王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

地面を抉る許可は得た

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『ルナイスゥー!』


「パン!」



ドガァーン!




久しぶりの再会に飛んできたパンを受け止めようと両手を広げ、段々と近づいてくるドラゴンを慌てて体を捻り避ける。

僕の腕に飛び込む気満々だったパンが地面にめり込んでしまったけれど許してほしい。



だってアレを受け止めていたら僕は死んでいた。

生き物の小さい期間って短いよね…







『な…何で避けた!ルナイス!』


「だってパン大きくなってて、あの勢いのままのパンを受け止めたら僕死んじゃうんだもの。」



グギャ!と鳴いて抗議するパンに反論するとパンはキョロキョロと自身の体を眺め、そして再び僕を見て、そしてまた自分をキョロキョロと眺める。




『あれ?ルナイス小さき子になってる?』


「君が大きくなったんだよ。」



小さき子って言うな。

僕だって成長してるんだ。
ドラゴンと成長速度を比べないでほしい。




『久しぶりね。ルナイス。』


「ククちゃんお久しぶり。」


バタバタと騒がしいパンを呆れた様子で見守りながら後から降りて来たパンの母ドラゴンであるククちゃんは初めにあった時の錯乱状態が嘘のように落ち着いたドラゴンだ。

元々アイスドラゴンは他のドラゴンより穏やかな性質ならしいのだけど、あの時は我が子を誘拐された怒りで我を忘れていたらしい。




今回の件と似たような状況だけど、ククちゃんは人族に我が子を連れ去られていて今回のレッドドラゴンは自分の不注意で落としたのだから似ているけれど全く違う状況だ。






『話はノヴァから聞いているわ。どうやらレッドドラゴンに手を焼いているようね。あの種は直情型だから同胞であっても一度暴れられると落ち着かせるのに一苦労するのよね。』


はぁ~っと息を吐き出すククちゃんだけど、僕達からしたらククちゃんの時もだいぶ手を焼いたので何とも言えない。




「しかも相手はガーネットだ。」


『あら、ノワールいたのね…ガーネット、ねぇ。あの子に子が出来たのは嬉しいことだけどあの子はレッドドラゴンの中でも特にちょっと…あれなのよねぇ。』



僕の膝元から声をあげたホルス様に気が付いたククちゃんの目が、「何してるの?」って呆れた様子だったけどそれを口?にすることなく今回の相手、ガーネットについて語った。

ちょっと…あれっと言葉を濁しているが彼女を思い出すククちゃんの目は残念な子を見るような目になっていることから言いたいことはしっかりと伝わってくる。





『アガパンサスの良い学びとなりそうだし、私達がガーネットの熱を相殺することは問題ないのだけど…私達正反対の性質だからすっごく相性が悪いのよね。ちょっと穏やかには終われないけれどいいのかしら?』


ククちゃんの言葉にぱっと膝元のホルス様に視線を向ける。



「あー…そういえばそうであったな。まぁそもそも荒地なのだ。少しくらい地が抉れようと問題なかろう。」



「ラプラス様!この辺りの地面が抉れちゃってもいいですかー?」




ホルス様の呑気な言葉を耳にして慌てて少し離れた所からこちらの様子を覗っていたラプラス様に向かって声を張り上げる。



僕の周りは今人型のホルス様を入れて巨体なドラゴンが3体もいるので、僕意外の人は危険だからと少し離れたところに居てもらっている。

ドラゴン達が彼等を意図的に傷つけることはないだろうが、意図せず傷つけてしまう恐れがあるので…




ドラゴン3体に敵う護衛も敵もいないだろうってことでヨハネスやガンナーもノヴァ達と一緒に今だけは離れた所に待機している。

というか、ホルス様の機嫌が悪くてホルス様が僕から彼等を遠ざけたのだ。



僕を独占したいホルス様にきゅんっとした僕はホルス様の望むままにヨハネス達に下がるよう命令を下したのだ。




あの時のヨハネスとガンナーの僕を見る目は主人を見る目ではなかったが、そんなものはホルス様の美貌の前では塵に等しい。








思考は大きくそれたが、ラプラス様が良いというように首を縦に振ってくれたのが見えてほっと一息。



「ククちゃん。パン。許可もらったからガーネット?のことお願いします。」


『任せて。』『任せろルナイス!!』







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