤー家の者だけでなく僕や父上すら敵が近くに潜んでいることに気が付けていなかった…。
ノヴァから予想の範囲だが、可能性が高いこととして報告を受けていた『悪魔の関与』。
悪魔ではなかったとしても、人ならざる者が関与していることは確実だろう。
アーバスノイヤー含めアーナンダ国のきっての精鋭が揃っている環境で誰も怪しい存在に気が付けなかった。
もしかしたらこの場には居らず、何かしらの能力を使用しこちらの動きを見ているのではないかとも考えている。
その旨も先ほどの魔法送書にて父上に報告はしてある。
色々と動きたい気持ちはあるが…
僕も本分は学生だ。
ここまで問題が大事になってくれば、ここはあまり学生がしゃしゃり出るべきではない。
父上達が主体となって動き出している今、大人達では集まらない情報を集め、上に報告することが最善の行動だと考えて教室に戻る。
「動かないのか?」
「あぁ。」
席に着く僕にヒューが首を傾げるが、僕の返事に深く追求してくることなく頷いて自身も席へ座った。
ヒューは深く考えるよりも直観型。
必要があれば言われずとも僕が話すと分かってくれているから、無駄な時間と労力を割かなくていいのはとても助かる。
ルナイスのことはとても心配しているが、何かあってもルナイスなら大丈夫だとも思ってる。
なぜならルナイスはいざと言う時に冷静に、そして非情になれると知っているから。
ルナイスは敵だと判断したら容赦がない。
昔、お忍びで2人で街へ出かけた時に僕にわざとぶつかって胸ぐらを掴んできた薄汚い大柄の男2人の腕をへしゃげ折ったことがある。
「汚らしい手でにぃ様を触るな。」
虚空な目で男2人を睨みつけるルナイスはそのまま男達の肩の骨も外していた。
もちろん握力はそんなにないので、魔法で手を強化してたのだろうが、余りの容赦なさに笑いがなかなか止まらなかった。
今回のことでパッと見は分からないが、ルナイスは結構ご立腹だ。
面倒な事件にうんざりするが、ルナイスがどんなお仕置を犯人にするのかが楽しみでもある。
side end
__________________________
※もしこんなエピソード、お題の話をみたいというのがあればコメント頂けると嬉しいです!
よかったら…
「ヒュー。悪鬼達の場所が知れ渡りつつある。裏切り者を徹底的に調べてくれ。」
「なるほどな。すぐに動く。」
アーバスノイヤー家は近衛騎士。
ヒル家は王国騎士。
近衛騎士団は王族の警備や国の有事の際に動く組織で、王国騎士は国が管理する王族以外の者を守る組織。
悪鬼達を捕獲している場所の警備は王国騎士団3割、近衛騎士団7割で配置されていたはず。
僕もすぐに父上へと魔法送書を送った。
どちらの騎士団も団長の恐ろしさを理解しているから裏切る者はあまりでないのだけれど、まったくでないとは言えない。
どれだけ団長を恐れていても、目の前に美味しい餌を垂らされたら食い付いてしまう馬鹿は何年かに1度は現れる。
只、今回一番気に食わないのはルナイスの行動が見張られていた点だ。
犯人はルナイスが悪鬼達を生け捕りにしたことを知っていて、そしてルナイスが捉えられた悪鬼達の所へ行くと予測し見張っていたのだろう。
そう考えると、犯人の目は未だ近くにあるということになる。
コルダを含め、ルナイスを護衛しているアーバスノイヤー家の者だけでなく僕や父上すら敵が近くに潜んでいることに気が付けていなかった…。
ノヴァから予想の範囲だが、可能性が高いこととして報告を受けていた『悪魔の関与』。
悪魔ではなかったとしても、人ならざる者が関与していることは確実だろう。
アーバスノイヤー含めアーナンダ国のきっての精鋭が揃っている環境で誰も怪しい存在に気が付けなかった。
もしかしたらこの場には居らず、何かしらの能力を使用しこちらの動きを見ているのではないかとも考えている。
その旨も先ほどの魔法送書にて父上に報告はしてある。
色々と動きたい気持ちはあるが…
僕も本分は学生だ。
ここまで問題が大事になってくれば、ここはあまり学生がしゃしゃり出るべきではない。
父上達が主体となって動き出している今、大人達では集まらない情報を集め、上に報告することが最善の行動だと考えて教室に戻る。
「動かないのか?」
「あぁ。」
席に着く僕にヒューが首を傾げるが、僕の返事に深く追求してくることなく頷いて自身も席へ座った。
ヒューは深く考えるよりも直観型。
必要があれば言われずとも僕が話すと分かってくれているから、無駄な時間と労力を割かなくていいのはとても助かる。
ルナイスのことはとても心配しているが、何かあってもルナイスなら大丈夫だとも思ってる。
なぜならルナイスはいざと言う時に冷静に、そして非情になれると知っているから。
ルナイスは敵だと判断したら容赦がない。
昔、お忍びで2人で街へ出かけた時に僕にわざとぶつかって胸ぐらを掴んできた薄汚い大柄の男2人の腕をへしゃげ折ったことがある。
「汚らしい手でにぃ様を触るな。」
虚空な目で男2人を睨みつけるルナイスはそのまま男達の肩の骨も外していた。
もちろん握力はそんなにないので、魔法で手を強化してたのだろうが、余りの容赦なさに笑いがなかなか止まらなかった。
今回のことでパッと見は分からないが、ルナイスは結構ご立腹だ。
面倒な事件にうんざりするが、ルナイスがどんなお仕置を犯人にするのかが楽しみでもある。
side end
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※もしこんなエピソード、お題の話をみたいというのがあればコメント頂けると嬉しいです!
よかったら…
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