王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

新たな敵はセクシーお姉さん

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そんなカオスを作り出している彼等は夢の世界から戻った僕達に気が付いていない。



にぃ様やノヴァはいつも僕が少し遠い所に居ても気が付いてくれるのに…



「にぃ様…ノヴァ…」


「「!!ルナイス!!」」




ついつい心の内から湧いてくる不満に頬を膨らませ、にぃ様とノヴァを小さな声で呼ぶと、やっと皆が僕達の存在に気が付いてくれた。


にぃ様とノヴァがダーっと走って来てくれて、そのままの勢いでにぃ様がぎゅっと抱きしめてくれ、ノヴァはバグさんと繋いでない方の手をぎゅっと握ってくれた。






そんな二人のすぐ後にとーさま、ヒル親子、オリヴァーが来てくれて僕の目覚めを喜んでくれる。

僕としてはバグさんと手を繋いだままだし、あのトンネルを通った記憶がばっちりあるので目覚めたっていうよりかは夢世界から帰って来たって感じだけど。




「ノヴァ。ルナイスのこれ、治してくれ。」


「はい。ルナイス触れるよ。」




「おいおい待て待て。お主半魔であって聖魔法が使えるか。とても興味深く詳しく聞きたいところだが、このぼんと手を繋いでいる我まで浄化されてしまう。」


「では手を放しては?」



「否。お主ら分からんか?この様な小物共があれだけ大量の悪鬼を作り出し操作するなどという芸当ができるとお思いか?やったのはこやつらであるだろうが、もう一体おるとしか思えん。それも凶悪なのがな。」




『ふふふ…ご名答ぉ~。』





何で離さないんだろう?とは思っていたがまさかのもう一体というバグさんの言葉の後に夢魔と同じように間延びした喋り口調の女性的な高い声が響き渡った。






「ア…アスモ様ぁ~!!この人達酷いんですのよぉ!年頃のか弱き私をこんなに辱めてぇ!!助けてくださいましぃ!!」

その声に水を得た魚のようにジョーズ子爵令嬢が喚きだす。



突如近くに感じた強い魔力に慌ててにぃ様とノヴァを風魔法で突き飛ばす。

それと同時に僕の体はバグさんに強く引かれその場から数メートル離れた場所へ。





「あらぁ~避けられちゃったぁ。ざ~んねん。」


先ほどまで僕達が居た場所には、露出度高めなお姉さまがお尻を突き出し、膝に手を乗せ、もう片方の手の人差し指を口元にあてるというTHEセクシーポーズを決めて立っていた。

ぼけ~っとセクシーポーズを決めている露出多めのお姉さまを見ているとさっと大きな手で目元を覆われた。




はっと我に返って上を向くと冷めきった目をしたバグさんが静かに首を横に振った。

見てはいけませんっだ。






「アスモ様ぁ!早く助けてくださいぃ~!」


「あ~んもう!五月蠅いわねぇ!」



皆が何の反応もせずしらけ…静まっている空間で空気を読めない女、ジョーズ子爵令嬢が声を上げるとセクシーお姉さまは少しイラっとした様子で、ジョーズ子爵令嬢に向けて人差し指を大きく振った。


その瞬間騒がしかったジョーズ子爵令嬢はガクリと意識を失い静かになった。




大切な証拠として彼女は生かしておかなければならないのに!と焦ったところで、背後からバグさんが眠っているだけだと教えてくれ、一安心。


「ただし、眠るあの小娘の生気を喰っている。喰われすぎると小娘は死んでしまうが…まぁ大丈夫であろう。」



「うっえ~まっずぅ!!聖魔法を使う人間って生気までまずいのねぇ~。」



一安心は一瞬。

続けられたバグさんの言葉にそれ大丈夫じゃなくない?と首を傾げることになった。




けれど、バグさんが大丈夫と言ったようにジョーズ子爵令嬢の聖魔法適正者の生気は悪魔にとって美味しくはないようでセクシーお姉さんは顔の中心をぎゅっとしてぺっぺっぺと唾を吐き出していた。


そんなセクシーお姉さんを見ていて、ふっと突き飛ばしたにぃ様とノヴァを思い出し視線を巡らせるととーさま達の近くに居て、怪我もなさそうな様子にほっと息をつく。





___________


【雑談】

最近ストーリーがすたこらさっさと進んでおりますが、何か不備やご意見ございましたら遠慮なく感想やコメントをくださると嬉しいです。

いつになったらこの事件は収束するのか…




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