王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第3章

オスカル君のお父様とお母様

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殿下のスマートな気遣いのおかげで再び動き出した僕はにぃ様とノヴァの間に腰を下ろす。




貴族界では珍しく、絨毯を地面に引いて、低いテーブルを絨毯の上に座って囲むピクニックスタイル。
前世よりも危険の多い世界なので、万が一の事態に備え靴は履いたままだけれど座り心地のとってもいいクッション椅子があるから全然辛くない。


他貴族達から好奇心に満ちた視線が向けられているのは分かるけれど、僕にだけ集中しているわけじゃないし、にぃ様とノヴァに挟まれて隠されているからさっきより全然まし。





従者達が殿下から順にそれぞれの前にお茶を置いたところで、オスカル君一家がやって来た。


「クラージュ王太子殿下、ノルデン子爵家当主、オーガ・ノルデンがご挨拶申し上げます。」


「面を上げよ。今日の主役は学生。私は一介の観客にすぎない。障害物競争でのご子息は目を見張るものがあった。魔法を上手く使い、ルールの抜け道もよく理解していた。私のことは気にせずご子息の勇姿を楽しむと良い。」



「光栄にございます。」



オスカル君のお父様であるノルデン子爵の言葉に合わせて隣で静かに礼を取る女性はオスカル君のお母様、ベネディタ・ノルデン子爵夫人。



ノルデン子爵は子煩悩で優しく穏やかな人であるが、お人好しではない。
領地を守るにあたって、害になるものは容赦なく切り捨てるし、子爵であるからと見下し手を出してくる、位が上にある貴族を黙らせる術を持っている人だとにぃ様から聞いている。


そして夫人は、静かな人だが負けず嫌いで、強気な人なのだとオスカル君から聞いている。

なんでも、昔社交界でまだ小さいオスカル君にわざとぶつかり、躾がなっていないだなんだのといちゃもんをつけてきたどこかの夫人に一言も声を発さず、目が笑っていない笑みを浮かべじっとその見つめていただけだったが、社交界の2日後その夫人は醜聞のため社交の場から姿を消したそうな。

敵に回すと怖い人だというのも聞いている。






「ルグノス・アーバスノイヤー公爵様、お久しぶりにございます。いつも我が息子オスカルがお世話になっております。」


「久しいな、ノルデン。世話になっているのはルナイスも同じ。貴殿のご子息が我が息子の傍に居てくれるのはとても心強い。これからも仲良くしてやってくれ。」


「もったいないお言葉です。」



続いてとーさまに挨拶をしたノルデン子爵ととーさまはどうやらお知り合いのようで、ニコニコと穏やかな雰囲気。








「ルナイス・アーバスノイヤー様ご機嫌よう。オスカルの母、ベネディタ・ノルデンです。いつもオスカルから貴方のお話を聞いて、ぜひお会いしたいと思っておりましたの。こうしてお目にかかれて嬉しいですわ。」


ぼぉっと大人の挨拶を眺めていたら、スススっと近寄ってきたノルデン夫人に声を掛けられ思わずビクッと体を揺らしてしまった。



「お初にお目にかかります。アーバスノイヤー家次男、ルナイス・アーバスノイヤーです。オスカル君にはいつもお世話になっております。私も夫人とお会いでき、とても嬉しく思います。」

軽い礼をとって挨拶をすると夫人は扇で口元を隠されているが、ニコニコと笑っていらっしゃるのが分かる。

うん…目が笑ってるから大丈夫そうですね。







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