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第2章
弟を傷つけるものは許さないsideアドルファス
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レオから知らせが入ったのは午後の2つめの授業が終わり、次の授業が始まる前の事だった。
「アドルファス様。ルナイス様が授業中、同級生より攻撃を受けたそうで早退したそうです。」
ガタッと音を立てて勢いよく立ち上がった僕に慌ててレオがルナイスが無傷であることを告げた。
どうしてそう言った状況になったのかと尋ねれば、チーム分けをした実践授業で同チームのクラスメイト3名が敵を抑えていたルナイスに向かって攻撃魔法をしかけたと。
理由は不明なようだが、どんな理由があったにしろ許されることではない。
「なんだ、アドルファス。帰るのか?」
鞄に必要なものを詰め込み支度をしているとヒューが声をかけてきたので簡単に聞いた内容を伝えた。
「そりゃ、また…」
「私は帰る。」
「分かった。」
呆れた様子のヒューに帰る旨を伝え教室を出る。
馬車はルナイスを送り届けた為すぐには用意できないとレオに言われたが、そんなことは既に分かっていた為歩いて乗り合いの馬車がある所へ向かう。
それはさすがにっと焦るレオを無視して歩いていると前方から急いだ様子でこちらへ向かってくる家の家紋入りの馬車が見えた。
やはり呼びに来たかっとすぐさま馬車の飛び乗れば、レオも慌てて馬車に乗り込む。
御者はすぐに方向転換し、家へ向かって走り出す。
「…レオ。ノヴァに家に向かうよう通達しておけ。」
「御意。」
馬車に揺られてすぐにノヴァも呼んでおいた方がいいと判断し、レオに命ずる。
もしかすると父上が既に呼んでいるかもしれないが念の為に。
前世と今世のルナイスでバランスが取れ、体も成長し、ルナイス本人が鍛錬を怠らなかったので魔力が暴走する心配はここ最近なくなったが、精神的に不安定になると魔力も不安定になる。
暴走とまではいかないだろうが、何かあった時に対処できそうなのはノヴァしかいない。
それに一番心配なことが、ルナイスは嫌なことがあったり堕ちかけている時闇の中へ潜ってしまう。
そこに介入できるのもノヴァしかいないのだ。
自分に魔法の才能がもっとあれば良かったのだが…。
やはり今一度、ノヴァにアーバスノイヤーと専属契約を結ばないか打診しよう。
その為には、現王が騒ぎ立てないように根回しをしなくはならない。
これも父上に要相談だな。
馬車の中でそんな事を考えながら頭を働かせていると屋敷についたので、急いで馬車から降りそのままルナイスの部屋へと向かった。
コンコン
荷物はレオに預け、ルナイスの部屋の扉をノックするが返事がない。
そっと扉を開いて中の様子を覗えば、どうやらルナイスは眠っているらしかった。
部屋の中へ入り、ベットの上にこんもりとしている毛布をそっとめくれば、中に丸まって眠っているルナイスがいた。
その顔に涙の痕などがないことに一先ずほっと息を吐きだし、起きないようにそっと髪を分けながら額を撫でる。
手を握り魔力を流してみれば、やはりルナイスの魔力は少し乱れているようであった。
このくらいであれば僕でも治してあげることができるので安心した。
しばらくルナイスの様子を確認して僕も落ち着いたところでコルダを呼ぶ。
「支援魔法を使用するグループと攻撃魔法を使用するグループで分かれトゥワイマン殿監修の元模擬戦が行われました。攻撃グループをルナイス様が行動不可能にしている間、安全な所より背後から3名の生徒ムアンマル・トゥワイス。ドゥヌ・ダンデ。アフ・サンコンが攻撃魔法を放ちました。ルナイス様には届く前に魔法は無効化致しましたのでルナイス様にお怪我はありせん。3名がルナイス様を狙った理由ですが、トゥワイス以外の2名は只皆から1目置かれているルナイス様が気に入らなかっただけだと言うことです。トゥワイスに関しては父親の関心を得るルナイス様が許せなかったとのことです。」
「なるほどな。下がれ。」
一瞬で目の前から姿を消したコルダ。
8歳児なんぞの理由など大した理由はないであろうと分かってはいたが、ルナイスを殺そうとしたにしては理由がくだらなさすぎる。
本当はこのまま問題児の親含め大人達が集まっているだろう応接間に突入してやりたいが、ルナイスが目を覚ました時に傍に居てやりたい気持ちが強く、何とかぐっと動き出しそうな足と燻る怒りを鎮める。
父上がいてそんなことはないと思うが、あの人は小さい子供に少し甘いところがある。
納得のいかない内容であれば容赦なく抗議をする所存だ。
その時はヒューとノヴァを巻き込もう。
きっと彼等は良い働きをしてくれるだろう。
side end
「アドルファス様。ルナイス様が授業中、同級生より攻撃を受けたそうで早退したそうです。」
ガタッと音を立てて勢いよく立ち上がった僕に慌ててレオがルナイスが無傷であることを告げた。
どうしてそう言った状況になったのかと尋ねれば、チーム分けをした実践授業で同チームのクラスメイト3名が敵を抑えていたルナイスに向かって攻撃魔法をしかけたと。
理由は不明なようだが、どんな理由があったにしろ許されることではない。
「なんだ、アドルファス。帰るのか?」
鞄に必要なものを詰め込み支度をしているとヒューが声をかけてきたので簡単に聞いた内容を伝えた。
「そりゃ、また…」
「私は帰る。」
「分かった。」
呆れた様子のヒューに帰る旨を伝え教室を出る。
馬車はルナイスを送り届けた為すぐには用意できないとレオに言われたが、そんなことは既に分かっていた為歩いて乗り合いの馬車がある所へ向かう。
それはさすがにっと焦るレオを無視して歩いていると前方から急いだ様子でこちらへ向かってくる家の家紋入りの馬車が見えた。
やはり呼びに来たかっとすぐさま馬車の飛び乗れば、レオも慌てて馬車に乗り込む。
御者はすぐに方向転換し、家へ向かって走り出す。
「…レオ。ノヴァに家に向かうよう通達しておけ。」
「御意。」
馬車に揺られてすぐにノヴァも呼んでおいた方がいいと判断し、レオに命ずる。
もしかすると父上が既に呼んでいるかもしれないが念の為に。
前世と今世のルナイスでバランスが取れ、体も成長し、ルナイス本人が鍛錬を怠らなかったので魔力が暴走する心配はここ最近なくなったが、精神的に不安定になると魔力も不安定になる。
暴走とまではいかないだろうが、何かあった時に対処できそうなのはノヴァしかいない。
それに一番心配なことが、ルナイスは嫌なことがあったり堕ちかけている時闇の中へ潜ってしまう。
そこに介入できるのもノヴァしかいないのだ。
自分に魔法の才能がもっとあれば良かったのだが…。
やはり今一度、ノヴァにアーバスノイヤーと専属契約を結ばないか打診しよう。
その為には、現王が騒ぎ立てないように根回しをしなくはならない。
これも父上に要相談だな。
馬車の中でそんな事を考えながら頭を働かせていると屋敷についたので、急いで馬車から降りそのままルナイスの部屋へと向かった。
コンコン
荷物はレオに預け、ルナイスの部屋の扉をノックするが返事がない。
そっと扉を開いて中の様子を覗えば、どうやらルナイスは眠っているらしかった。
部屋の中へ入り、ベットの上にこんもりとしている毛布をそっとめくれば、中に丸まって眠っているルナイスがいた。
その顔に涙の痕などがないことに一先ずほっと息を吐きだし、起きないようにそっと髪を分けながら額を撫でる。
手を握り魔力を流してみれば、やはりルナイスの魔力は少し乱れているようであった。
このくらいであれば僕でも治してあげることができるので安心した。
しばらくルナイスの様子を確認して僕も落ち着いたところでコルダを呼ぶ。
「支援魔法を使用するグループと攻撃魔法を使用するグループで分かれトゥワイマン殿監修の元模擬戦が行われました。攻撃グループをルナイス様が行動不可能にしている間、安全な所より背後から3名の生徒ムアンマル・トゥワイス。ドゥヌ・ダンデ。アフ・サンコンが攻撃魔法を放ちました。ルナイス様には届く前に魔法は無効化致しましたのでルナイス様にお怪我はありせん。3名がルナイス様を狙った理由ですが、トゥワイス以外の2名は只皆から1目置かれているルナイス様が気に入らなかっただけだと言うことです。トゥワイスに関しては父親の関心を得るルナイス様が許せなかったとのことです。」
「なるほどな。下がれ。」
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本当はこのまま問題児の親含め大人達が集まっているだろう応接間に突入してやりたいが、ルナイスが目を覚ました時に傍に居てやりたい気持ちが強く、何とかぐっと動き出しそうな足と燻る怒りを鎮める。
父上がいてそんなことはないと思うが、あの人は小さい子供に少し甘いところがある。
納得のいかない内容であれば容赦なく抗議をする所存だ。
その時はヒューとノヴァを巻き込もう。
きっと彼等は良い働きをしてくれるだろう。
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