王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

素早い契約とルナイスの企み

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しばらくして、長い耳をピクリと動かしたキャロットさんが「終わったようですよ。」と外に出ていいという許可を出してくれたので僕達は宿の外に出た。


少し歩いた先にある領内の真ん中にある広場には絶命した大きなブラックバーブガイが3頭積み上げられていた。




ブラックバーブガイは前世のイメージだと熊のような生き物で、体だけでなく牙が凄く大きい。

中央や王都ではまず見ない魔獣だ。



僕達はあまり見られない魔獣に興味深々で、ぐるりと積み上げられたブラックバーブガイの周りを回る。







ブラックバーブガイの一頭はほとんど外傷が見当たらず、もう一頭は無数の傷があり、三頭目はお腹に風穴があいている。

どのように闘ったのか見学させてもらいたかったなぁっと思ったのはたぶん僕だけじゃない。





「ウォード夫夫ふうふ。」


ブラックバーブガイを観察する僕達の所へボスがやって来た。




「ヴォルカン・グルガルさん。こんな大きな魔獣をあんな短時間で仕留めるなんてすごいですね!」


「あははは!獣人族は人族と比べて筋力が強いからなぁ。」



確かに。

人間は武器やら団体戦やらでどうにか他の動物に勝ててる状態で、何も持たない素の状態であれば人族ってすっごく弱い種族だよね。


今世では魔法が仕えるからまだ前世の人より強いかもしれないけど。









「あぁ、そうだ。我のことはヴォルカンと呼び捨ててくれて構わない。」


「あ、じゃあ僕のこともルナイスとお呼びください。」

「私のことも。」



「あぁ。遠慮なく。」



姓まで呼ぶのは面倒であろうと名前を呼び捨てる許可をくれたので、僕のことも呼び捨ててもらうようお願いした。

グルガルさんって呼びたかったけど、グルガルさんには二人の奥さんと7人のお子さんがいるので名前で呼ばないと全員が振り向いてしまうので諦めてヴォルカンさんと呼ばせてもらう。









「明日にはハデス辺境伯のご子息が迎えにくると言っておった。それまでは此処で好きなだけくつろいでくれ。」


「ヴォルカン殿。獣人族の戦闘能力を見たいのだが。」



テトラ君が来るんだーっと思っているとノヴァが真剣な顔でヴォルカンさんにお願いをしだした。





「…それを見てどうしようと?」


一瞬眉間に皺を寄せたヴォルカンさんが真っすぐノヴァを見つめて問いかけると、ノヴァも真っ直ぐヴォルカンさんを見つめて



「此処に来て中央にある獣人族についての書籍には沢山の偏見と誤りがあったことが分かった。きちんとした書物をつくりたい。」


と言ったノヴァの言葉にヴォルカンさんはスッと目を細める。



確かに中央や王都にあった獣人についての書物では獣人は戦闘時獣の姿となり理性を失くす。

満月の夜にはただの獣と化す。

獣人族は獰猛で喧嘩っ早いなどなど…あんまり良い内容で書かれていなかった。





「嘘偽りなく書き記すと約束するならば見せてもいい。」


「では、嘘偽りなく書き記し、ボスであるヴォルカン殿の許可なく本にしないという契約を結ぶ。」



ヴォルカンさんの言葉にすっと魔法契約書を展開したノヴァはさらさらーっとサインをして、契約書の内容をヴォルカンさんに見せた。

素早い展開にヴォルカンさんは目を見開いたが、すぐに契約内容を確認し一つ頷くとポンっと肉球スタンプを契約書に押した。





なにそれ可愛い欲しいと思ったけれど、ここでそれを言っては場をしらけさしてしまうからとその場では諦めて、僕はこの獣人領に滞在している間に肉球スタンプラリーをすることを心に決めた。








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